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♡Ep.【好きだった人に好かれる時はむしろ冷静】~彼女がいらない男Ⅱ~



その日は親友とランチをした。

いつものように、話題はほとんどがハルの相談で

親友はいつだって、わたしを尊重してくれるから

一緒に考え、悩んで、導いてくれつつも

わたしの出した答えを受け入れてくれる


分かってる。
きっと親友は、わたしに
ハルと終わりにしたほうがいいよ。
と、何度も思っただろう。

でも、わたしが諦めないのも知ってるし

あまりにわたしがハルのことを
真剣に相談するから

わたしのことを想って、明確な答えを言わないでいてくれている。


そしてわたしがそれに
気づいていることも分かっていて、
寄り添ってくれてるんだよね。




結局、女子の恋愛相談なんて
他人からの答えなんて求めてないようなもの

むしろ答えなんて自分で分かっていて
でもその答えじゃ納得したくないから

人に聞いてもらいながら
自分の頭の中を整理して、
答えを否定できる材料を探してる


そして結局否定できるほどの材料なんて無くて

"わたしは彼を好きだから"

理由も根拠も必要無い
ただ彼から離れない選択をするだけ。



悩んでることが、
もう答えなのにね。




結局今日もわたしは
ハルから離れるつもりも覚悟も無いから





親友とのランチの数時間後


わたしはハルの助手席に居た。




「あ、ナナさんちょっとコンビニ寄っていい?」


「いいよ。なんか買うの?」


「いや、仕事の後で髪の毛ボサボサだからさ!
ちょっとセットしてくる!!!」



そう言ってコンビニに入って行ったハルは
数分後、ビシッとセットした髪型で戻ってきて

「せっかくナナさんと久しぶりにデートだからね!」

と、言った。


うん。仕事後に会うのは初めてじゃないし
なんならいつもヒゲも髪の毛もぼさぼさじゃん。

そんな無防備な姿でさえ、わたしは好きだったし
べつに気にしていなかったけど

そっか。今日はちゃんと
"デート"てゆう認識で、

良くも悪くも正直で分かりやすいハルは
わたしにかっこいいと思われたいって思ってくれてるのか...



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



数時間後


家の駐車場まで送ってもらった別れ際


「...ナナさん帰っちゃうのー?」


こんなに分かりやすく別れを惜しんでくれたのは
随分前にクリスマスデートした時以来だ。

記憶力のいいわたしは、覚えてる。
し、粘着質のわたしは、気にしてる。



お互い明日仕事だから、と

別れを惜しんでくれることが
嬉しいはずなのに、
(慣れていないからか)逆に冷静になってしまって

ハルにばいばいとおやすみをして、車を降りた。



部屋に入ってから、
今日のデートを振り返る。

いや、振り返るまでもなかった。






ハル、
わたしのこと好きじゃん。





ご飯屋さんに入って席に案内されるまでに
店内BGMに合わせて体を揺らしながら
わたしにぶつかってきたことも


お腹いっぱいになって
(店内で)Tシャツめくってお腹さすってるのを
わたしに辞めなさい!って注意させるのも


"久しぶりに一緒に温泉旅行に行こう"
ずいぶん前から話は出ていたものの
なかなか実現しなかった楽しみが

「ナナさんの行きたいとこ、どこでもいいよ!
お金は気にしなくていいから!泊まりたいとこどこでも言って!」

そう言ってくれて、一緒に宿探して
一気に具体的に進展したのも



そもそも今日

わたしが朝、昨晩仕事が大変で連絡が返せなかったハルに送ったLINE

あのLINEを送った直後に電話をしてきて

「ナナさん!!会いたい!」
そう言ってきたのも



わたしが自分を納得させる為に思い返せる
ハルの言動はいくつかあったけど


もう、そんな理由を並べる必要なんて無いくらい


一緒にいたら、分かったよ。



ハルの気持ちが、やっとわたしに向いたこと。


そして、
やっぱり今までは、わたしに向いて無かったことも。



でも、いい。


今は自分の頑張りが、粘り強さが、
報われたんだって、ただ喜びたい。



相手からの気持ちがちゃんとあれば
こんなにも満たされるし、

わたし特有の、あれこれ頭で考える必要が無くなるんだね。



やっと

納得できない答えを
否定する材料を、探さなくていいんだよね。



頭であれこれ考えてしまうタイプのわたしが

考える必要が無くなった開放感に

嬉しさよりも、むしろ達成感に近いものを感じたこの夜は

この恋愛の結末が

ハッピーエンドに塗り替えられたと
珍しくポジティブに、疑いさえしなかったこの夜が


線グラフだったら、一番高いところだったのかもしれない。


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