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♡Ep.【ネクストで笑う男⑯】



「あい。」


「あ、もしもし。」


「どしたー?」


「8月中旬か後半あたりにさ、そっち行っていい?」


「ん?そっちって、こっち?」


「うん。」


「あーー、なら予定確認するから待って。」


「うん。」


「何日間くらい?こっち泊まるんでしょ?」


「何日でも、、まぁ2、3日かな?友達1人連れてく。」


「んーと。。じゃあ16日から20日ならどこでも。」


「わかった。じゃあ16か17日に行く。友達に聞いてみる。」


「まぁ詳しく決まったらまた教えてよ。」


「うん。また連絡するね!ありがと!」


⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ 



わたしたちの静岡旅行は
たった1本の電話であっさりと決まった。
旅行中はアサトの家に泊めてもらうことも。



ずっと

わたしの中で殿堂入りとなっていた元彼
アサトとの2年振りの再会だ




それから

16日の夜に静岡へ着く予定で計画を立て
あとは場面行動のつもりでいたわたしたちに対し

せっかく来てくれるし
楽しませてあげたいから。と
アサトは海に連れてってくれると言う。


アサトに会いに行くってだけで
一大イベントだったのに
普通に夏の旅行を満喫できそうなこと、
なにより
アサトがそうやって迎えてくれることが嬉しくて
わたしは一気にアサト熱が再発する←





旅行当日、

わたしたちは4時間くらいかけて(新幹線使わなかった)
静岡県へ向かう


長時間の移動も
ユリナと一緒なら苦ではなかった 

ユリナにはわたしとアサトの今までを全て話していた


それを聞いたユリナは
わたし以上に緊張していた

友達が結婚したいほど想っている人、
2年間ずっと殿堂入りしている元彼と会う旅行に立ち会うんだから無理も無い。。



対してわたしは揺れる電車の中で
段々と田舎の景色に変わっていく様子を眺めながら
この2年間を振り返っていた


アサトを殿堂入りさせておきながら
いろんな人と恋愛し、いろんなことがあった


"今はたくさん恋愛をして
たくさん経験をして
アサトと将来結婚するために
人として成長したい、
素敵な女性になりたい"



そんな風に思ってのことだったけれど
わたしは素敵な女性になれているだろうか....?


大切にしてくれていた彼氏とアサトを比べたり
向き合わずに逃げたり
心を許した相手に勝手に期待して、傷ついたり
好きでもない人に初めてを捧げて後悔したり
彼女がいるって分かってて頼ったり


こんなことしてたわたしは
成長なんてできているのだろうか....



むしろ、

どんどん恋愛が下手になってる気がする....


なんか、

自分がけがれてしまった気さえする・・・



純粋にアサトを思っていたあの時のわたしはもういない....




いや、わたしが唯一変わっていないのは
アサトに対する気持ちだけかもしれない....


⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ 




静岡県、三島駅に到着し
アサトに連絡を入れて、駅のトイレに入った

トイレの鏡を見て
自分を確認する・・・

これから、アサトに会うんだ



外に出ると堕ちかけていた日が沈み
薄暗くなっていた

なんか東京より涼しい気がする..





駅のロータリーにアサトが迎えに来てくれていた


「久しぶり。遠かった?」

「、、遠かった。」



アサトは大学の野球部の先輩、林さんを連れてきていた

ユリナを交えてみんなで挨拶をして

アサトが車のトランクにわたしとユリナの荷物を入れてくれた

荷物を渡すとき
ぐっと距離が近くなってアサトと手が触れた




「じゃ、行きますか。」


荷物を入れ終わり、
わたしたちを乗せて車は出発した







あー、わたし、







やっぱりこの人のこと好きだ。



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