第1話 ニコルズとの出会い

2018年の年明け頃から、
私は車を運転することが増え、
ラジオを聴くことが増えた。

私は幼い娘2人を抱える、
インドア派の地味な主婦。

夫とは結婚4年目にして、
お互いイライラすることが増えていた。

夫は仕事の拘束時間が長く、
付き合いで飲みに行く日も多い。

私は一度も文句を言ったことはない。
不満に思ったことがないから。

私は日頃から、
シングルマザーのつもりで
過ごすことにしている。

実際、いつか本当に
そうなるかもしれないから、
急にその日が来ても、
心が壊れないように。

まだ幼い娘2人を、
これからは私が1人で育てていくんだ。
今はつらいけど、踏ん張り時なんだ。
私は負けない。

そんな風に気を張っていたある日のこと。

ラジオから曲が流れてきた。
知らない曲だった。
知らないのに、知っているような、
不思議な感覚だった。

その曲は私の中に、
ごく自然に、スッと入ってきた。

入ってきた、もしくは、
私の中に眠っていた何かが
呼び起こされたような。

私はすぐにボリュームを上げた。


まだ外は寒い時期だった。
吹きつける風の冷たさが、
孤独感と心細さを助長した。

でも、同時に、
このままでいたくない。
という気持ちもあった。

変わりたい。
私は…
幸せになりたい。

幸せって何だろう。
私はどうなりたいんだろう。

はっきりとした答えは浮かばない。
ただ、ひとつ言えることは。

私は今、一歩を踏み出す時なのだということ。

自分の殻を破って、自分の足で、
前へ進んで行かなければ。


その後、そのうたは何度も流れていて、
何度も聴いているうちに、
歌詞もだんだん覚えてきた。

「あの時はごめんね
素直になれなくて ごめんね」…

D.W.ニコルズ という人たちの、
「はるのうた」という曲だと知った。

そのうち、金曜日の午後だけ、
月曜日から木曜日までとは
違う番組をやっていることにも気づいた。

しかもその、金曜日の番組はおもしろい。

金曜日が楽しみになった。

意識して番組を聴くようになったら、
金曜日の番組をやっているのは、
「はるのうた」をうたっている人だ
ということがわかった。

それでようやく私の中で、

はるのうた
=D.W.ニコルズ
=金曜日のラジオの人
=わたなべだいすけさん

というふうに繋がって、
ラジオも、わたなべだいすけさんのことも、
彼のバンドであるD.W.ニコルズのことも、

好きになったのだった。

#dw25 #dwニコルズ #今日もニコルズに恋してる本編 #ニコ恋

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?