第3話 初めて弾き語りライブを観た日(前編)

2018年9月17日(月・祝)

ラジオ局開局35周年のイベントで、
街中で7時間の公開生放送がおこなわれた。

だいちゃんの弾き語りライブが
お昼12時半からだった。

この時の会場は、自宅から車ですぐだった。

あそこなら子どもたちを連れて観に行ける。

よし、行ってみよう。

番組は11時半からだったので、
それに合わせて行き、

ライブまでは1時間あるから、
子どもたちにお昼を食べさせて
待てばちょうどいい。

私は子どもたちに、
焼きそばと、かき氷を食べさせながら、
食べこぼしを拾い、
テーブルを拭き、

ふと顔を上げると、
すぐ近くに、『彼』の姿が見えた。

黄色いTシャツ、
赤いサスペンダー、
黒いハット。

服装が目立つだけではない、
明らかに、周りの人とは違う
オーラを放っていた。

その場にいた何人かの人たちが、
代わる代わる『彼』に声をかけていた。

手土産を渡す人。
持ち物にサインを書いてもらっている人。

写真を一緒に撮っている人。
握手してもらっている人。

私も『彼』と話してみたかった。
近寄って声をかけてみたかった。

でも、子どもたちを置いて、
この場を離れるわけにはいかない。

結局、『彼』が自由に歩き回っている途中で、
一瞬だけチャンスが訪れた。

少しだけ距離があったけれど、
目が合ったのだ。

私はすぐに、
「こんにちは!」
とだけ、声を出した。

すると『彼』も、

「こんにちは」
と、返事をしてくれた。

私はそれだけで胸がいっぱいになり、
それ以上何も言えなかった。

次女がお茶を欲しがったので、
私は『彼』から目線を逸らしてしまった。

『彼』もまた、
他の人に声をかけられたりして、
すぐにその場を後にした。

『彼』とラジオで出会ってから半年。

私はこの時ようやく、
『彼』と対面できたのだった。

後編へ続く。

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