日記:一回性

過ぎていく時間のどれもを繋ぎ止めておきたくて、けれどそれは叶わぬ夢と知って、あらゆるものが輪郭を失っていく現実で今日も生きている。永遠なんて存在しないけれど、それを夢見ながらこの道を歩いていくのは、そんなに悪いことではないのだと思うようになった。

ライブによく行くようになって、事象の一回性について目が向くようになった。あらゆる存在は繰り返されることのない、ただその瞬間のみに観測される産物だ。時間と空間が制限されるライブではそれが殊更強調される。楽しかったけれど、同じ瞬間を体験することはできない。現地のチケットを握っても、ステージから遠い席かもしれない。朧げな幸福感のほかには何も残らない。でも人生ってそういうものかもしれない。形あるものはいつか消えていく。思い出もいつか忘れていく。そこにあると思い込めるものしか存在しえない。だからきっと、誰もがなにかを信じて生きていく。

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