作文が苦手な子供だった

文章を書くのは嫌いではないけれど、作文とか、読書感想文とかそういったものを書くのはとにかく下手糞だった。
記憶の中で一番ひどいなと思ったのは高校の時の夏休みの宿題の読書感想文だ。高校生になってまで読書感想文を書かされるのはどうなのかと、反抗期のため思った部分と作者が指定されていた部分、どちらにも辟易した。

嫌いだったのだ。その作者の文章がとにかく、合わないのだ。

教科書にも載っているようなとても有名な作家なので避けて通ることはできないかもしれないが、どうしても嫌いなのだ。
一冊短編集を買い、その中で一番短い物語を題材に選んだ。
本当にくだらない意地を張り続けたのだ。

そして作者に対する批判と、その作者の小説を読む苦痛を書き連ねた。
最後はどうしてこの作家を選んだのか理解できない。と言ったような言葉で終えた読書感想文は、夏休みが終わり2学期が始まるとすぐに、職員室へと呼び出しされる理由となった。

担任は私を痛烈に批判した。書き直すように命令した。
しかし私もひるまなかった。
とにかく嫌いな人物の本を読むように強制された苦痛が、苦しみが、少しでも伝わればいいと思った。
別の作家の読書感想文なら、下手糞なりにもう少しまともに書けると言ってのけた。今になって思えばただの、世間知らずの怖いもの知らずだ。

そして冬休み、また読書感想文を課されることになるのだが、別々の作者の小説が3つ指定されていた。

大人というものがよくわからなかった。

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