雪名残
朝降った雪は 足の下で固まり
茜色のざらめになってしまった
日も暮れて 枯れ葉が星に揺れる頃
家に戻る影はただひとつ
祖国が引き裂いた恋人を 誰が慰めてくれるだろう
若者はだまったまま答えを待ち続けるが
願いもむなしく 馬車は国境を越えてしまった
心を添わせる君との出会いよ
振り返ってももはや姿はなく
水面に映る月のように浮かんでは消える面影が残る
君の心はどんなに僕を求めてくれていたのだろう
願いはむなしく もはや嵐が消え去ったように君の姿はない
答えを待ち続ける僕と 笛の音がむなしく響いている
明日を望み 風に希望を託すが
手にしたものは この手からすり抜けてしまった
翻弄された出来事も もはや朧げで遠い記憶となり
ただ君の歌が耳に響くのみ
鳥の羽ばたきと共に霧雨が全てを流し去る
夜毎の睦事よりも 今君の歌が聞きたい