日記:クリスマスチキンの生存戦略
ファミリーマートで「日本で2番目に人気のチキンのお店!」という広告が掲出されていて、上手いなあと思った。
2番目と言われてまず気になるのは「1番は?」という疑問だが、日本で1番有名なチキンといえば誰もが思い描くファストフードチェーンがある。それに次いで2番目。そしてコンビニという手軽さがファミリーマートにしかない有利な点で、混雑するであろう1番人気のチキンを買いに走るくらいなら、近所で買って帰ってもいいかなという気になる。
クリスマスのメニューとして食卓に並べるのには、「格」があるように思う。特別な日のディナーなのだから、それに相応しいメニューを用意したい。そこに「コンビニのチキン」という意識があると、些か躊躇してしまう心持ちがあるかもしれない。どうせならケンタッキー食べたいな、みたいな。しかしそれに次ぐチキンが手軽に買えるとあれば、ファミリーマートのでクリスマスの食材を調達するのも悪い選択ではないように思えてくる。ファミマのチキンの「格」を押し上げつつ、しかし真っ向から勝負せず手軽さという強みを活かした広告であるように感じる(そうなの?)。
最近のWeb記事でも、タイトルで心を惹くために「クリスマスのプレゼント、2番人気はアクセサリー、1番は?」みたいな見出しでリンクを開かせようとする手法が膾炙しているように思う。だから「2番人気のチキンは?」と言われると気になる。しかしよく考えると1番人気のチキンは言わずと知れてわかる。そこに消費者の能動性を誘発して、さらに「それだけ美味しいチキンがコンビニで買えるのか」と思えるような構造ができているのではないか。まあ自分は買ってないのだけれど、気になってはいる。人気の計測方法はアンケートの取り方次第でどうにでもなる気もするけれど、「コンビニで1番人気のチキン!」と押し出すのではなく、「日本で2番人気のチキン!」とすることで興味を惹く形にしているのかなあ、と思う。
「左ききのエレン」に触発されて少しだけ読んだ広告の本で、「消費者の理解力は結構あるので、少し考える広告でもOKだけれど、広告に興味があるわけではないので、心を掴めないとダメ」みたいな話が書いてあった気がする。なるほどこういうことなのかもしれないと思った。
近所のファミリーマートではクリスマスの夜遅くまで店先にスペースを設けてチキンを売っている。そこに立つ人のクリスマスが幸福に彩られていたらいいなと毎年勝手に思っている。
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