日記:無限の本棚が欲しい

部屋の掃除をした。終わらなかった。

部屋の掃除が苦手な自分は、連休の初日にやる気を出して1日掃除に費やしてしまいがちだ。そしてそれは往々にして終わらない。

特に頭を悩ませているのは書籍の行方である。明らかに本棚に収まる気配がない。

漫画を読み始めたのは小学校の中学年くらいでよく読んでいたのは、『ドラゴンボール』『銀魂』『アイシールド21』。大体ジャンプ系だ。小さい頃はたくさん種類を買うこともできないから、同じ本を何度も読んだ。今ではその記憶は幾らか摩耗してはいるけれど、それでもあの時の興奮は失われることのないものとして心の深い部分に刻まれているのだと思う。

問題なのが、漫画はスペースをとる。週刊連載は約3ヶ月に1冊というペースで新刊が出る。人気となり長期連載になれば、その冊数は大きくなっていく。『ドラゴンボール』は全42巻だし、『アイシールド21』は全37巻。『銀魂』は、当時集めていた分しか無くて、手元には30冊ほど。それでも『銀魂』は全77巻なのだから、まだ少ないとは言えるのだけれど。それにしたって並べると結構な量だ。

他にも『ポケットモンスターSPECIAL』が50冊ほどあったり、全て集めきってはいない漫画や、買ったものの未だ手をつけていない小説が数多く存在していて、それらの集合が部屋を圧迫している。手放す決断はできない性格なので、どうにかして収納する方法を考え、その度に失敗して床に積み残したままとなっている。


カラーボックスに漫画や小説を並べていたのだけれど、流石に収納を増やそうと思い、去年の夏頃に本棚を作った。「DIAWALL」という製品で、木材を自分で用意することで自由なサイズで棚を作れるというものだ。カラーボックスだと本を収納するのにサイズが合わなかったりしていたが、自分で作ればそのへんも自由に調整が効くので、書籍の高さに合わせた棚を作ることができた。

結果として、所持書籍を本棚に収納しきることは不可能だった。収納をさらに増やす必要があるのだけれど、それから行動を起こすことができず先延ばしにして今に至る。現在は部屋の隅に本の山が形成されていて、机の位置を動かしたりするたびに大移動を起こす。日常的な掃除が苦手なため、時間が経つと諸々の荷物が作業用のスペースを圧迫してくるので、その度に部屋の整理をしているのだけれど、断捨離の意識はなく、ただ隅に追いやることでなんとか空間を確保している。PCのデフラグを繰り返しているかのようだ。そうやって部屋の整理のたびにほとんど1日をかけてしまうので、時間効率の観点からもなんとかしたほうが良いのだけれど。問題は明らかで、部屋のキャパシティに対して荷物が多すぎるのだ。そしてその大半を書籍が占めている。

しかし本は手の届く場所にあって欲しい。昔読んだ本をそう何度も読み返すということはないのだけれど、それでも自分が把握している場所にそれがないというのは嫌だ。読みたいと思った時に読めるという安心感が欲しい。自分の手に届く場所に本があるというのが、自分にとって大きな喜びとなっているのを感じる。

書店に行った際もそんな喜びを覚える。今この場には未だ読んだことのない本の世界が大量に存在していて、それら全てに届きうる可能性を有しているのだと、書店の本棚の間で歓喜に浸っている。実際に手に取る本は数冊なのだけれど、手を伸ばせば本の中に世界が広がっているという感覚が好きで、その状態を手放したくないのだと思う。それは正直、既読でも未読でもあまり関係がない。そこまで行ってしまうと、ほとんど病的な執着だとは自分でも思うけれど。

本に限らず、物の整理が苦手で、とにかく溜め込んでしまう。「あとで使うかもしれないから」。何度自分にそう言い聞かせたかしれない。でもその「あと」がくることはほとんどない。毎日を時間に追われて、新しく買った本に手をつけることもできず、それでも「いつか読もう」と心の一部で意識しながら時が過ぎていく。部屋にある本で、1年以内に読んだor読み返したものの方が少ない。ほとんどはただそこにあるだけだ。「本が手の届く場所にある状態」を維持していたいがために、部屋の容量の多くを明け渡している。それをよしとしているのは自分だけれど、それが最良なのかと言われると疑問符が浮かぶ。読まれない本がただそこにあるというのは、その実、別にそこになくても同じなのではないか?本が手元にあることで得られる安心感は、部屋の面積を制限してまで維持されるべきなのだろうか?そもそも、ちゃんと本を読み、読み返す習慣を作るべきなのでは?

その通りだと思います。

ちゃんと部屋の整理をしよう。本を読む時間も作ろう。そうします。


最近、知人とおすすめの小説を紹介しあったりしている。読み終わったら感想を投げる、そして相手の感想が返ってきて、応酬を繰り返す。これが楽しくて、ある程度本を読む動機が増えたりしている。こういうことを続けていきたい。

あと最近は専ら電子書籍で読んでいるので、部屋を圧迫することがない。空間的な悩みが全て解決してしまう。懐に余裕ができたら既所持のものを全て電子書籍で揃えてしまえばそれで良いのかもしれないけれど、多分そうするより先に新しい本を買ってしまうから、達成される日は随分遠い気がする。

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