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浮世絵ぬりえシリーズ


2021年のnote振りかえり

2022年が明けまして、ひさびさのnoteの投稿です。

noteをはじめたのは2020年の年末、ちょうど1年前でした。オリジナル塗り絵の無料配布サイトを始めて3年。ブログは2年と数か月という時期。
2020年は「塗り絵」というジャンルが注目された年でもありました。
おうちでの膨大な時間の過ごし方のひとつとして、私が運営しているサイトも多くの方に関心を持っていただきました。

冬の休暇でもあるし、ブログに書くほどでもないけれど覚えておきたいこと、まとめておきたいことなどを記すもうひとつの場所として、以前から興味のあったnoteに2020年の出来事を綴り、またサイトを始めるまでのいきさつや塗り絵づくりの原点をふりかえってみる時間をもちました。

テーマとしては「冗長」を掲げていまして、めざせ3000文字。何を書くとか決めずにだらだらいこうと。いろいろ思うまま書いてみて、まあ自分のためのアウトプットといいますか自分の現在地を知ることにつながれば、そして目指す方角がおのずから見えてくれば、なんてことぼんやり考えつつ、ひたすら駄文を書いてみた2020-2021の年越しでした。

その後思い立ちまして、タブレットとタッチペンを購入。デジタル描画に取り組み、その過程も記事にして、有料noteでお仕事依頼を受けられるようにして、ということでの2021年の前半。

でもなんというか、ぬりえサイト運営の一環として始めたnote。友人も「いろんな窓口というか繋がりの手段は多いにこしたことないよね」といってくれたしよしよしと思っていました。ですがまあブログもやっていることですし、noteをみて頂くことにそんなに一生懸命になれなかった。勤め人でもある私には継続して長い文章を書き続ける余力もなかったですし、なんというか「もっとディープに知りたい」と関心を持ってくださった方向けコンテンツ」みたいに考えていたので、「100%フォロー返し」みたいな方からの、たぶん私の文章はおそらくいやきっと絶対読んでないだろうなって方のフォローにはお答えぜずの方針でいましたら、まあこんな数字のまま2021年の後半は過ぎていきました。

そして年末。12月もなかば。
「見る人もいないし、内容的にもこっ恥ずかしいしお仕事依頼もなんか自意識過剰気味な気もするし」で、
「年内をくぎりにnote閉じちゃおっかな~」
と、なんとなく考えていました。

そしたらですね、もう明日あさってで仕事納め、っていう時期のクリスマスも過ぎた年末に、
「あれ~note見てる人がいる」
「お仕事依頼もみてる」「CONTACTのページも見られてる」

(ブログやってる方はご存じと思いますが、そういうのはリアルタイムでわかるようになってるんですねWordpress)。

で、その日のうちに、これはこれはという素敵なオファーをいただきました。もうすっかり気をよくしまして
「noteやっててよかった~」となり
「やっぱ年にいちどはサイト運営の成果をまとめる機会も必要よね」てことで、

「noteは年にいちどの振りかえりツールって位置づけでよし」と、(昨年にはなりますが)数日前にあらたに決心したばかりの2022年頭です。

と、ここまでまったく表題にふれずにきてしまいましたが、以上2021年のnoteについての振りかえりでした。はい、本題いきます。

浮世絵ぬりえシリーズ制作のきっかけ

今年のぬりえ制作のトピックは、なんといってもデジタル描画を始めたことと、秋に取り組んだ浮世絵ぬりえ。

記憶に新しいのは浮世絵ぬりえです。11月末まで2ケ月以上「浮世絵浮世絵」の秋でした。

ちなみにまた脇道ですが、デジタル描画に関しては2021年度から(要は4月からですね)仕事でipadが支給され、私にとっての初のアップル製品だったんですが、結論から言うとそれがきっかけで現在はアイビスペイント一択です。あの直観的な使用感。私には機能も十分(いや余りあるし使いきれない多分一生)なので、他のソフトには戻れないんじゃないかなという感じの現在です。

浮世絵ぬりえに関しては、ず~っと、「描かなきゃ」と思っていたのです。ぬりえラボ(私が運営している無料塗り絵配布サイトです)を始める、もっと前からも。

というのは、最初につくった浮世絵ぬりえ

和紋様2

この「歌舞伎役者の塗り絵」が、周囲でとても好評だったからです。

ぬりえサイトを始めるもっと前。週イチで絵画指導をしている知的障害者更生施設で、利用者さんも職員の先生方も、なんだかすごく気に入ってくれた。

施設の利用者さんは18歳以上の大人の方で、男性が7割強。もちろんというか塗り絵を好んでくださるのは女性の方が多いんですが、この浮世絵ぬりえは男性の利用者さんにもウケが良かった。

想像するに、塗り絵のもつファンシーさというか可愛いものジャンルというか、まあ古いジェンダー観ではあるんですが「おんなこども」的な匂いに、

「俺がすることじゃない」

と感じる男性利用者さんも、まあいらしたわけです。そういう方にとっては、この浮世絵ぬりえは塗り絵をする気恥ずかしさがないのかなんなのか、取り組んでくださるし、それはまあ素晴らしい完成度のものを作り上げてくださる。

その過程を見ていて、「あ~、このジャンルは描かなきゃな~」と、ずっと思っていました。

役者絵とかね、武者図とか。東海道五十三次とかですね。

ですが勇ましい系は元来得意ではないことと、浮世絵となると資料がないと「そら」では描けない。

で、後まわし後まわしになってサイト開始から3年がたち、だったんですが、今年の8月だったか9月だったかに、男性利用者さんがこの「歌舞伎役者の塗り絵」にふたたび取り組み始めてらっしゃることに気が付きました。

「え、多分これ塗るの3回目だよねいや4回目もしかして5回目???」

ってなりまして、わたしの塗り絵クラブではファイルのなかから参加者さんが自由に塗りたい図柄を選んで塗ってもらう方式なんですが、

多分常時200種類は超える塗り絵ファイルの図案のなかから、なんどもこの歌舞伎役者の塗り絵を選んでくださる様子を見て、

なんだか申し訳ない気持ちになっちゃったのです。

この「ごめんなさい」の気持ちが強い強いモチベーションになりまして、とりあえず10は無理でも10に近い数字を目指すぞとゆるめの決意をしまして、9月末から制作をはじめました。

喜多川歌麿

歌麿0

ここからは個別の作品について触れていきます。

歌麿ですね。これ描くために画像検索たくさんして主だったものをプリントして、歌麿の世界を一枚の線画に、ということで組み合わせを考えます。

歌麿は、想像以上に「ザ・春画」で、いやはや考えが甘かった。奥の深さにタジタジの気分になりました。

このシリーズは「中高生のお勉強にも役だててほしい」という側面もあって始めた部分もあったので、ほんのちょっとだけ男女の秘め事のとれなくもない、くらいの風味づけをしてこういう結果になりました。

ちなみにこの着彩例は色鉛筆の手彩色です。

葛飾北斎

北斎0

なんといっても北斎。偉大過ぎるたぶん日本を代表するピカソに並ぶいや超えてるかもの大芸術家。

その多岐にわたる画業を一枚の絵に、という難題ですが、出した答えは「画像検索の上のほうから」、です。

美術の授業の時間に、課題が早く終わっちゃったときの副教材、みたいなイメージで制作していましたので、中高生がこの塗り絵を塗ることによって

「葛飾北斎ってこういう絵を描いた人」

ということを感覚として記憶してほしい、みたいなとこがあったので、

そして今時の小中高ではみんなタブレットをもって授業に臨む、なので「北斎」と画像検索しながら塗ることも想定して、

このプルシャンブルーというか藍色というかのいわゆる「ジャパンブルー」は、合成染料の輸入がもたらしたものなんだよ的な歴史と社会のこととかもついでに記憶してくれたらなとかも考えたりした北斎塗り絵になりました。

こちらの着彩例はデジタルで、主にエアブラシのツールを使用しました。

東洲斎写楽

写楽0

日本美術史最大級のミステリー。謎の浮世絵師、東洲斎写楽です。

こちらの着彩例は色鉛筆の手彩色です。

塗り絵の着彩例をつくるときは、「塗り絵であること」がわかるように塗るようにしています。つまり途中でやめるということ。見た人が続きを塗りたくなる「余地」のようなもの残すように心がけています。

同時に着彩例は、見る人に楽しんでもらうためのものでもあります。

わたしはFacebookも細々と続けていまして、それは名刺がわりというか、ぬりえの活動をする際に私がリアルに存在していることの証明のためという部分もあり、広げていく努力はほぼ放棄しているものの、暖かく見守ってくださっている方々と交流できる大切な場でもあります。

で、そのお友達の方々は、べつに塗り絵をする方ではない。まあ塗り絵は根強いジャンルだとは思いますが、塗り絵を印刷して塗ってくださる塗り絵愛好家の方よりも、あたりまえですが圧倒的に塗り絵をしない人は多い。

ぬりえサイトをはじめてからはSNSの投稿はほぼ新作塗り絵の紹介に終始していたのですが、そしたら絵面はやはり、白黒になってしまうんですね。

そのモノクロ投稿をひたすらしていたわけですが、ある時思った。「見ていてつまんないんじゃないだろうか」と。

SNSのお友達は、塗り絵をぬることは、もしかしたらずっと未来にあるかもしれないけれど、ほぼないわけです。日常には。
でも色を見て味わい、想像する楽しみはあるんじゃないかと、塗りかけの塗り絵をみてシンプルに色を楽しんでもらうことはできるんじゃないかと思いました。

ということでモノクロ線画の塗り絵画像に、ほんのすこし色を差して、途中っぽさを残した着彩例をつくるようにしています。全部ではないですが6割くらいの塗り絵で作っています最近は。

この写楽の塗り絵では色鉛筆でリアル着彩です。紙に印刷した塗り絵に手で塗った、という意味でのリアルです。デジタル着彩と分けるための言い方ですね。ほんとうにデジタルの浸透はもう当たり前のことになっていて、10代の人のお絵描き好きの子たちと話していると、つくづくそのことを感じます。

ですがこの着彩例では「デジタルでは表現できない雑味」のようなものを出せたかなとちょっと思っていまして、まあ私のデジタル技術の拙さを加味しても、まだまだリアルのほうが雄弁だなあと思った一枚でした。

歌川広重

広重0

そして避けては通れない東海道五十三次。歌川広重です。

塗り絵をすることで受験ワードも覚えられて二度おいしい、みたいなところを目指していましたので、必須でした。

この絵、なんか見たことある。授業で塗った。というふうにぼんやり感覚で覚えててほしいので、あまり細かすぎる図になってやる気を削がないように、と心がけて、ざっくりと省略しました。

橋やその他の構造物など、実は笑っちゃうくらい略していますので、もし興味があれば画像検索と見比べてみてください。雰囲気だけ「見たことある感」を再現してみたつもりです。

花魁と禿(おいらんとかむろ)

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これは参考にした元図は渓斎英泉筆の『江戸町一丁目 和泉屋内 泉壽』という1821年に描かれた浮世絵で、着物の柄や背景などは創作です。ぬりえクラブのメンバーには今のところ一番人気です。デジタル着彩です。

役者と遊女

江戸の華0

こちらは創作で、花魁と歌舞伎役者が題材です。デジタル着彩です。

歌舞伎もの

かぶきもの0

こちらも創作で、なんだかポップな仕上がりになっています。これもデジタルオンリーです。

ビードロを吹く女

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そして歌麿の代表作「ビードロを吹く女」をモチーフにした創作の塗り絵です。

冒頭のでご紹介した歌舞伎役者の塗り絵を、ぬりえラボでブログ始めた頃に紹介したところ、驚くほどたくさんの方がサイトに訪れてくださったことがありました。

理由をいくつか調べてみると、どうやら「歌舞伎 塗り絵」で画像検索すると、けっこう上位に表示されていて、そしてどうやら海外の方が見に来てくれているらしいとわかりました。

それに気を良くして、ウタマロ・フジヤマ・ゲイシャよね~、とか思って作ったのがこの塗り絵です。2018年の秋です。で、そこで続かず止まってまして、3年越しの宿題だったなというところです。

このころは着彩例はつくっていなかった時期ですね。

デジタル描画とリアル描画

ぬりえラボの活動において、今年はデジタル元年でもありました。

最初は年頭の思い付きで「タブレット買うたる~!」

の勢いでヨドバシカメラに飛んでって買って帰った、に始まり、さらに4月からは仕事でも用い(ぎりぎりセーフで間に合った感あり)、まあその試行錯誤は2021年の前半のnoteにある通りなのですが、

今回の浮世絵シリーズご紹介において着彩例では

デジタル(5):リアル(2):三年前は着彩ナシ(1)

線画の制作は

今年はすべてデジタル(7):三年前(1)

という比率が、今年の塗り絵制作を簡潔に物語っているなあと思い至っているところです。

最後に浮世絵塗り絵8作品のPDFファイルをご紹介して、拙文終了させていただきます。

ありがとうございました。

※文中でご紹介しました着彩例では画像に色がほどこしてありますが、印刷用PDFファイルでは白黒の線画となっています。

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