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日記:振動を夢想する

モルカーの劇場上映を見てきました。

入場者プレゼントとして先着で「モルカーボール」なるものが配られ、上映中はそれを鳴らして良いとのこと。いわゆる応援上映のような形なのだろうか。発声できない状況下でのこのような取り組みは非常に面白いなと感心していた。

自分は応援上映というものを体験したことがない。ないのだが、伝え聞く話は大変愉快なものばかりで、それなりに気になっていた。しかしいきなり声をあげるタイプの応援上映に行くのはなかなかハードルが高い。応援と言われても、どこでどんな声をかけてあげればいいのかわからない。そんなことを思っていた折のモルカー応援上映で、これなら気負うことなく雰囲気に入っていけそうだなと思った。

似たようなことが最近もあって、自分はサイリウムを振るようなライブに行ったことがなかったのだけれど、今年の春に開催されたシャニマスのライブで初めて現地で参加することができた。発声のできない応援だったけれど、初めての自分にとってはただタイミングとサイリウムの色を合わせて振っていればよかったので、精神的に楽だったと思う。いつかコールも入れられるようになって参加したい。


もうひとつ、今回のモルカー劇場上映に際して、自分にとっての初めての体験があった。MX4Dという座席の振動や水しぶきなどの特殊効果を伴った上映形式を、初めて鑑賞した。予約の際にいくつか上映形式があり、どうせならと3D+MX4Dの上映回で見ることにした。

ちなみに、4DXという言葉も聞いたことがあり、それとMX4Dはどう違うのかと気になったが、どうやら開発元の会社が違うらしい。それぞれ表現可能な特殊効果に違いがあるようだ。



劇場に到着し、発券したチケットを提示すると、入場者プレゼントと共に3Dメガネを手渡される。このとき、自分が既にメガネをしていることに気がついたがもう遅い。メガネonメガネで行くしかないなと思いつつスクリーンへ向かう。

スクリーンの扉の前にロッカーが並んでいる。確かに、過去に映画を見に行った時に横目でロッカーの存在を見たような覚えがある。それを今日、自分が使う立場にいるのかと思うと妙な高揚感があった。しかしロッカーの存在をここに来るまで失念していたので、小銭の用意が全くなかった。最近は外出しても現金を持ち出す機会が少ない。しかしこういうところに必要な場合は出てくる。まさかこのようなところまでSuica等で使えるロッカーに変えるような手間もかけられないだろうし。鞄の中を捜索して、なんとか100円玉を発掘することができたので事なきをえた。ちなみに終了後返却されるタイプのロッカーだった。

3Dメガネとモルカーボールだけを手に、スクリーンへと足を踏み入れる。すると既にPUIPUIという音が聞こえる。もうなんか楽しくなってきた。いつもよりもしっかりとした座席に腰を下ろし、控えめにモルカーボールを握ることで予行演習をする。あっ、楽しい……。

館内の照明が1段階落ち、予告編が流れる。ラインナップがボス・ベイビーやプリキュア、おしりたんていであるのを見て、モルカーが子供向け作品であったことを思い出す。しかし上映前にさっと見渡した限りでは、いまここにいるのは殆どが大人である。冷静になってみたら恐ろしい状況のような気もしてきたけれど、今は考えないようにしておく。映画泥棒の映像が流れるとPUIPUIの音が激しくなった。なんでだ。

上映前にMX4Dのチュートリアル的な映像が流れる。思っていたよりも動きが大きい。普通にディズニーランドのアトラクションくらいないだろうか。その驚きから、手にしたモルカーボールのPUIPUIの音も自然と大きくなる。これは……楽しい……。

モルカーの全話一気上映が始まる。衝撃のシーンでPUIPUI鳴らしたり、音楽に合わせてPUIPUI言わせたりと、会場で感覚をゆるく共有しながら見るモルカーはとても楽しい。一緒に見ている人たちと、非言語のコミュニケーションによって一体感を得ているのだ。ニコニコ動画やYouTubeでコメントを流しながら見るあの感覚に近いのかもしれないと思った。共有する情報はPUIPUIしかないが。

それでも、テンションの上がるシーンでは細かく音を鳴らしたり、逆に悲鳴を上げるようなシーンでは大きく長く音を鳴らしたりなどで細分化できたりして、制限のあるコミュニケーションというのもなかなか面白かった。『Demon’s souls』や『DARK SOULS』というゲームでは、オンラインの交流要素にチャットがなく、キャラクターのモーションなどで意思を示したりするのだけれど、そこに生まれる奇妙なコミュニケーションが面白かったりする。『風ノ旅ビト』というゲームはまさに非言語的コミュニケーションをゲームの主題に据えていて、見知らぬ旅ビトと共に広い世界を旅していき、目的地にたどり着くまでの一期一会の体験を、ゲーム内で言葉の説明を一切せずにもたらすというゲームだった。言葉など簡単に交わせてしまう時代において、そのような体験は貴重であり、特有の浮遊感を与えてくれる。

MX4Dの振動も、モルカーの動きに合わせて激しく揺れたりするので、まるでモルカーに乗っているかのような感覚を夢想した。もし自分の家にモルカーがいて、モルカーがニンジンをみつけて急に動きだしたりしたらこんな衝撃があるのかな……とかそういうことを考えた。そこにモルカーがいたのだ。

上映時間は30分ほどであっという間だったけれど、とても楽しい体験だった。MX4Dは初見の映画だと振動に気を取られてしまうかなとも思ったものの、動きの激しいアクション映画などはかなり楽しいだろうなとも感じた。いつか発声ありの応援上映にも行ってみたい。

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モルカーボールはテディでした。かわいい……。




その後、『サイダーのように言葉が湧き上がる』を見た。軽く感想を。

見ていて、今が夏であることを思い出した。気温はうだるような暑さで夏の盛りではあるけれど、しかし大人になってからの夏は色彩を欠いたモノトーンに見えてしまって、かつて子供の頃に見えていたような極彩色の季節ではなくなっている。その鮮やかな世界が作中に描かれていて、その感情のうねりと躍動こそが夏なのだと、頬を張られたような感覚があった。爽やかな夏の映画。さらにSNSを通した交流に特有の情緒も描かれていたりして、今の時代の青春といった趣があった。アニメーションの動きもびっくりするところが何度もあってとても楽しい。

レコードなどのモチーフについて自分はあまり知識がなかったのだけれど、検索するとその時代の音楽などについて言及された感想もあったりして、そのような情報を拾い上げるアンテナが自分の中にはないことを改めて感じた。そういう部分も分かるともっと楽しいと思うので、いつか勉強してみたい。どうやって学べばいいのか全くわからないけれど……。

音楽のジャンルとか全然わからない。でもゲームでもアニメでも映画でも必ずと言ってよいほど音楽は流れる訳で、それをなんとなく聞き流しているのももったいないという想いもある。下記はジャンルが網羅的になっているサイトらしいのだけれど、めちゃくちゃあるな……。

これを自分の中に咀嚼して飲み込むことができたときに見える世界がどんなものなのかが気になる。それがどんなものになるかはわからないけれど、自分の周りを包んでいる音楽というものの存在をもう少し知っておきたいという想いは胸の奥でずっと燻っている。いつかそのうち……。




FGOの階位認定試験というものがあったので、まったく自信はなかったけれど挑戦してみた。

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結果は61/100。てっきり半分を割ってしまうかなと予想していたので、思ったよりも善戦した結果となった。とはいえ、ストーリー上で重要だったはずの問題も結構忘れていたりして、もう一度振り返りたいな……と思ったりした。しかしこういうカルトクイズ的なものは楽しい。自分が好きな作品でクイズを作り、同好の士を集めてクイズ大会を開催したら楽しそうだな……とも思いつつ、作問の力が無いので今のところは夢物語ではある。クイズという機会でその作品を振り返ることができるので、こんなこともあったなと盛り上がるにはクイズはかなり適しているという気がする。そうやって過去のことを思い出す機会があるというのはとても良いことだと思う。そうでもしないと、時間の中にうずもれた記憶がそのまま眠り続けてしまう。それは寂しいことだと、自分は思う。要するに懐古厨なわけです。

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