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碇ユイさんが一番怖いという話

 新世紀エヴァンゲリオンというアニメに登場する主人公、碇シンジの母親、碇ユイについて、こういうご意見を見た。


あいつは間違いなく女狐だ。それも、随意下じゃなくて無意識のうちに全部悪企みを判断・遂行してしまう特級のワルだよ。


 まさしく、同意する所ですね。
 まあ、ワルという言葉の概念が僕とは若干違うんですけど。
碇ユイは悪人ではないんですけど、もうどうしようもない奴ですよなあ。
 自分の目的=人類の目的=人類の幸福
と本気で考えてるし、そのために世俗の幸福を捨てられる自分は美しいとさえ思っているようなところが在る。
 しかも、ユイのことを知っている人はほとんど死んでるかユイにベタぼれ、もしくは逆らえない息子なので、誰もこの女を止めない。
 作品内でも、エヴァは恐ろしいんだが、ユイ自体は清楚であり理想の女性の象徴と言う風に終始描いて在り、非常に美しいんだが、最近は、それが怖いんです。


 かつて僕は碇ユイが僕は大好きだった。

 キチガイばかりのキャラクターの中で、一人だけ、唯一、未来に希望を持った女性。優秀な科学者であり死後も主人公を守る母。まさに完璧。

高校生の時の読書感想文も、碇ユイの名言「生きていればどこだって天国になるわよ」に感動したと書いた。

あの頃書ききれなかった感想を成人男性の脳でまとめると、こうだ。「世の中にはなんだかどうしようもない陰謀とか天変地異とか戦争とか事件とかあって、憎んだり憎まれたり、死んだり死なれたり殺されたり殺したりします。そんな世の中でも生きていれば天国に作り変えていけるんだ、作り変えていこうと言う気持ちが、なんかいいよね。シンジ君もその言葉で再生したし。」


だが、しかし


「どこだって天国になるわよ」とか、いい言葉だなあと思ってたんですけど、富野信者になったりなどの寄り道をすると、


「そりゃあ、あんたが何人も殺して無理やり自分の天国を作ってるからでしょうが」とか思うようになってたんだなあ。と今日気付いた。

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