第1回公認心理師試験 問題6と解説

問題6

記憶の実験によって示される系列位置効果について、正しいものを1つ選べ。

① 初頭効果は、学習直後に遅延を置くと消失する。
② 系列再生法を用いた記憶の実験によって示されるものである。
③ 親近効果は、長期記憶に転送された情報の量を反映したものである。
④ 学習段階で単語の呈示時間を長くすると、リストの中間部の再生率は低下する。
⑤ 系列位置ごとの再生率を折れ線グラフとして表した系列位置曲線はU字型になる。

解説6

系列位置効果とは、いくつかの項目から構成される系列を学習する際、各項目の系列内の順序によって、学習の難易度が生じる現象のことである。この効果を誤答数などで示したのが系列位置曲線であり、一般的に系列の最初の部分が最も容易(初頭効果)で、系列の最後の部分がこれに続き(親近効果)、系列の中央の部分が最も学習しにくい結果となる。最初と最後だけが「良い再生率をはじき出す。」というもの。

ちなみに、初頭効果は、リハーサル(頭の中での反復再生)の効果で、短期記憶から長期記憶へ情報が転送・貯蔵されたためと説明される。一方、親近効果は、再生までの時間間隔が短いときにのみ観察され、数分以上の間隔をおいて再生させると効果が消失することから、短期記憶内に残存している情報をもとに再生が行われたためと説明される。

① 初頭効果ではなく、親近効果のこと。初頭効果と親近効果が逆になっている。
② おそらく「系列」という名前をかぶせた引っ掛け。系列再生法という言葉を聞いたことがない(今のところ)。
③ ①と同様、親近効果ではなく、初頭効果のこと。逆になっている。初頭効果と長期記憶、親近効果と短期記憶がペアになっている。
④ 呈示時間を長くすると、長期記憶に移行しやすくなるため、再生率は上昇すると考えるのが妥当である。よって、この選択肢は間違いに限りなく近い。
⑤ 初頭効果と親近効果によって再生率が上がり、系列位置曲線はU字型になるので、これが正解となる。

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