日記:ショートしそうになる
ショートショート書き方講座を見ていました。
ワークショップのコーナーがあったので少しやってみました。楽しい……。難しいけど楽しい……。
選んだ言葉
しゃべるコップ
◆ それは、どんなモノですか? 説明してください。空いたスペースにイラストで描いてもOKです。
喋ってくれる。人はお気に入りのコップとともに生きる。どんどんコップを変えていく人もいるし、一つのコップを一生大事にする人もいる。人が生きるのに最も必要なものは水であるから、それを飲むためのコップもまた常に人と共にある。
◆ それは、どこで、どんなときに、どんな良いことがありますか?
楽しい。自分をずっと知っていてくれる人がいる。
◆ それは、どこで、どんなときに、どんな悪いこと、または左で書いたこと以外のどんなことがありますか?
なくなるとかなしい
上に書いたことをまとめてください。(出たもの全部を使わなくてもOKです。)
題名:わたしのコップ
人はしゃべるコップとともに生きる。コップはわたしのことをずっと知っていてくれる。しゃべることしかできないけれど、ずっと心を支えてくれる。そのコップが割れてしまった。新しいコップは優しくて、新しい日々を過ごしていくうちに、最初のコップのことを忘れてしまう自分が嫌だった。
2次会ポケット
飲み会は2次会からが本番だ。酒が回りきって、理性が壊れきってからではないと聞こえない言葉がある。俺はそれが聞きたいのだ。
そのポケットに手を入れると、酒が出てくる。その酒を飲むと、2次会の身体になれる。
それを他人に飲ませるなどということはしない。俺が飲む。テンションが一気に二次会のそれになる。そんな俺を見ると、相手も胸襟を開いて本音を話してくれるようになるのだ。
大増殖を英語で説明
「……いや、だから電車は走らないんですって。鹿が大量発生しちゃって、線路を覆い尽くしちゃってるものだから。えーっと、メニーメニー、……鹿って英語でなんて言うんだ?」
その日、私は電車の運休の対応に追われていた。鹿が大量発生したためだ。そうとしか言えないのだが、それをただ説明するしかない。なぜ電車が走れないほどに鹿が大増殖してしまったのか。それがなぜこの駅に集まっているのか。それはわからない。私が教えて欲しい。
海外から来たと思しき旅行者が英語で尋ねてくる。こんなときに奈良に来るなんてついていない。いや、むしろついているのか。兎も角、私は英語が話せない。英語が話せる後輩は、今日は非番である。しかしこのような緊急事態、もはや呼び出してしまおうか。もっとちゃんと英語の勉強をしておけばよかった。
改めて読むとだいぶ訳のわからないことを書いている。オチもないし。とにかく時間がなかった。頭がショートしそうになる(ショートショートだけに……なんちゃって……)。しかし講義の中でいくつか取り上げられた作品は、同様に短い時間だったはずなのにめちゃくちゃちゃんとしている。綺麗にお題と絡めたオチもついている。すごすぎる……。
最後の「大増殖を英語で説明」については、個人的に一番書きづらそうなテーマを選んでみた。やはり書きづらかった。しかし、講義の中でも仰っていたことではあるのだけれど、突飛なテーマほど想像を飛躍させやすい。鹿は英語だとdeerだったかな……。
今回のイベントは、「ショートショートnote」 という製品の発売記念も兼ねたイベントのようだった。製作に携わった高橋晋平さんは、過去に「∞プチプチ」とか「瞬間決着ゲームシンペイ」を手がけた方であるらしい。
シンペイって、人の名前だったんだ……。シンペイを遊んだことはないのだけれど、コロコロコミックに製品紹介が載っていて、面白そうだなあと思ったことを覚えている。何年か前、山梨県でラフティングをした際に、施設の待合室にシンペイが置いてあって、懐かしいなあと思ったりした。いや、シンペイをやったことはないんですが……。
三目並べから着想を得たゲームであるらしい。それで思い出したのだけれど、紙と鉛筆で遊ぶ五目並べ(いわゆる◯×ゲーム)を中学生の頃にめちゃくちゃ遊んだのを覚えている。数学の時間、前の席の友人と授業もそっちのけで遊んでいた(先生ごめんなさい……)。そうしたら割と赤点ギリギリの点数を取ってしまった。しかし一緒に遊んでいた友人は普通にいい点数を取っていた。なんだか悲しくなった。
実際にショートショートを書いてみて思ったのは、めちゃくちゃ大変だということ。お題から発想につなげるのは楽しいのだけれど同時に苦しくて、とりあえず書き進めてみても「本当にこれでいいのだろうか」という疑念が常に心の奥底に張り付いている。他の方の作品がどれも素晴らしくて、自分の発想力の無さに打ちのめされそうになる。
しかし、講義の中で田丸さんも仰っていたのだけれど、それを克服するにはとにかく続けるしかないようだ。「ショートショートnote」は、その続けるということにとって大きな助けとなるものだと感じた。ランダムに単語を繋げて、そこから生まれる発想を自由に書き留める。言ってしまえばそれだけのシンプルな製品なのだけれど、そのための道具がそこにあるという事実が人をショートショートへと駆り立てる。それがなんとも心強い。
創作をしてみたいなあという思いはずっとあったのだけれど、実際に少しやってみて思ったのは、楽しい反面とても苦しいこともあるということだった。でも、続けたいなと思った。「ショートショートnote」欲しくなってきたな……。
鉄は熱いうちにと思い、即興小説トレーニングで少し書いてみた。やはり難しいな……。
こんな感じの掌編において展開のさせ方は大きく分けて2つあるという印象で、一つは独特な世界観を説明・提示するもの。もう一つは、普遍的な導入から意外性のあるオチにつなげるもの。もちろん、その双方を満たすものもあるのだけれど。
SFチックな世界観は、それだけで面白い。だからその設定をわかりやすく述べるだけで物語になる。一方で、一見するとなんの話なのかわからないものが、読み進めていくと奇妙な方向に転がっていくのもまた面白い。巧妙な設定で、さらに気の利いたオチまでついているすごい作品もあり、ただただ感嘆してしまう。自分はどちらもできない。続けるほかない。
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