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月が巡る日

ひんやりと夜の闇が月をつつむ日には

遠い国の哀しみが海を渡ってくる

次の満月まで木蓮の下で眠りにつくために

番人は彼らを起こさぬようそっと見守り

月が満ちて彼らを照らすと

濾過された哀しみに しずくが降りて

ひとつひとつ ふんわりと天に昇ってゆく

今宵も幻の様な現実は 月をめぐっている