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第1回公認心理師試験 問題2と解説

問題2

児童虐待について、緊急一時保護を最も検討すべき事例を1つ選べ。

① 重大な結果の可能性があり、繰り返す可能性がある。
② 子どもは保護を求めていないが、すでに重大な結果がある。
③ 重大な結果は出ていないが、子どもに明確な結果が出ている。
④ 子どもは保護を求めていないが、保護者が虐待を行うリスクがある。
⑤ 子どもが保護を求めているが、子どもが訴える状況が差し迫っていない。

解説2

児童福祉法第33条の規定に基づき、児童相談所長または都道府県知事が必要と認めたとき、子どもを一時保護することができる。第5章第1節1(1)において、一時保護を行う場合は、次の通りと規定している(
第5章 一時保護より一部抜粋)

ア 適当な保護者や家がないため、緊急にその子を保護する必要がある。
イ 虐待、放任等の理由で家庭から一時的に引き離す必要がある(虐待を行った保護者が引き渡しや面会などを求め、それを認めたら再び虐待が行われそうな場合を含む)。
ウ 子どもの行動が、自分や他人の生命、身体、財産に危害を及ぼすおそれがある。

一時保護の目的は、「子どもの生命の安全を確保することである。単に生命の危険にとどまらず、現在の環境におくことが子どものウェルビーイング(子どもの権利の尊重・自己実現)にとって明らかに看過できないと判断されるときは、まず一時保護を行うべきである。」(子どもの虐待対応の手引き第5章より)である。

それらを踏まえて選択肢をみると、
① 「重大な結果の可能性があり」ということは、その時点で何も起きていない。しかし、仮に子どもを主語とするならば、上記ウの可能性が出てくるため、判断は保留。△。
② 「重大な結果」を、保護者や家がない、虐待を受けていると読み替えることができるため、○。
③ 回答文の日本語がおかしい。「重大な結果」が出ていなければ、子どもに「明確な結果」が出ることはない。
④ 「虐待を行うリスク」は、あくまでリスクに過ぎないため一時保護の理由にならない。虐待や放任等がまだ行われていないことを意味している。
⑤ ④と同様に「差し迫っていない。」なら、何も起きていないことを表している。
①か②のどちらかだが、②の方がより良い回答であるため、答えは②となる。

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