バセドウ病のこと

わたしの父はバセドウ病でした。
わたしが生まれてから診断されたらしいです。
たしかに昔の父の写真では父は一重。
でも今の父はぱっちり二重。というかぎょろぎょろしててちょっと怖い。

バセドウ病は遺伝性が強いので、わたしがバセドウ病になったのもぜんぜん当たり前のことです。
とにかくわたしは13歳の頃バセドウ病だと診断されました。
バセドウ病はわりとメジャーな疾患なので知ってる人も多いと思いますが、よく「芸能人病」とか言われたり、なんならちょっと羨ましがられたりするのですが、それは大きな間違いなので健康が一番だよ〜ってことをここに書いておきたいと思います。
まず恐ろしいほどの動悸・息切れ。これは常時です。心拍数は1分間に140回。これは普通の人の倍の速さです。いつも疲れているからそれ以上の運動をすると倒れてしまう。みんなと話しながら通学するのも無理。みんなニコニコ平気そうなのに自分だけ汗だく。


そしてこれはない人もいるんですが「バセドウ眼症」。眼球が後ろから押し出されてしまう症状です。眼球の裏側には筋肉や脂肪があります。これは眼球のクッションの役割を担っています。わたしの父が二重になったのはこのせいです。
これだけきくといいなと思う人もいるかもしれません。
しかし現実はそう甘くないのです。
寝る時目を閉じると物凄く痛いんです。
皆さん白目になれますか。寄り目でも良いです。
これって一瞬なら良いですけど、ずっとやってると物凄く目が痛くなりませんか。筋肉痛みたいな。
もうずーーーっとそれなんです。その痛みが消えない。目をつぶって目の上に両手を置くとその重みで楽になるのでそうやって寝ていました。そして人相が変わる。わたしは中学二年生の頃には、いつもびっくりしているような目になりました。白目が上下左右全部露出しているかんじ。おなか押すと目が飛び出るおもちゃみたいな目。
そして当たり前ですけど目がとても乾きます。前より露出してる面が広いから。
あと押し出された眼球は形が歪み、視力が落ちました。酷い乱視です。
そして何より最悪なのが寝る時、わたしはまぶたが閉じなくなりました。
正確にはまぶたが足りなくなりました。
どういうことかというと、まぶたは当然本来の眼球の位置でぴったりくるようにできています。それがどうでしょう。バセドウ病のせいで眼球だけ突出してしまいした。まぶたは元のまま変わりません。それでわたしは目を閉じ切ることができなくなってしまったのです。閉じても1/3くらいは隙間が開いてしまいます。ですからわたしは力一杯ぎゅっと目をつぶって眼球全体を潤すことをしなければいけませんでした。目薬も必須です。

とにかくわたしはあまり目を見開かないようにたくさん訓練しました。おかげさまで今ではただの三白眼なので、あの頃のわたしサンキューです。

バセドウ病は完治はしません。症状が落ち着いているのをキープするしかありません。でもまぁいいかなと思います。

いくら言葉を尽くしてもしんどいことを伝えられなかったあの頃。大人は思春期の子供相手にフィルターをかけていますし、わたしも語彙が足りない。大量に出される薬。副作用で全身のあらゆる筋肉がつる薬。肝機能が悪くなる薬。飲み過ぎると鬱に似た症状が出る薬。体育の時間みんなを校庭の端から眺めていたあの頃。毎朝送迎してくれていた母。

わたしは何とかそれらから脱出できました。時が解決してくれました。

バセドウ病は比較的有名なわりになぜか軽視されやすく、仲間も多いけれど病院によって処方が結構違います。もしこれを読んでる人で甲状腺機能に疾患がある人は一緒に頑張りましょう。わたしも今でも時々悪化するので頑張ります。

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