日記:顔がわからない

人の顔を覚えるのが苦手だ。そのことに気がついたのは割と最近になってからのことだった。初対面の人と会う機会が少し増えて、その人と再会するとき、自分だけが相手の顔を覚えていない。そんなことが何度かあってようやく、ああ、自分は他の人よりも顔に対する認知力が低いのかもしれない、と思い至ったのだった。

言われてみれば、大学生の頃、同じサークルに所属している同期の顔を覚えるのに半年ほどかかった。週3回ほど活動していて、全員集まることは少ないにしても、それなりの頻度で顔を合わせていたのに。社会人になってからも、「そのことなら〇〇さんに聞いてみるといいよ」などと言われて、その人の顔がわからず苦労したことが何度もあった。基本的に狭いコミュニティに浸っていることが多かったから、初対面の相手と交流する機会がそもそも少なく、最近になるまで気がつかなかった。

そのことと関連しているのかわからないが、自分は「塩顔」「しょうゆ顔」といった分類もあまりピンとこない。特徴を調べてみても、それが頭になかなか入ってこない。人の顔をじっと見つめていると、最終的に違いがよくわからなくなってしまう。好きな芸能人を尋ねられたときも困る。好みはあるのだろうが、それを自分の中で分類できるほどに、顔に対する分解能が発達していない。自分の顔もよくわからなくなってくる。私はいま、どんな顔をしているのだろうか?

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