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日記:今日これから始まる

『THE IDOLM@STER』を始めてしまいました。Xbox360版。

しまいました、と不本意みたいなニュアンスを言葉の端に滲ませてしまうのは、ひとたび手を出したら戻れなくなるかもしれないという恐れが心の底に張り付いているからだ。これまではまだ、アイドルマスターシリーズの中でもシャニマスという一部のブランドに嵌っているだけだった。それが、765PRO ALLSTARSを知ってしまえば、そこからはもう雪だるま式に他ブランドへと手を伸ばしてしまうのではないか。もう既に片足を突っ込んでいる「アイマス」という巨大な沼から逃れられなくなる。

しかし始めてしまった。理由はよくわからない。先日の16周年生配信がきっかけとなったのは確かなのだけれど、しかしその中で765プロのアイドルに心を奪われる瞬間があったかというとそういう訳ではない。というかTVアニメ版を見たときに割と奪われている(伊織が好きです)。ゲームに手を出さなかったのは、Xbox360ごと購入する必要があるという手間の大きさと、前述した巨大な沼に嵌る恐怖があったからだ。なぜ始めたのだろう。

もしかしたら、「始めてしまった」というよりも、「始めないでいることに耐えられなくなった」というのがもう少し正確なのかもしれない。なんというか、罪悪感のようなものが胸の片隅にあって、それが時折痛みを放っていた。自分はアイドルマスターシリーズという長大な歴史の、途中から飛び込んだ新参者でしかない。アイマスを好きだと語るのなら、いつかは始まりを知らなければならないと思っていた。勿論、何かを好きだというときにその全てを知らなければ言葉を発する権利を持たないということはまったくないのだけれど、あくまで自分の願望として、いつかアイドルマスターの始まりを知らなければならないという義務感のような何かが心にずっと存在していた。その欲求が限界に達したのが、たまたまこの時期だったということなのだと思う。だから始めた。



さて、Xbox360に電源をつなぎ、画面との接続やコントローラーの用意をして、ディスクを挿入しゲームを起動する。ゲームを始める前に特有のこういった「儀式」は、静かに、だが確実に心の高鳴りをもたらしていく。

なんだか見覚えがある気がする言葉が流れる。何かが始まる。そんな予感を呼び起こさせる。

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プロデュースするアイドルを一人選べと言われた。少し悩んだが、アニメを見た際に好きだった水瀬伊織さんを選択する。彼女に会いに行くと、初めだけお嬢様然とした柔らかな態度をとるものの、すぐに傍若無人な振る舞いを見せるようになる。二面性を持つという点では、シャニマスでいうと冬優子を連想する(順番としては逆なのだろうけれど)。しかし伊織の場合は二面性が物語においてフィーチャーされていくということはあまりないのかなという気もする。それよりも自らの実力に対する自信や、その実力で価値をつかみ取っていくという自己実現こそが、彼女にアイドル活動を通して得てもらいたいもののような気がする。まあアニメを見ているので彼女のパーソナリティについてはそれなりに把握しているつもりではあるのだけれど。これで全然外していたらめちゃくちゃ恥ずかしいな。

しかしゲーム的なパラメーターという意味では、伊織の「Character」という数値がかなり低いのが気になる。なんというか、扱いづらいピーキーなキャラという設定を与えられているような気がする。最初のプロデュースで選んで大丈夫だったか……?


芸名を決めろと言われたがよくわからなかったのでそのまま水瀬伊織とし、プロデュースを進めていく。

ボイスレッスンを選択する。タイミングよく指定されたボタンを押すミニゲーム。しかし音楽に合わせてボタンを押すとかではないので完全に目押しになる。最初のうちは音符が少なくてまだ何とかなったのだけれど、あとの方になって音符が詰まってくると対応しきれなくなる。単純で奥が深いわけでもないけど難しいな……。


3週目になるとオーディションに出るよう促される。3属性の審査員に対してアピールをしていくというどこかで見たことのある形式(答:シャニマス)。しかしポイント取得のルールが異なっていて、どうやら各属性にそれなりに満遍なくアピールをする必要があるらしい。法則は理解したがどのように振舞うのかが掴めず、結果としてオーディションは不合格となってしまった。俺の……俺のせいで……。

チュートリアル的な扱いだったためか、ストーリーの進行の都合でおまけの合格を授かる。6位だったのに……。事務所のコネか……?しかし、まだ不慣れだったとはいえ、自分の選択のせいで担当アイドルを合格させてやれなかったという十字架は心に重くのしかかる。慣れていない、知らなかったでは済まされない。自分はいま、一人の人生を背負っているのだ。なにげなく選んだ選択ひとつで、アイドルは合格にも不合格にもなる。ゲームのつもりで臨んでいた姿勢に釘を刺されたようで動悸が走る。


オーディション後はアイドルが躍りながらアピールをする姿を眺める時間になったのだけれど、ステータスが足りないためかダンスの途中で何度も「accident」の表示と共に伊織が転倒する姿が映し出される。それに対して自分は何もすることができない。ただただ己の無力さと罪を自覚するだけの時間が過ぎていく。俺が……俺がボイスレッスンでちゃんと譜面を叩けていればあるいは……。俺のせいだ……。


オーディションが上手くいかず、ステージでもアクシデントがあり、それでも伊織は前向きな自信過剰さを見せる。ストーリーの都合なのかもしれないけれど、しかし自らの意志を強く持ち決して折れることのない強さが伊織にはあるように思える。だからこそ、その気持ちに応えてなんとかして成功させてやりたいという想いも増す。

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俺は伊織を立派なアイドルにしてやることができるのだろうか……。とりあえずオーディションの仕組みはもう一度復習しないといけなさそうではある。


まだ最初の触りだけをプレイしたにすぎないけれど、かなりのめりこんでしまっている。アニメを見ていた際には、765プロの物語を外から眺めているという感覚だったのだけれど、ゲームはやはり当事者感が否応なく襲い掛かってくる。自分のプレイ次第で彼女のアイドル活動を左右してしまう。その緊張感も含めた「プロデューサー」としての感覚が、アイドルに対する「俺がなんとかしなければ」という想いを呼び起こしてくる。そのような体験も含めて「アイドルマスター」という気がしてくる。やはりゲームなのだな、と改めて思う。ただ外から眺めているのではない、自ら飛び込んで選び取っていく世界がそこにはある。



なんかXbox360の電源を切っても定期的に「ティン」と音が鳴るんだけどなにこれ?怖!

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