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れーな

毎朝の通勤時

駅のホームで必ず会う人がいる。

それが、れーな 

厳密に言えば、会うのではなく
ただ、同じ場所にいるだけ

お互い喋りもしないし、目も合わせない。

れーなは黒縁メガネに
長い髪

グレーのパンツに
黒のおじ靴。

最近は寒くなったので
ベージュのコートを着ている。

それがれーなの大体毎日のスタイル。


なのに一度だけ
髪を一本に編み込んで、
ワンピースにパンプス姿の時があって


お、デートかしら。なんて日があったりして。
可愛くしちゃって今日は何があるのかしら
なんて一人で冷やかしそうになる心抑え。

女子がおしゃれをするからと言って
デートだなんて決めつけるのも失礼な話だと思って、心の中で謝る


れーなはとにかく歩くのが遅い


私たちは同じ駅で乗り換える


そしてまた同じ場所で次の電車を待つ


私はさっさと歩いて、
扉の右ポジに立ちたいのだが、


いかんせん、れーなが歩くのが遅いもんで
またホームも狭いのでれーなを抜かせない


仕方なく、れーなに右ポジを譲るしかない

これは毎日ささやかなストレスである。

れーなよ、スマホを見ながら歩くんじゃない。
まったく。



そして、昨日とある出来事があった


なんと、あのロングヘアーのれーなが
ショートカットになっていたのだ!


れーなは心なしか恥ずかしそうに俯いている気がする。


電車に乗ってからも、普段絶対に座ることなんてないのに、その日ばかりはたった二駅なのに
れーなは席に座った


これは新しい髪型での初日にドキドキしているのではないか…
と、れーなの気持ちを察してみる


今から会社に着いて、オフィスに入ったら
絶対に驚かれる。
『髪切ったんだね!』と何人に言われるだろうか。
そして、そこまで面識のない人には
気付かれても気付いてないフリでもされるかも…
そんな気まずさまで妄想してしまう

果たして似合っているのか、
大丈夫だろうか、
そんな心配と少しの期待と、心臓がドキドキしているのではないか…


れーなよ、前を向いてがんばれ…
と心の中で応援する


✳︎✳︎✳︎


とゆう、れーなは、私の友達でも何でもない
そして喋ったこともないし、
名前も知らない

こっわ笑笑

ただ毎日毎日同じ時間に、同じ場所で
電車を待つ人の一人 

れーなぽいから、れーなと呼んでいるだけ笑
我ながらやばいやろ?笑


もうかれこれ1年くらい一緒に(?)通勤している
降りる駅まで同じなのはすごい
さすがに職場のビルは違った笑
(着いて行ってないよw
駅を降りたら、私たちは二手に分かれるので。


なんなら、仕事終わりに最寄りのスーパーで
会ったこともある笑
人生の行動範囲同じすぎ笑笑


無意識に
(わっ、れーな!!)
って声かけそうになる。
そのレベルなのに、
友達でも何でもない不思議


もしかしら、逆も然り。
れーなに陰で私は変なあだ名を付けられているかも知れない、と考える


もしかして
黒リュックデカ女とか言われてないかね?笑  

いや、それとも眼中にすらないかもしれん


毎日会うし
年も近いと思われる
もはや友達になりたい!!笑

だがしかし、その気持ちを抑えて
れーなとは、
ただの『同じホームで電車待ち人』以上『友達未満』
の不思議な関係を続けるのが、
ある意味おもろいのかもと思うことにする


そして、明日もれーなと会う
お互いに気にも触れずに。


〜続く〜






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