日記:飲食店でバイトしたことないコンプレックス

仕事が遅くなった日の帰り道、通りがかる閉店後の飲食店で、クローズ作業を終えたと思しき人たちがテーブルに座って話しているのをよく見かける。仕事が終わったあとに仲の良い同僚たちと楽しい時間を過ごしているのかもしれない。いつしかそんな時間が習慣になったのだろうか。もしかしたら惰性で続いているだけだったりして。

そこには知らない世界があるのだろうなと思う。そんな空間がたくさんあるのだろう。自分はもちろん自分の世界だけしか知らなくて、他人の世界を決して経験することはない。だから、人の経験を聞くのは好きだ。まったく知らない物語がある。

飲食店でバイトしておきたかったな、とたまに思うものの、同時に自分に接客は向いていないだろうなとも思う。強く言われるとかなりへこむ性質で、接客業は少なからずそういう場面があるイメージがあるから、すぐに辞めたくなる気がする。

しかし飲食店でバイトできないという性質が、だから自分は駄目なんだという烙印を押されているような気さえする。もちろんそれは錯覚なのだが、接客の経験を積んでコミュニケーションを身につけておけば、自分がいまできないこともできるようになっていたのかもしれないと、そんな風に思う。ないものねだりの牽強付会。自分の至らなさの原因を過去の経験(未経験)に求めるのなら、少しは心が安らぐような気もする。どうしようもないところに原因を押しやると、いまの自分を守れるからだ。でもそれも錯覚でしかなくて停滞を肯定するための自虐をするくらいなら、前に進むために傷ついたほうがマシなのかもしれない。それができるならきっとこんな苦悩もしていないのだけれど。

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