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共有アレコレ

最近、共有の登記を見る機会が多いので、少々まとめてみる。

意思決定方法(共有持分による多数決)

民法と区分所有法で少々、意思決定の考え方は異なりますが、以下の考え方が主になる。

無題

何かをするにつけて、共有者の同意(区分所有法においては議決権の行使による集会の決議)を必要とする。

(併記するとややこしくなりますが、株式をはじめとした、諸権利関係(知的財産権など)も民法の共有物の派生ですね。う~ん民主主義)

で、ここで共有持分という持分の割合が重要になってくる。夫婦のペアローンも共有関係ですね。

最近、見た登記だと3分の1ずつなり、5分の1ずつの相続。恐らくご兄弟で差を付けずに、それぞれが取得したと言った感じ。

一つは住宅地。贈与や遺贈と相続を経て、最終的に所有者が1つにまとまっていたし(シノケンが買ってました)

一つは商業地。遺産分割の登記原因で共有持分の全部が一人にまとまっていたので調停か審判までいったのかなぁ?

一つは絶賛共有中。背景を想像するだけで、なんとも大変。(分ける時は平等なんだろうけどね)

共有中の案件は、市街化調整区域なのですが、これ以上、相続などで共有者が増えないことを祈ります。

持分割合

区分所有法だと、原則、床面積がそのまま議決権割合に反映されるのですが、面積にさほどの差がなければ一住戸一議決権を規約にて採用している区分所有建物もあります。

ちなみに、不動産鑑定評価の考え方で、効用比効用積数といった論点があるのですが、階数(高層か低層か)や位置(南向きか角部屋かなど)を効用比として考慮して、各部屋に効用積数として落とし込んで、面積をかけて評価を出す手法があります。

https://reatips.info/kaisou-ichi-kouyouhi/?fbclid=IwAR31UKNoaUuxI3UY5imxj-C3Y9lR-TVg3VQuEsZuCW80fb7GbnGrmsJXft0

分譲価格や、係争の家賃算定根拠、再開発などの等価交換事業、さらには最近の標準管理規約において、議決権にこの価値割合を考慮しようといったコメントもありました。

確かに民法の「持分の価額に従う」という原則論からは理解できるのですが、実務上は集計が大変になるよな、とは思います。(商業地の複数道路に面している場合などは、表通りと裏通りの価値が大きく異なるので検討の余地はあるのかなと)

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手続き上の話

で、不動産の世界においては、土地と建物は別の財産であるというのが基本的な考え方ですが、区分所有法においては敷地権という考え方があり、土地と建物を分離して処分することは、原則、禁止されています。

https://reatips.info/shinkichi-ken-touki/?fbclid=IwAR3A0yCPdsj4rkQGdyJbRKmj-MWcZBEg9hSHsic3cM-nKthTqxmWPhr3Wo4

これは、土地と建物を別に処理すると、登記記録(特に土地)と契約関係が複雑になるということから制定された模様。

ちなみに昭和59年1月1日での改正になるので、それ以前(築40年程度)は非敷地権である可能性はあります。

もっとも、当時は50戸を超える区分建物は当時の登記官の職権で敷地権の移行はされたようですが、50戸未満はそのままのようです。(この辺は当時の共有者の合意形成も関係しているでしょうから、全てが全てではないと思います)

また、借地権の区分はそもそも土地が地主の物であるので、非敷地権です。

例外として、分離処分を可能にする規約を制定する場合もあるようですが、土地家屋調査士による公正証書を巻く必要がありそうです。(敷地売却などを伴うケースですかね)

団地においては建物の共有(例:20戸で共有)と土地の共有(例:160戸で共有)、集会所の共有(例:512戸で共有)が入り組んだ関係になるので、やや複雑ですが。

ともあれ、基本的には共有部分の共有持分割合=敷地権の割合=議決権割合=管理費や修繕積立金の負担割合です。(規約で別段の定めは可能です)

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しかし、この分母の上限って無いんですかね?ぱっと見で検算できないw(1.8%です)

余談

最後に規約敷地及び規約共用部分は共有の目的物となり得るか?

https://iqrafudosan.com/channel/houtei-kiyaku-shikichi

https://yyaa04z.hatenablog.jp/entry/2013/07/25/110335

マンションの立っている土地は法定敷地です。

で、立っていない土地は規約に定めることで敷地としての扱いを受けます。

ただ登記簿上の扱いがどうなるのか?

主体が法人か、個人かで結論は異なると思いますが、法人化している管理組合であれば、土地の所有者は管理組合名が記されるでしょうし、そうでなければ、各人の名前が連なる形になるのか?法定敷地同様に敷地権扱いを受けるのか?(この辺はあやふやです)

で、法人の所有物は表面上は法人格を得た法人の物ですが、管理組合の構成員である各区分所有者に帰結するので、結論としては共有の目的物になるのかなと。

規約共用部分は、本来なら通常の分譲部分を規約にて共用部(会議室など)扱いすることですが、登記簿上の扱いは土地とイコールだと思いますが、

この場合、敷地権を持たない部屋になるので、各部屋の共有持分が変わってくる。(分子が変わる)


なんか、あれこれ考えていたら途方もない所に迷い込んだ気がしたので、頭の整理にまとめてみました。多分、もっと深い論点はあると思いますが、今回はここまで。

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