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咳止め薬でぶっ飛んで神を見た時の話

お酒が好きです。美味しいし、酔うのは楽しいし、気楽に内臓を傷つけられるからです。
みんなも楽しく内臓にダメージを与えて寿命を減らそう!

そんな緩やかな自殺を続けています。
すぐさま首を吊れるほど自分に絶望しきっている訳じゃないけど、飲酒を止められるほど未来に希望を持っている訳でもないのです。

一時期、今よりも少し疲れていた時期、咳止め薬のODに手を出した事があります。
9ヶ月ぐらい続けて、今はもうやってません。
上述した酒を飲んでる理由と矛盾した事を言いますが、身体へのダメージというデメリットを、メリットが上回らないと判断したからです。

身体がふわふわになる、心臓が皮膚を突き上げる動悸が気持ちいい、肌が感じる全ての感覚が気持ちいい、気持ちよさ以外何も考えられない、寝落ち寸前の微睡みにたゆたう……

確かに良い物ではあったと思うのですが、言えば十六日酔いぐらいの二日酔いを激しくした体調不良により、キメた翌日が潰れてしまうのが嫌で、僕はODから離れてしまいました。

そんな咳止め薬ですが、中には幻覚作用や解離をもたらす物がありました。

ある日の僕はそれをキメて、目を閉じていました。すぐに平衡感覚が吹き飛び、気がつくと僕は宇宙にいました。同時に布団の中に僕は確かにいて、幻覚を見ていると理解している僕はそこにいて、しかし宇宙を飛ぶ僕も確かに存在していました。そもそも宇宙になんていません、宇宙がどんな物なのかも知りません。しかし、当時の僕は確証を持って宇宙にいると信じていました。

二次元的で、平面な画像をスクロールさせるように宇宙を漂う中で、僕はキラキラと輝いたウネウネへと辿り着きます。何だろうな、植物かな、と思うのと同時に、クトゥルフ神話的なイメージを思い浮かべるのと同時に、それが神である事を理解しました。理屈も論理も超えて、それが神である事を理解しました。

海の中を漂ったり、FPSゲームのような解離感覚に襲われたり、無数のスロットマシンを俯瞰していたり、荒れ地の上で横たわったり、マントラを唱えて悟りの道を歩いたりもしました。

やがて現実に着陸して、キメが抜けてきて、求めていた筈の幻覚作用がうっとおしくなってくるフェーズを抜けて、ようやく眠れて、起き上がって、フラフラのまま1日を過ごしました。

神は意外と近くにいるんだなぁと思いましたが、市販薬程度で辿り着ける程度の場所に神はいないんじゃないのってのも思います。

現在の僕は酒の飲み過ぎで恐らく内臓を破壊されていて、慢性的な不調に悩まされています。そんな中で、1週間ほど前に、久しぶりにODしたい気分に一瞬だけなりました。

結局は大量の酒と、吸えもしないタバコを肺にぶち込んで、意識を失うように寝て終わったのですが。

どんな瞬間的な絶望に襲われても、ODでそれを乗り切るのは翌日が大変だから……という理性が残っていて、それがある限り僕は自殺もしないでしょう。

意外と健康な人間なのです。僕は。

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