日記:再生できないもの

「ダンスロボットダンス」を唐突に思い出して聴いていた。唐突にというか、ニコニコ動画を見ていたら広告で流れてきたからだ。「#コンパス 戦闘摂理解析システム」というゲームのCMソングになっているみたいですね。

いや、これどっちなんだ。曲が先だと思っていたけれど、どうやらゲームに合わせて作られた曲っぽい。

動画の投稿日が2016年12月6日。

Wikipediaによると、「#コンパス 戦闘摂理解析システム」のリリースが2016年12月17日。

どうやらゲームのテーマソングとして作られた曲のようだ。今まで全然知らなかった。「#コンパス 戦闘摂理解析システム」というゲームがそもそも、キャラクターに対してテーマソングが与えられているようで、あまりボカロPに明るくない自分でも知っている名前が挙がっている。初期から10人ものキャラクターと、それぞれのテーマソングが存在しているようである。音楽にかなり力が入っているなあと、素人ながら感じる。


そういえば、音楽に力を入れているという印象のあるバンダイナムコさんの「電音部」にて、40週連続で新規楽曲がリリースされるとのニュースを目にした。

えっ

40週!!!???

1年は52週と1日である。その殆どを覆い尽くしている。そんなことが可能なのか。怖さすら感じる。電音部はまだ触れられていないけれど、かなり気になっている。


「ダンスロボットダンス」、自分がこの曲をちゃんと知ったのはMAD動画だった。「Doki Doki Literature Club!」というゲームのMADなのだけれど、もしゲームをプレイしていない場合はプレイしてから見た方がいいと思います。ゲーム体験がかなり凄まじい。

それでナユタン星人さんという方を知って、一時期曲を結構聞いていた。「ミステリーサイクル」とかが好きです。曲の爽快感と、どこか切なさを思わせるような歌詞が心を打つ。


自分は結構ニコニコ動画を見て過ごした時間が多いのだけれど、ボーカロイドはたくさん聴いていたというわけではなかった。「メルト」とか「ローリンガール」とか「初音ミクの消失」とか、そういう有名どころを、流行りがすぎた後に聴いていい曲だなあと思っていたりした。「マトリョシカ」がめちゃめちゃ流行っているなあ、というのを、その熱狂の中ではなく少し離れたところで観測しているような、自分にとってボーカロイドとはそんな距離感だった。

大人になって、ニコニコ動画もそんなに見なくなった頃。2年くらい前に、友人から「ニコニコ超会議」に行かないかと誘われた。なんでも、その前年に行ったのがとても楽しかったのだと。特に、ボカロPの方がDJをするステージが凄かったと。ボカロ曲の知識が全然ない自分は、そこに行って楽しめるだろうかという一抹の不安を抱きながらも、そういうイベントに全く行ったことがなかったので(コミケにも行ったことがない。オタクなのに)、好奇心から一緒についていくことにした。予習としてステージイベントのあるゲーム実況者さんの動画をみた。めちゃめちゃ面白かった。かなり独特な命名をされる方なのだけれど、下記の動画はゲームの仕様上、何度も命名をすることになりその度に笑っていた。


はじめてのイベントは楽しかった。ここまでインターネット的なコンテンツがリアルに跋扈している空間は(自分の経験上)今までになく、ニコニコ動画を見ていた昔の自分が肯定されていくような、そんな錯覚があった。勿論、広がっている展示は現代のもので、昔自分が嵌っていたときのコンテンツがそこにあるわけではないのだけれど。なんというか、いつも世界で隅の方にいた自分がそこでは楽に息をできるような、そんな空気感を覚えたのだった。

いくつか展示を周り、DJスペースへとやってきた。そこではたくさんの方が交代でずっと音楽をかけ続けているようだ。DJというものにも詳しくない。DJが何をやっているのかさえ知らない。なんか円盤を回している気がする。そのレベルの認知だ。しかし、そこで感じた衝撃は、なんというか、今までの価値観が変わってしまうようだった。

有り体なことを言うけれど、音響の効果により音楽が全身に響いて感じられる。さらに、周囲の観客と一体になって熱狂の渦に巻き込まれていく感覚。スマホで音楽を再生することでは得られない、その場限りの体験があった。

再生できないもの。ライブなどの現地の感覚がそうだ。その場限りの熱量。それは家でBDを再生することでは得られない。一度だけの体験で喪われてしまう、再生不可能な熱がある。それまで自分はライブなどの現場に足を運んだことがなかったのだけれど、そのとき確かに、再生できないものを感じ取ったのである。

そのとき聞いたのがkzさんのDJで、後にオンラインのDJイベントだったりで他の方のDJも少しではあるけれど知るようになったので、そういう意味で「電音部」が気になっている。そのとき知った名前がたくさんあるのだ。DJがなんなのか未だによくわかっていないのだけれど、あのときの興奮は時折思い出したように蘇ってきて、なんだか落ち着いていられない心持ちにしてくれる。

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