日記:舞台の上

日記の毎日更新は半ば諦めているのだが、「深夜にゆっくり書こう」と思っていると、深夜にゆっくり書けない場合はスキップしてしまいがちになるかもしれない。この土日で2回もスキップしてしまった。無理にでも毎日書くことを意識づけたほうがかえってよいのかもしれない。惰性で日記を書き続けてきた私だから、惰性で簡単に止まってしまいそうだ。足を止めたほうがよいときもあるのだろうけれど、しかし止まることもまた勇気の要る決断ではある。私は臆病ゆえに止まることを恐れる。


土日は何をしていたのかというと、出かける用事をいくつかと、あとは「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の舞台が日曜の夜まででYouTubeにて期間限定公開されていたので観ていた。気づいたらぎりぎりになってしまったが、とりあえず昨日が期限の3本は観ることができた。それからミリオンライブの劇場先行上映第二幕も観てきた。今週末にはもう第三幕が上映してしまうので駆け込みで。上映回が朝か夜かしかなくて、夜は予定があったから眠たい体に鞭打って映画館へと足を運んだ。私は仕事があまり早起きではないから、休日に予定があるときくらいしか朝が早くないのだが、たまにそういう日があると新鮮だ。とても眠くなるが。


スタァライト。このIPはミュージカルやアニメーションなどのメディアミックスを前提に作られていて、アニメでキャラクターの声を担当する方が、そのまま舞台も演じるのが特徴のひとつである。つまりは舞台上での演技や歌もこなさなければならないわけで、求められるスキルセットがかなり高いように思う。「演じる」という方向では近しい部分もあるのかもしれないけれど。

自分がスタァライトを知ったのは、サブスクでたまたま楽曲を聴いていいなと思ったことがきっかけだった。そのときはまだアニメがはじまっていない頃だったが、気になって放送されたときに視聴してみるとかなり好きになってしまった。監督や演出が『少女革命ウテナ』や『輪るピングドラム』の幾原邦彦さんの系譜にあるらしく、なるほどバンクの使い方や雰囲気づくりにその遺伝子を感じるような気がした。劇場版も観てさらに好きになってしまったので計4回ほど観にいったが、それでも舞台に足を運ぶことはなかった。あまり馴染みがなかったのもあるし、シャニマスのライブにハマりはじめていた頃だったので、舞台にまで守備範囲を広げてしまうと大変なことになってしまう気がしたからだ。結局、ライブにはたくさん行くようになって大変なことにはなっているのだが。

それでも、いわゆる「2.5次元」の評判はよく聞くし、舞台化する作品も増えているので気にはなっていた。でもチケット取りにくそうだし……みたいな言い訳をこねくり回していたら、友人(自分よりあとにスタァライトを観てそのまま舞台にも行きまくって大変なことになっている)から「スタァライトのバンドライブあるから行かんか」と言われて二つ返事で了承きた。言い訳があるから行かなかったし、言い訳があれば行く。さ、誘われただけだから……

なのでスタァライトの予習をしようと思ったのだが、折よく舞台が期間限定公開されていたので幸運とばかりに観ることにした。3本がそれぞれ2時間ほどずつなので、計6時間は観ていたことになる。1クールのアニメより長いじゃん。時間って作ろうと思えば作れるものだな。


公演はミュージカルパートとライブパートに分かれていて、前者ではアニメと似て非なる物語が、後者では歌とダンスによるパフォーマンスが披露される。印象的だったのが、星見純那を演じる佐藤さんと、天堂真矢を演じる富田さんの演技だった。舞台におけるキャラクター性はアニメと若干異なっていて、純那は最初の登場シーンがかなりユニークだったので一気に引き込まれてしまった。そして天堂真矢(この人はフルネームで呼んでしまう)は、アニメでもかなり強力なキャラクターというか、かなりの実力派であるのだが、その本領はやはりというか舞台にこそ発揮されるものという気がした。声の力の入り方がめちゃめちゃかっこいい。強キャラ感。

少し思ったのが、舞台だからこそ「間」がテンポよく進むなと思った。ゲームとか、アニメでもそうだと思うのだが、基本的に会話は相手のセリフを待ってから次に進む。そこに一瞬の「間」がある。ゲームだとより顕著で、クリックやタップ、ボタン操作などでセリフを送っていくから、どうしてもセリフに隙間が生じてしまう。しかし舞台で行われているのは生身の会話である。実際には演出などである程度は整った形で進行していくのだが、それでも相手の会話に被せたり間断なく押収したりといったことが舞台では実現できて、そこに私はキャラクターの「実体」を見たような気がした。相手の発話のテンポやトーンを受けて、それに呼応していく言葉や動きが、彼女たちはそこに存在しているのだと、ありありと解らせてくれるような力強さがあった。生身で演じる舞台だからこそ持つ情報量が、仮想の存在であったはずのキャラクターに奥行きと重量を与えていく。それはキャラクターを舞台上で演じるイベントすべてに共通する強みではあるのと思うのだけれど、声に姿に動きに、そのすべてで魅せる表現にはとても大きな力があるのだと感じた。

ライブパートもすさまじかった。ダンスがめちゃめちゃ激しい。だからアップテンポな激しい曲のパフォーマンスの迫力が特に大きい。自分はずっと富田さんの姿を目で追っていた。めちゃめちゃかっこよくて……。こうして感想を思い返しながら書いていると、また見たくなってしまう。

観たことがなかったスタァライトの舞台だったが、かなり引き込まれてしまった。願わくばいつしか実際に足を運んでみたいものだ……

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