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8年前に書いた「走れメロスのギャル語版」が発掘された

走яё乂□ス

原作:T=〃±〃レヽぉ±£ヽ


 メロスゎ激おこプンプン丸。マジぁりぇなぃし。ぜったい、ぃじわるの王をたぉさなくちゃってぉもった。メロスにゎ政治がゎからなぃ。
メロスゎ、村の牧人なんだょ。笛を吹き、羊Cと遊んで暮して来た。ケド、邪悪に対してゎ、人一倍に敏感なンだょね。
きょう未明メロスは村を出発し、野トカ山トカ越え、メッチャはなれたコノ「シラ勹ス」の市にゃって来た。
メロスにはpapaも、mamaも無い。ダァも無い。ティーンの、草食系な妹と二人暮しだ。
この妹は、村の或る律気なイケメンを、近々、ダンナとして迎える事になっていた。結婚式も間近なンだょ。
メロスは、オトナ女子の服トカ祝宴の「⊇〃ちξぅ」やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。
まず、そのハッピースピリチュアルアイテムを買い集め、それから街をアゲアゲに歩いた。メロスにはズッ友があった。セリヌンティウスである。
今ゎシラ勹スの市で、石工をしている。そのBestFriendを、これから訪ねてみるつもりなのだ。
最近会ってなかったしだから、会うのがマジ楽しみ。歩いているうちにメロスは、まちの様子がなンか怪しく思った。マジひっそりしている。
もう日も落ちて、まちの暗いのは当りまえなんだケド、なんか、夜のせいだけとかじゃあなくて、市全体が、マジ寂しい。
オトナ女子のメロスも、ちょっぴり不安になってきたし。
そのへんの若者を逆ナンして、何かあったのか、二年まえに来たときは、夜デモまちはチョー賑やかであったはずなんだケド、と質問した。
若者は、首をブンブン丸して答えなかった。しばらく歩いてオッサンに逢い、こんどはもっと、キレ気味に質問した。
オッサンは答えなかった。メロスは質問を重ねた。オッサンは、バリトンボイスで、ちょっと答えた。
「王様は、人を殺します。」
「なんで殺しちゃうの?ワケわかめだし」
「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」
「たくさん死ンじゃったの?マジありぇなぃし」
「はい、はじめは王様の妹婿さまを。それから、御自身のお世嗣を。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから、皇后さまを。それから、賢臣のアレキス様を。」
「CHO→バビッた~国王は気ぃ悪いの?」
「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六人殺されました。」
 聞いて、メロスは激怒した。「カム着火インフェルノーォォォォオオオウ。マジ生かして置けないし。」
 メロスは、単純みたいな。買い物を、背負ったままで、のそのそ王城にはいって行った。たちまちメロスは、警備員に捕まった。マジ滑稽。調べられて、メロスのポーチからは短刀(カミソリ)が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。メロスは、王の前に引き出された。
「この短刀で何をするつもりであったか。言え!メンヘラ!」暴君ディオニスは静かに、けれども威厳を以て問いつめた。その王の顔はファンデ塗りたくったみたいで、眉間の皺は、マジシワシワだった。
「市をテメーの手から救うし。」とメロスは悪びれずに答えた。
「おまえがか?」王は、チョイワラ。「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの孤独がわからぬ。」
「言ぅなゃ!」とメロスは、激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームして反論した。「人の心を疑うトカ、マジ恥ずべき悪徳だし。王は、ミンナを疑ってるょ。」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」暴君は落着いて呟き、ほっと溜息をついた。「わしだって、平和を望んでいるのだが。」
「なんの為の平和さ。自分の地位を守りたいの?マジ笑えるし」こんどはメロスが煽った。「罪の無い人を殺して、何が平和だし。(なんかよくわかんないけどアタシマジカッコイイ)」
「だまれ、下賤の者。」王は、さっと顔を挙げて言った。「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、磔になってから、泣いて詫びたって聞かぬぞ。」
「ああ、王マヂパネェ。自惚てれば?私は、ちゃんと覚悟決めてんだけど。命乞いとかゼッタイしないし。でも――」と言いかけて、メロスは足もとに視線を落してチョットためらい、「でも、私に情をかけたいンだったら、処刑までに三日間の猶予を与えて下さい。妹の結婚式に出なきゃなんです。三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせて、ぜったぃ、ここぇ帰って来ますカラ。」
「ばかな。」と暴君は、ダミ声で低く笑った。「とんでもない嘘を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか。」
「小鳥?ゥチ人間だし。」メロスは言い張った。「私、マヂ約束守るし。私を、三日間だけ許して下さい。妹が待ってるの。そんなに私を信じられないンだったら、この市にセリヌンティウスというズッ友がいます。マヂBestFriendなんです。セリヌンCを、人質としてここに置いて行くょ。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、セリヌンを絞め殺して下さい。よろ。」
 それを聞いて王は、鬼なキモチで、そっとワラワラ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙だまされた振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、三日目に殺してやるのも気味がいい。人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を磔刑に処してやるのだ。世の中の、正直者とかいう奴輩にうんと見せつけてやりたいものさ。
「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」
「チョット何言ってるかわけわかめなんだケド。」
「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」
 メロス的にはマヂティーだった。地団駄踏んだ。もぅ物も言いたくなくなった。
 スパダチ、セリヌンティウスは、深夜、王城に召された。暴君ディオニスの目の前で、ゥチ等仲ラビッチは、二年ぶりに再会した。メロスは、セリCに一切の事情を語った。セリヌンティウスは無言で頷き、メロスをHugした。「あたしらBFFだからねッ!」セリヌンティウスは、縄打たれた。メロスは、スグ出発した。夏いし、マヂ夜空キレカワ。
 メロスはその夜、オールしてマヂ長い距離を猛ダッシュして、村へ到着したのは、次の次の日の午前中、陽はハイパーペガサス昇天盛りで、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。メロスの16歳の妹も、きょうはメロスの代りに羊群の番をしていた。よろめいて歩いて来る姉の、疲労コンパイルの姿を見つけてバビった。そうして、うるさく兄に質問を浴びせた。
「なんでも無いょ。」メロスは無理に笑おうとした。「ゥチちょっと用事あるから、スグ市に行かなきゃなんだよね。明日、あんたの結婚式やるょ。早いほうがいいしょ?」
 妹はメッチャしょしくて頬を赤らめた。
「うれしぃ?アゲアゲなドレスも買って来たし。じゃあこれから行って、村の人たちに知らせて来てょ。結婚式は、明日やるからッて。」
 メロスは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰ってオシャンティなROOMをデコって、パーティーの席を調え、間もなく床にブッ倒れて、マヂ息も出来ないくらいヤバイ眠りに落ちてしまった。
 眼が覚めたのは夜だった。メロスは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。そうして、ちょっとワケアリだから、結婚式を明日にしてほしぃし、と頼んだ。婿の牧人は驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、9月まで待ってくれ、と答えた。メロスは、マヂそんな待てないし、どぅか明日にしてょ、とメッチャガン押ししてよろした。婿の牧人もガンコであった。なかなかOKティングしてくれない。夜明けまでディベをつづけて、やっと、どうにか婿を説得した。結婚式は、昼に行われた。新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、マヂブラックな雲がアタシらのSKYを覆い、雨ふってきて、チョー大雨になった。祝宴に参加していた村人たちは、何かヤバイものを感じたが、それでも、頑張って、狭い家の中で、むんむん蒸し暑いのもガマンして、歌をうたい、手をマヂパンパン。メロスも、マヂ幸せで、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていた。マヂ無我っていた。祝宴は、夜に入っていよいよアゲ度MAXになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。メロスは、一生このままここにぃたぃ・・・・カレに逢いたい・・・でも逢えない・・・・と思った。この良い人たちとズット暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものじゃない。ままならないんだけど。メロスは、ガチで頑張って、ついに出発を決意した。あすの日没までには、まだ余裕ありまくりだし。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。その頃には、雨も弱くなってると思う。少しでも永くこの家に居たかった。メロスでも、やはり未練たらたら羽賀研二(古い)。突然、歓喜に酔っているッぽい花嫁に近寄り、
「マヂおめ。ゥチちょっと疲れたから、ねるから。眼が覚めたら、すぐに出かけなきゃなんだ。マぢ大事な用事があるの。ゥチがいなくても、もうあんたには素敵なダァがいるんだから、寂しくないょ。ゥチの、一ばんきらいなものは、人を疑うコトと、それから、嘘をつくコト。あと、ゆうちゃんとウチらCrewをディスること。あんたも、それは、知っているょね。あんたの旦那と、どんな秘密でも作っちゃダメだょ。あんたに言いたいのは、それだけ。あんたの姉は、オトナ女子なのだから、あんたもその誇りを持っていてね。」
 花嫁は、夢見心地でうなずいた。メロスは、それから花婿の肩をたたいて、
「ゥチの家にも、宝物は、妹と羊だけ。他には、何も無いし。全部あげるょ。もぅ一つ、メロスの弟になったことを誇ッてょね。」
 花婿は揉み手して、マヂしょしい様子だった。メロスは笑って村人たちにもペコリして、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、タヒんだように深く眠った。
 眼が覚めたのは次の日の朝早く。メロスは跳ね起き、ヤバ!寝過した?いや、まだまだ大丈夫だし、これからすぐに出発すれば、約束の時間までには十分間に合う。きょうはぜったい、あの王に、ゥチらの友情が本物であるところを見せてやろう。そうして笑って磔の台に上ってやる。メロスは、ドヤ顔で身仕度をはじめた。雨も、ちょっと小降りになっている様子である。身仕度は出来た。メロスは、両腕を大きくブンブン丸して、雨中、矢の如く走り出た。ケツカッチンなのだ。
 

ゥチは、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。身代りのダチを救う為に走るのだ。ずる賢い王をやッつけるために走るのだ。走らなくちゃ。そして、私は殺される。若い時から名誉を守れ。さらば、ゥチの地元。みたいな。

上記のポエムをSNSの日記に書いて、フレンドたちから「イイ詞だね」とコメントを貰い、メロスは、マヂ嬉しくなった。


若いメロスは、つらかった。何度か、立ちどまりそうになった。えい、えいと大声を挙げて自分を励ましながら走った。村を出て、野トカ森を抜け、隣村に着いた頃には、雨も止み、日はハイパーペガサス(ry、そろそろ夏くなって来た。メロスはおでこの汗を手で拭って、ここまで来れば大丈夫、もう地元への未練は無いし。妹たちは、きっとチョーLLになるだろう。まっすぐに王城に行き着けば、それでいいじゃん。そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり歩こう、と持ちまえのマイペースさを取り返し、好きな歌(西野カナ)をいい声で歌い出した。ぶらぶら歩いてけっこう行き、そろそろもうちょいってところに到達した頃、マヂありぇないし。メロスの足は、とまった。川がきのうの豪雨で山が洪水になって、川が物凄い勢いで流れて橋トカ何かを壊してた。彼女は茫然と、立ちすくんだ。あちこち眺めて、誰かいないか呼んでみたけど、船も流されてるし人もいなかった。流れはいよいよ、マヂありえないことになって、海のようになってる。
メロスは川岸にうずくまり、泣きながら神、いわゆるゴッドにお願いした。「流れ止めてくんない?時間ないんだけど。もう昼だし。夕方までに、王城に行かないとゥチのズッ友が死んじゃうし。」
 濁流は、メロスの叫びをせせら笑うみたいに、もっと激しくなってた。そうして時間はどんどんなくなってく。メロスも覚悟した。泳ぐしかないょね。神サマも見ててくれるよね! ゥチらの友情パワーを、いまこそ発揮して見せる。メロスは、ザバーンと流れに飛び込み、濁流の中を泳ぎ始めた。
ガチの力を腕にこめて、チョー頑張って泳いだ。神も哀れ(色んな意味で)と思ったか、ついに憐愍を垂れてくれたっぽい。押し流されそうになったけど、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来た。マヂありだし。メロスは馬みたくブルブルして、すぐにまた先きを急いだ。ちょっとでもロスれない。陽は既に西に傾きかけている。ゼーハー言いながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊があらわれた。
「待て。」
「なんなの?ゥチは夕方までに王城へ行かなきゃなんだけど。放してょ。」
「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いて行け。」
「ゥチ命以外、何も持ってないんだけど。その、たった一つの命も、これから王にあげなきゃだし。」
「その、いのちが欲しいのだ。」
「もしかして王の命令でゥチを待ち伏せしてたの?まじおこ。」
 山賊たちは、なんも言わず一斉に棍棒を振り挙げた。メロスはひょいと、からだを折り曲げ、超速く身近の一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、
「ゥチらの友情は誰にも邪魔させないし!」とぶん殴り、たちまち、三人を殴り倒し、残りの山賊がバビってるうちに、さっさと走って峠を下った。一気に峠を駈け降りケド、さすがにもぅ疲れて、チョー暑いし、メロスは何度もフラフラして、マヂヤバイんだけど、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。もぅマジ無理。天を仰いで、くやしくて泣き出した。ああ、あ、濁流を泳ぎ切って、山賊を三人もやっつけて、ここまで突破して来たメロスよ。真の勇者、メロスよ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとかマジありえない。マブダチは、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならないとか。おまえは王の思う壺じゃん、と自分を叱ってみるんだけど、もうマジ無理で、路傍の草原に寝ころがった。


たいぎい、超疲れまくりラクリマクリスティ。もう、どうでもいいかもしんない。ゥチチョー頑張ったし。約束を破るつもりはないんだけど。動けなくなるまで走って来たし。ゥチなんも悪くないし。ああ、できる事ならアタシの愛と友情の血だけで動いてるこの心臓見せてやりたいょ。でもゥチゎ、もうだめ。ゥチマヂ不幸。きっと笑われる。家族とかも笑われる。ウチは友を裏切った。途中でやめるのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。ああ、もう、マヂどうでもいい。これが、ウチの運命なのかも。セリヌンティウス、ゆるして。アンタは、いつでもゥチを信じた。

メロスゎ走った…… セリヌンティウスがまってる……
でも……もぅつかれちゃった…でも…… あきらめるのょくなぃって……
メロスゎ……ぉもって……がんばった……
でも……ネイル…われて……イタイょ……
ゴメン……まにあわなかった……
でも……メロスとセリヌンゎ……ズッ友だょ……!!


上記のポエムをSNSの日記に書いて、フレンドたちから「イイ詞だね」とコメントを貰い、メロスは、再びマヂ嬉しくなった。

そういや王は、ちょっとおくれて来い、と耳打ちした。おくれたら、身代りを殺して、ウチを助けてくれると約束した。王の卑劣を憎んだケド、今は、ゥチは王の言うままになってるかも。ゥチは、おくれて行くかも。いや、行けたら行く。王は、ウチを笑い、そうして許してくれるはず。そうなったら、ウチは、死ぬよりつらいかも。ゥチ永遠に裏切者じゃん。不名誉じゃね?セリヌンティウス、ウチも一緒に死なせて。
ああ、もういっそ、逆に生き延びちゃおうかな。村には家が在るしキモカワな羊も居る。妹夫婦は、たぶんウチを村から追い出すような事はしない。愛とか友情とかくだらない。ああ、何もかも、ばかばかしい。ウチは、醜い裏切り者だ。どうとも、勝手にすれば?

――新しいポエムを投稿しようと思ったが、マジ疲れてたので大の字になって、うとうと、まどろんじゃった☆

 ふと水の流れる音が聞えた。耳をすました。すぐ足もとで、水が流れているかもしんない。起き上って、見ると、岩の裂目から湧水が。メロスは両手ですくって飲んだ。マンダム。歩ける。行こう。疲れが取れてきて希望が湧いてきた。約束守んなきゃだし。けっこう時間たってるけど、日没までには、まだある。ゥチを、待っている人がいるんだ。BFが待ってる。死んでお詫びするとか気のいい事は言ってらんないし。アタシは、信頼に報いなくちゃだし。いまはただそれだけ。走れ! メロス。

メロスは上記の文章を今の自分の顔写真とともにFacebookに投稿した。

 ウチは信頼されてる。さっきのゎただの悪夢。忘れなきゃ。疲れているときは、ふとあんな悪い夢を見るものだょね。メロス、おまえの恥ではない。やっぱ、おまえは真の勇者!!ウチは満足しながら王のトコで死ねるかも。ああ、日が沈んじゃう。神サマもうちょっと(;´д`)ノ マッテェェェ
 メロスは風のように走った。あちこち駈け抜け、すれ違った人たちを超バビらせ、ワンCを蹴とばし、太陽よりも超→早く走った。旅人とすれちがった瞬間、不吉な会話が聞こえた。「いまごろは、あの女も、磔にかかっているよ。」ああ、その女、そのBFのためにゥチは、いまこんな走ってるんだけど。親友を死なせちゃダメだし。急げ、メロス。遅れちゃダメ。ダチトモパワーを、いまこそ知らせてやる。ファッションなんかは、どうでもいい。メロスは、いまは、ほとんどマッパであった。息もできないし、二度、三度、血ぃ吐いてる。見える。はるか向うに小さく、シラ勹スの市の街並みが見える。街は、夕陽できらきら光っててぐっちゃマブイ。


「ああ、メロス様。」うめくような声が聞えた。
「誰?ぃま忙しいんだけど」メロスは走りながら尋ねた。
「フィロストラトスでございます。貴方のお友達セリヌンティウス様の後輩でございます。」その若い石工も、メロスの後について走りながら叫んだ。「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あの方をお助けになることは出来ません。」
「は?まだ間に合うし」
「ちょうど今、あの方が死刑になるところです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申します。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」
「ぃゃ、まだ陽は沈まないから。」メロスは胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばっか見てた。走るより他は無いし。
「やめて下さい。走るのは、やめて下さい。いまはご自分のお命が大事です。あの方は、あなたを信じて居りました。刑場に引き出されても、平気でいました。王様が、さんざんあの方をからかっても、メロスは来ます、とだけ答え、強い信念を持ちつづけている様子でございました。」
「だから走るんだょ。信じられているから走るの。ゥチらみんなCrewなんだよ!ついて来い! フィロストラトス。」
「ああ、あなたは気が狂ったか。それでは、うんと走るがいい。ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。走るがいい。」
 まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽して、メロスは走った。メロスの頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、ハッピースピリチュアルっぽい大きな力にひきずられて走った。日が沈む直前、メロスは刑場に到着した。間に合った。
「ゥチ、約束通り帰ってきたょ!王様!!セリヌン!!」と大声で刑場の群衆にむかって叫んだつもりだったけど、喉がつぶれて声があんま出ない。群衆は、ひとりとしてメロスの到着に気がつかない。すでに磔の柱がめっちゃ高く立てられ、縄を打たれたセリヌンティウスは、徐々に釣り上げられてゆく。メロスはそれを見つけて、さっき濁流を泳いだみたいに群衆を掻きわけ、
「殺されるのは、ゥチだょ。メロスだ。彼女を人質にしたゥチは、ここにいるし!」と、かすれた声で精一ぱいに叫びながら、ついに磔台に昇り、釣り上げられてゆく友の両足に、かじりついた。群衆は、どよめいた。あっぱれ。ゆるせ、と口々にわめいた。セリヌンティウスの縄は、ほどかれたのである。
「セリヌンティウス。」メロスは眼に涙を浮べて言った。「ウチを殴れ。ガチで頬を殴れ。ウチは、途中で一度、悪い夢を見たんだ。あんたがウチを殴ってくれなかったら、私はあんたとハグする資格なんかないんだょ。殴れ。」
 セリヌンティウスは、空気を読んで頷き、刑場一ぱいに鳴り響くほど音高くメロスの右頬を殴った。殴ってから優しくほほえみ、
「メロス、アーシを殴れ。同じくらい音高くアーシの頬を殴れ。アーシはこの三日間、たった一度だけ、メロスのこと疑った。生れてはじめてアンタを疑った。メロスがアーシを殴ってくれなければ、アーシはアンタとハグできない。」
 メロスはガチでセリヌンティウスの頬を殴った。ガッシ、ボカ!
「マヂあり。あたしらBFFだからねッ!」二人同時に言い、Hugしあい、それから嬉し泣きでマヂ泣いたんだケド。
 群衆の中からも、歓喜の声が聞えた。暴君ディオニスは、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、しょしそうに、こう言った。
「おまえらの望みは叶ったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」
 どっと群衆の間に、歓声が起った。
「万歳、王様万歳。」
 ひとりの少女が、おっしゃーなマントをメロスに捧げた。メロスは、わけわかめだった。セリヌンCは、気をきかせて教えてあげたし。
「メロス、アンタ、まっぱじゃん。早くそのマントを着なよ。この娘、メロスの全裸を、皆に見られたくないっぽいよ?」
 勇者は、ひどく赤面した。

(古伝言兌`⊂、シ儿レ儿σ詩ヵゝら★)

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