日記:漫画を読んでいた日

少年画報社作品が55時間限定で読み放題となるというキャンペーンが実施されていたので、以前より気になっていた『惑星のさみだれ』を読んだ。以下内容に触れる感想を書いております……。

結構名前を聞く作品であったので、いつか読みたいと思っていた。というか水上先生の作品がとても気になるというか、自分が好みそうなジャンルなのだろうなという感覚がある。その感覚というのは、自分と作品の嗜好が近そうな、それでいて自分よりも感度の高い方のTwitterなどで言及されることにより無意識化に形成されていくのであるが、そうやって心に留まっていた作品群の一つが『惑星のさみだれ』であった。というか水上悟志作品。

以前、『サイコスタッフ』を読んだことがあり、そのときは「もっとこの人の紡ぐ物語の先がみたい……!」という感情を抱いたことを覚えている。それならもっと早く手を出していても良かった気がするのだけれど……。『スピリットサークル』も気になるので今度買います……。




『惑星のさみだれ』を読み進めていくと、冒頭部分ではよくあるボーイミーツガールの異能力譚であるようにも感じられるのだが、ヒロインであるさみだれの目的が開示されたところで「おや?」となる。それに対する主人公の雨宮夕日あまみやゆうひの反応が、「この娘は妙なことを言い始めたぞ」といった振り回され系主人公のそれではなく、、、ヒロインに同調する動きを見せたところでこの物語の特異性が明らかになる。つまりこの作品は、人間が命を賭して戦う姿を鮮やかに描いた能力バトルものでありながら、そこに主人公とヒロインが抱える世界への疑義をそのまま目的として投影している、いわゆるセカイ系の文脈が作品序盤で加えられているという特色がある。そしてそのことが、作品の力を一段階深めたものとして感じられる。

というか、こういうメタ的な視点が盛り込まれた作品が好き……!ここでいうメタというのは、つまり世界を守るために戦う正義の能力バトル作品に向けられた、「でも、その世界ってそんなに守りたいと思っている?」というアンチテーゼのことを指している。そんなある種の冷や水的な疑義がメタフィクション的に感じられて、自分はどちらかというと世界を破壊してしまおうぜ的な思想に共感する部分が多いので、そういうテーマを持った作品が好きになる。正義と勝利の物語は美しく綺麗ではあるけれど心のどこかで理想論じゃんと思ってしまう自分がいて、それに反旗を翻すような思想を見ると嬉しくなってしまう。勿論、正義を張るための背景があり、それを背負って戦う物語も好きなんですけれど……。

ここまで少し捻くれた視点で言及してしまったけれど、『惑星のさみだれ』の多くを占めるのは、騎士として戦うことの報酬である願いを巡る思いや、命を張って戦う中で描かれていく群像劇的な心情の動きであり、単純に王道としての物語の起伏や描き方が非常に巧みで心情を揺さぶられる。そして、戦いの中で培われた仲間との時間が、最後の戦いにも効いてくる(なぜなら、最後の戦いは精神のぶつかり合いであるから)ことで、展開の構造の見事さに改めて唸らされてしまう。アンチヒーロー的な視点を盛り込みながらも、最終的な着地点が非常にきれいな王道的エンドに繋がっていくのも、とても爽やかな読後感を残してくれる。素晴らしい作品でした……。



今日は歯医者に行って、秋華賞を見て(アカイトリノムスメ!!すごい!!!)、『惑星のさみだれ』を読んだ、そんな1日でした。

部屋の片づけは……もう少ししたいけれど……。でも来週はシャニマスのオンラインイベントあるから無理そうだな……。

本も……読みたいね……。やりたいこと多いね……。的、絞り切れないね……。

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