貯金20万円のアラサー女子が一念発起!“ゼロから始める投資思考” ③バフェット流投資のパイオニアに学ぶ!今こそユニクロに投資するべき理由

こんにちは。NVIC note編集部です。前回に続き、今回も川代さんのイベントレポートを掲載させていただきます。

今回は、NVICが「おおぶねシリーズ」に投資していただいている受益者様限定に毎月開催している『おおぶねメンバーズ・カンファレンス』(6月30日開催分)に参加してもらった時のイベントレポートとなります。川代さんには、受益者の皆様と同じ目線でカンファレンスに参加していただいており、レポオートで素直な感想を綴ってくもらっています。

カンファレンスに参加できなかった方も、川代さんのレポートを読んで、参加したような気持ちになっていただければ幸いです。


川代さんの想い

 今、私の銀行口座には、たったの20万円しかありません。
 いえ、正確に言えば、20万円弱しかありません。19万と4,000円ちょっと。今月末にはフリーライターとして稼いだ報酬がいくらか振り込まれるはずですが、それも家賃とクレジットカードと保険料の支払いでほとんど消え、残せるのはほんのわずかな金額でしょう。

 というわけで、私はあまり余裕がある人間とは言えません。

 28歳とそこそこの年齢でありながらお恥ずかしい話ですが、20代のうちは社会人として普通に働けるレベルになるのに必死で、とても資産運用やらセカンドライフの設計やらをする余裕はなかったのです。

 それで最近、ようやっと重い腰を上げて資産運用をはじめようと株式投資の仕組みについて調べ始めたわけですが、これがもう何が何だかさっぱりわからない。
 どんな企業に投資すればいいのか、そもそもその企業の強さを見極めるために何をチェックすればいいのかすらも、てんでわからない状態です。

 しかし、この限られた20万円というお金を使って投資をはじめるのであれば、やっぱりちゃんと納得したうえで投資をしたい。「私はこれこれこういう理由で、こんな投資をします」と自信を持って言える状態にしたい。
 そんな願いを叶えるべく、投資の勉強をはじめることにしました。

バフェット流投資家が率いる「おおぶねメンバーズカンファレンス」とは

 今回参加したのは、6月末に開催された「おおぶねメンバーズカンファレンス」です。
 「おおぶね」とは、長期厳選投資で安定した資産形成を目指すファンド。日本におけるバフェット流投資のパイオニアである奥野一成さんが率いる投資信託で、何よりも特徴的なのは、「売らなくていい会社しか買わない」というモットーで投資をしていること。

 だからこそ、「この企業に今、投資するべきか、しないべきか」の判断が非常にシビアで、徹底的な企業分析が行われています。「おおぶね」ではグローバル企業への投資もおこなわれているのですが、なんと、奥野さんが実際にその企業を視察までして選ぶこともあるのだそう。わざわざ海外の企業の工場にまで足を運び、現地の人と話をし……と、研究し尽くしたうえで判断をしているのです。
 「おおぶねメンバーズカンファレンス」では、そういったさまざまな方法で企業分析した結果が、おおぶねに投資している人に限定してシェアされています。今月から私もここで学ばせていただくことにしたのですが、いやー、もう、これが面白くてしょうがない! まさか投資の勉強が「めちゃくちゃ面白い!」と思える日がくるなんて、夢にも思っていませんでした。

 というわけでこの記事では、6月末に開催されたイベントの学びをお届けします。おおぶねに投資している人限定イベントのため、そのすべてを書くことはできないのですが……。

「ユニクロ」圧倒的な強さの秘密に迫る!

 さて、今回のカンファレンスで紹介された「投資先企業」は、ユニクロでお馴染みの「ファーストリテイリング」です。

「おおぶね」では今年の2月から投資を開始したのですが、じつは以前、NVICの中では「投資はちょっと厳しいんじゃないか」という判断がされていました。

 というのも、アパレル企業は参入障壁を築きづらいため、「おおぶね」の投資対象にはなりにくいんだそうです。

 長期厳選投資を行なっている「おおぶね」は、「構造的に強靭な企業」を見極めて投資する、という投資戦略をとっています。なかでも、圧倒的な競争優位性を持っているのか? というのは、企業の成長を判断するうえで最も重要なポイント。他社が参入をあきらめるほどの「参入障壁」を築けていないと、なかなかゴーサインが出ないのです。
 その点、アパレル業界はトレンドに大きく左右されてしまい、他社からの参入を許してしまう可能性が高い。だからこそ、いくらユニクロといえども「構造的に強靭な企業」とは言えないんじゃないかと、投資を見送られていました。

 さて、そんなアパレル業界のリスクを加味しても、今、それでもなお、「ファーストリテイリングに投資するべきだ」と決断した理由は、いったい何だったのでしょうか。

理由①「究極の普段着」というコンセプト

 みなさんもご存知かもしれませんが、ユニクロは中国、アジア圏をはじめとした海外への出店も積極的に行なっています。2017年にはついにGAPを越え、世界アパレル専門店売上第3位になりました。ZARAを運営するインディテックス、H&Mに続く、堂々第3位です。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで成長し続けているユニクロですが、なぜここまでのシェアを獲得できているのでしょうか。

 思えば、私もここ10年近くでのユニクロの成長には、素人ながら目を見張っていました。私が子どものころのユニクロのイメージといえば、もこもこのフリースジャケット。こう言っちゃなんですが、今のような「服に困ったらとりあえずユニクロ行っとけ」みたいな雰囲気は、まだなかったように思うのです。
 さて、そんな疑問への答えは、カンファレンスに登壇されていたアナリストの高岡さんが教えてくれました。

「ユニクロの圧倒的な強み……それは、『ライフウェア』=究極の普段着、というコンセプト。ベーシックに特化していることです」

 ZARAのメインターゲットがトレンドに敏感な20代女性である一方、ユニクロの顧客は老若男女さまざま。メンズの割合も大きく、あまりファッションに関心がない男性のリピート率の高さもポイントです。


全体のコーディネートを組むときに、必ず一着はユニクロの製品を着ることになる。これが、アパレルのなかでこれほど確立されたポジショニングができている理由だと思います」

 たしかに言われてみれば、私が今こうして記事を書いているあいだ、無意識に着ていた部屋着のうち、Tシャツ、ストレッチパンツ、靴下と3つがユニクロです! 仕事の日も、夏にはエアリズムのキャミソールを着て、真冬にはダウンを着込みます。よくよく考えてみると、私が持っている洋服の3割近くはユニクロと言ってもいいかもしれません。こうして、私のようにクローゼットの一定割合をユニクロに侵食されている人間が、日本中に、いや世界中に何人存在しているのでしょうか。
 なるほど、ユニクロが「圧倒的に強い」と言われている理由が、わかった気がします。


理由②高品質・低価格の秘密

「おおぶね」が投資すると判断する「構造的に強靭な企業」の条件のひとつに「世の中にとって必要不可欠なものか?」「顧客の課題を解決しているか?」というものがあります。

 はたして、ユニクロが私たちに提供してくれる価値とは、いったい何でしょうか。
 それはやはり「高品質・低価格」の製品を提供し続けてくれていること。これにはきっと、強く同意する人も多いですよね。

 たとえば、ユニクロのデニムには、世界トップメーカー「カイハラ」のデニム生地が使われています。じつはこのカイハラデニムは、GAPのジーンズにも使われているのだそうです。ところがGAPで買おうとすると、とても3,990円では足りません。おおよそ倍近くの金額が必要になるでしょう。
 さて、ならば、どうしてユニクロは「低価格」で売り続けられているのでしょうか。それは、圧倒的な経済規模を持っているからなのです。

 ユニクロはベーシックアイテムを扱っているため、ZARAやH&Mなど、トレンドを重視する企業と比べてアイテム数が少なく、1アイテムあたりの売上が高いのです。それこそジーンズのように、毎年販売されている定番商品もリニューアルを重ね、売れ続けている。
 経済規模が大きいからこそ手間暇かけてデザインし、素材を選び、ひとつのアイテムをじっくりとつくりあげることができる。さまざまなトップメーカーとパートナーシップを結び、よりよい製品をつくることができているのも、圧倒的な経済規模があってのことでしょう。

たくさん作った人だけがコストを安くできる、というのはよく言われることですが、まさにそのとおりで。他の会社が同じクオリティのものをつくっても、ユニクロと同じくらい安くはできないでしょうね」と、奥野さんも深くうなずいていました。

理由③アジアでの高いプレゼンス

 さて、最後に、2021年のタイミングでファーストリテイリングに投資することになった決め手についてシェアしましょう。

 それは、中国をはじめとしたアジア圏での店舗拡大でした。

 現在、中国のユニクロ店舗はじつに767店。ほか、東南アジアでも店舗数を次々に増やしており、現地で店長を育成する仕組みも整えられ、日本と同様になくてはならない存在になっている。2018年にはついに、海外ユニクロ事業が国内ユニクロ事業の売上を越えました

 アパレル市場はどんどん縮んでいると言われていますが、海外展開が成功している今のユニクロの動きを見ていると、長期的に市場はこれからも拡大していくだろう、というのが奥野さんの見立てです。

投資家の視点を持つと「安物のTシャツ」が「一級品」に変わる

 もちろん、ユニクロが圧倒的な優位性を保てている理由について、まだまだたくさんの要因があったのですが、このくらいにしておきましょう。

 いやー、それにしても、ユニクロのビジネスモデルをじっくり分析してみると、自分がいかに無意識にユニクロナイズされていたのか、恐ろしいほど実感しました。「ライフウェア」というコンセプトの通り、私たちにとってユニクロはなくてはならない存在になっています。おしゃれする日も、ちょっとコンビニに行く日も、風邪で寝込んでいる日も、どんなときも最低一着はユニクロを着ている。もうほとんど自分の皮膚と同じくらいに、ユニクロが身体に馴染んでいるのでしょう。それだけ着心地がよく、違和感がないという事実はまさに、高品質を追い求めたファーストリテイリングの企業努力の賜物と言えるかもしれません

 さて、こうして「投資家」の視点を持つと、世界の見え方がなんだかガラッと変わってしまいます。私が今着ている1,000円のTシャツも、「ただの安物のTシャツ」ではありません。紆余曲折のすえようやく誕生した一級品なのです。そう考えると、手に触れるユニクロの製品ひとつひとつが、なんだか宝物のように愛おしく思えてきます。

 投資を学ぶと、日常の見え方が変わる。世界が変わる。モノクロだった世界がカラーになったように……というと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、私にとってはそれくらいの驚きがありました。

 貯金下手から卒業したい、もっとお金がほしいというものすごく不純な動機で始めた投資の勉強ですが、それ以上に面白いものを得られそうな予感に、なんだかわくわくが止まりません!