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松籟

雲があり、風がある

窓からの光はやわらかで、しっとりと潤い、時おり硝子がカタカタと鳴っている

時は 思いもよらない早さで駆けめぐり
陽だまりは春飛び越えて初夏の様

薄墨色の壁に吸い込まれていく思いに
松風は老松の枝をさざめかせ 心をやさしく奏でてくれる

こころゆるく待ちながらえば 君来たらんか

想いは虚空を削り 今はただ身を持する為にあるのみ

水がほどけ溶け出す頃を待ちながら
くつりくつりと湧く窯の肌に目を止め
空を見上げれば
青さより 霞む白さばかりが目に染みる