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【in my book_#2】 大野正人 『失敗図鑑』

人生を生きるとは、つまりはこういうことだ。
あらためて、そんなことに気づかされる本。

登場するのは、誰もが知る人物ばかり。
ライト兄弟、ダリ、夏目漱石、ベートーヴェン。。。etc

それぞれについて、3ページ程度にまとめられている。
最後のまとめの一文が秀逸で、自伝や伝記、研究本を読むよりも、心にスッっと入ってくるほどストレート。

本の帯には「10歳から読める(ふりがなつき)」とあるが、さすがに10歳では人生経験が少なすぎて、「よめる」けど「読めない」だろう。

現代は何かと損得勘定で生きることが多い気がする。

将来性があるかどうか?
生活していけるように先を考えて行動する。
社会で通用する資格をとる。
そして、何よりも、お金を稼いで自立し、社会の一員として真っ当な人生をおくる。
どれも「普通」といえば普通のことである。

けれど、お金にならないけど好きなものがあるときはどうしたらいいだろう?
将来、何の役に立つかわからないけど追求したいものがあるときはどうしたらいいだろう?
子どもの頃は、誰だって好奇心を持って何事にもチャレンジすることを「良し」とされていた。
でも、いつのまにか、大人になるとそうではなくなった。

いつまでも、心のおもむくままに生きていると、自由人だとか、社会貢献をしてないとか、身勝手だとか。。そんな視線を感じる。

心に余裕がなく、無駄なことに人生をかけることは失敗なのか?
しかし、何かにチャレンジして失敗しても、あきらめずに努力して、信念を持って、何かに執着した人たちのおかげで、今の世界があるのも事実。

この本には、そうした人々の価値観が描かれている。

ベートーヴェンの項目が印象的だった。

「夢なんてない」「わからない」という人も、きっと多いことでしょう。
でも、それでいいのです。
じつは、本当の夢というものは、そんなにかんたんにみつかるものではありません。
それでも、「自分にできることや、やりたいことを見つけて、夢をもちたい」と思うなら、ベートーヴェンを見習って、思い切って孤独の中に入ってみるのも悪くない方法です。
勇気を出して人からはなれ、ひとりになって、自分と向き合う。
じつは、このようにして見つけた夢のほうが、かないやすかったりします。
(P61 より抜粋)

いつも孤独な自分に向き合って、世の中の真実を見ようとしている人には、偉人が生きた証を知ることで、自分でない自分を知ることになるだろう。

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