日記:鳴りやまぬ青春の痛み

昨日の就寝が遅かったせいかとても眠い。

本の感想をメモ程度に……。あとでちゃんとまとめたい。


読み終わった!めちゃめちゃ面白かった。

研究者の方の視点というものをはじめて知ることができたかもしれない。勿論、これを読んだだけですべてを理解したとは思わないけれど。しかしその視点は異質に感じられるということもなく、むしろ合理を突き詰めていけばそこに至るのが自然と感じられるような思考の枠組みだった。たぶん、そうじゃない人々の方が、いろいろなところで無理をしているのだと思う。それらは、どちらが大変だとかどちらが優れているかとか、そういう比較はできない。

たくさんの事情が積み重なって複雑になってしまった社会の中を生きるには、多くの回り道をしなければならない。本当は自身の興味の向く方へずっと進み続けられたら良いのだけれど、いろいろなことがそれを妨げる。それは生活であったり、人間関係であったり、世にはびこる偏見であったり、どうすることもできない社会の構造だったりする。

子供の頃はそういったしがらみからは無垢でいられた。でも、いつしか魔法の終わりはやってくる。もしかしたら、その魔法に包まれている時間のことを青春と呼ぶのかもしれない。そしてその時間は、失ってしまえば二度と手に入れられない輝きを放つように思える。時計の針は巻き戻ることはない。それが人生の性質でもある。

失ったものについて、どうにか理屈をつけて自分を納得させることはできる。過ぎ去ったとしてもその思い出は胸の中に存在し続けるだとか、楽しいことは変わりゆくものなのでその変化を楽しめばよいだとか、そのようにして生きている人はきっとたくさんいる。自分もそうだし、それはきっと正しい。過ぎ去った時間について嘆いても、それは仕方のないことだ。どうすることもできない世界の構造だ。

しかしそれでも、もう戻らない時間の郷愁が、時折思い出したように蘇ってきて胸の内側を焼く。忘れたつもりの青春が、決別したはずの過去が、「消えてなんかやらない」とでも言うかのようにどこからか這い出て心を蝕む。

大人になって、どうしようもないものについては諦める姿勢が染みついてしまったので、そんな痛みもすぐにやり過ごすことができる。心が摩耗したのか麻痺したのか、昔のような激情もなくて、ただ弱毒化した青春が胸の奥の方でいつまでも疼き続けている。その痛みは、いつまでも止むことはないのだろう。



作中に「空腹の方が頭が回る」という描写があり、今日の夕飯を食べて眠くなってしまった自分としてはそのような空腹を維持するスタイルに憧れを覚えた。しかし自分は腹が減ると普通にそちらに思考を奪われてしまう。空腹とも満腹ともつかない、ほどほどの状態を維持するのが良いのだろうか。

最近聴けていなかった、シャニラジのバックナンバーに追いつこうとしているのだけれど、その第130回で「たくさん食べて血糖値を上げて寝る」という話が出てきて、眠れないときにはそういう解決方法もあるのかと驚いた。深夜にものを食べるという発想があまりなかったし、健康には悪影響がありそうだが、腹を満たして眠ることの幸福はかなり捨てがたいものでもある。

常に空腹でいるということは、そういう満たされることの幸福から自らを遠ざけ、飢え続けていくことのように思える。その状態を維持することは、自分を含めた多くの人には困難な道のりであると感じられる。



あとは、何かに取り組むときに、周りの誰かの影響というものは大きいなと感じた。作中の主人公も、興味のある分野について本を読み調べるということを一人で続けていたが、研究室に入って自分が没頭する領域を見つけ、研究の道を進むようになる。本による探求の限界というか、一定の水準以上は、自分の疑問に対してその解決策を提示してくれるような存在が必要であるように思える。そこからさらに理解が深まっていくと、自分一人で疑問を解消するための道を見つけられるようになる。

最初のうちは一人で勉強するのでよくて、最終的には一人でなんとかできるようになるのだけれど、その間を越えるには先達の力を借りた方が良いのだろうな、となんとなく考える。本には言語化されていないこと、本を書くような人が当たり前にやっていて本文には表れてこないようなこと、そういうことを知るためには誰かを頼るほかない。ちなみに自分は最初の段階の一人で勉強するフェーズでうまく行かないことが多いので何とかしたい。



これは完全に余談なのだけれど、小説を読むとき、自分は登場人物のイメージを最近見たアニメやゲームのキャラクターに置き換えてしまうことがある。キャラクターが無貌のまま読み進んでいくこともあるのだが、自分の中で印象が一致するキャラクターがいると、容姿が完全に上書きされてしまう。

作中に沢村さんという女性が登場するのだが、自分はこの人の姿がウマ娘のエイシンフラッシュというキャラクターで上書きされてしまった。ちなみにウマ娘に登場するエイシンフラッシュがどのような性格をしているのかも全く知らない。ただなんとなく、作中の沢村さんのイメージが、なんとなく自分の中でぴったりと当てはまってしまった結果、そうなってしまった。

オタクの悪い癖ですね……。

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