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体外受精のすすめ、私の不妊治療のすべて(かかった費用も公開)

私は体外受精で妊娠をしました。妊娠をしたら、体験記を書こう、って思っていました。

私がそうだったように、不妊に悩んでいる人がきっとたくさんいると思います。もう不妊治療を始めているよっていう人よりは、まだそこへ踏み出せていない人へ。得たいの知れない不妊治療や体外受精というものに対して、一歩踏み出していただくきっかけになれば幸いです。

また、体外受精に対する偏見が少しでもなくなれば嬉しいです。

(※免責事項 この記事は私の体験談をもとに書いています。医療に関する用語やプロセスなどを自分の言葉で説明しているところがありますが、わかりやすくするために端折っていたり、もしかしたら間違いもあるかもしれません。これを正確な医療情報として読まず、あくまで一体験談としてお読みいただけたら幸いです。)



私の不妊治療経験

私の場合は、不妊治療の病院に通い始めて7~8ヶ月で妊娠に至ることができました。

最初に人工授精を4回、それで妊娠しなかったので、体外受精のプログラムを開始して1巡目で妊娠をしました。

不妊治療を何年間と長く続けられている方も多くいらっしゃいますので、私の場合は比較的スムーズにいったほうなのかもしれません。

30歳で不妊治療を始めたので、統計的にみて妊娠率が高いタイミングで実施できたことは大きかったのだと思います。

病院へ通った回数は約37回

諸々トータルでみると200万円ほどの費用がかかりました。


不妊治療を開始する前

恥ずかしながら、私は避妊をやめればある程度授かりたいタイミングで妊娠ができると思っていました。

そんなことはなく、避妊をやめて半年経っても妊娠することはありませんでした。

なるほど、そういうものなのか。

そうしてようやく、ネットで妊娠する方法を調べ始め、体温を測ったり、排卵日予測キットを使ってタイミングを意識するようになりました。

これはこれで非常に苦痛なものでした。

今日か明日だよ!といって夫とセックスのタイミングを見計らうことほど面倒なことはありません。

このようなタイミング法を実施する場合、とにかく、男性側の協力的な姿勢がめちゃくちゃ大事であることをお伝えしたいと思います。

さて、それをまた半年続けてみましたが、妊娠しません。

ここで一度、「問題がないかどうかを調べてみたほうがいいのでは」という発想が生まれ、「不妊相談も可」の婦人科にかかりました。

このときは血液検査と膣内にカメラを入れての検査を行った上で「とくに問題ないのでタイミングが合えば妊娠しますよ」という診断でした。

あとになって思うと、このときに不妊治療の専門家にかかっていればよかったのですが、とにかく上のような診断だったのでまたしばらくタイミング法を頑張る、ということになってしまいました。

ちなみにこの時、甲状腺に問題があることがわかりました(橋本病)。それは不妊自体には関係ないとのことでしたが、持病がわかったのは良かったです。


【コラム】もし妊娠しなかったらどうするのか

余談ですが、あれ、妊娠できない?と思ったら誰もが考えると思うのですが、もし自然妊娠できなかったらどうするのか、ということ。

妊娠を意識し始めて数ヶ月の頃、一度夫と話し合いをしました。

実は私はそのとき明確に「体外受精はやだ」っていうことを言っていたのです。ただそのときは不妊治療のことも全然わかっていなかったし、まだ自然妊娠の望みもあると思っていました。

「もし自然妊娠できなかったら、子どもを持たないという選択肢もありなのではないか。むしろ自由に生きられると思ってポジティブに転換していく必要があるのではないか。」
真面目にそう考えていました。

一方夫の方は、「本当にそれで後悔しないのか、体外受精という選択肢も視野に入れるべきではないか」という考えでした。

私自身は、もともと子供を持つことに対するプライオリティは高かったのですが、その頃はまだ、体外受精に偏見を持っていて、なんとなく自然に反する邪道な行為のように思ってしまっていたのだと思います。

思えば、かなり昔に聞いた「試験管ベビー」のような言葉のマイナスイメージが潜在意識の中にあったような気がします。(試験管ベビー、あまり良くない言葉だと思います。)

体外受精のことをほとんど何も知らなかったのです。


不妊治療へ

上記の婦人科へ行ったあと、また数ヶ月タイミング法をトライしました。

しかしタイミング法疲れもありました。私の家は職場から遠く、早めに上がったとしても、22時に自宅に到着が当たり前、そこからご飯を食べて諸々支度をして夜の営みを・・・というのはなかなか辛いものがあります。

明日や明後日には延ばせないし、次の機会は1ヶ月後になってしまうのです。だから、疲れていても「頑張る」しかないのですが、相手が乗り気じゃなかったりすると面倒なことになります。

タイミング法はもはや、愛の営み以上に仕事なのです。

「じゃあ次ダメだったら、専門の病院にかかろう」

そう言って私たちは早々に(?)見切りをつけました。


不妊科の初診の日。

カルテには、どんな治療を望むかの選択肢がありました。「人工受精 体外受精 ...」

正直言ってその時、あんまり人工授精すらも良くわかっていませんでしたが、とりあえず「人工授精」に丸をつけました。

先生はとてもさっぱりあっさりしていて、「それじゃあ、人工授精いってみよう」と言って、実施する日を早々に決めて診察が終わりました。

この日は血液検査のための採血をして、次の排卵日を調整するための薬を処方してもらって終了です。

血液検査は女性が2万円、男性が1万円だったと思います。


人工授精とは

よく知らない人のために説明すると、人工授精は、通常セックスして受精するところの工程について、いくつかの方法で確率を上げるものだと私は理解しています。

以下、間違いもあるかもしれませんが、ざっくりと私の理解している内容です。

1. 医者の目で、排卵の日を予測する

普通に生活していると排卵の日は良く分からないので、体温を計ったり排卵日予測キットを使って予測するわけですが、それも正確ではないわけです。なので、お医者さんが超音波検査で卵胞の大きさを見てだいたいの排卵日を予想します。

2. 排卵日を調整する

その上で、人工授精を行う当日または直後に確実に排卵が起こるよう、排卵日を薬で調整します。私の場合は、点鼻薬を使ってその36時間後に排卵が起きるよう調整を行いました。

卵子が受精できるのは排卵から24時間、精子の寿命は1.5〜2日程度らしいので、限られたタイミングに確実に合わせにいくことができます。

3. 良い精子を選抜する

精子は数と運動率が重要なようです。そもそも数が十分にないケースもあるようですが、数が十分にある場合でも動きの良い精子と悪い精子が混ざっているので、邪魔なものや悪い精子を取り除いていって全体としての運動率が高まるよう調整を行ってくれます。

4. 確実に奥に注入する

そうして精査された精子を、スポイトみたいなものでしっかり子宮内に注入します。

5. 妊娠しやすいようホルモンを補充

人工授精が終わった後は、より妊娠の確率が高まるよう、飲み薬でホルモンを補充します。


人工授精をして

このサイクルを私は4回(つまり4ヶ月)トライしました。

最初に説明を受けていたのですが、人工授精で妊娠する方の80%は4回以内に妊娠し、それ以降は5回6回と繰り返しても確率は変わらないため、その病院では基本的に4回まで実施をするとのことでした。

そして、私は妊娠しませんでした。


人工授精自体はそんなに大変なものではありません。

大変なことといえば、

- 1サイクルにつき2-3回の通院が必要になり、排卵日に合わせての通院が必要になること

- 21時から22時の間に点鼻薬を使用してください、といった指定があること

- 毎日薬を飲まなければならないこと。

- 精子を持っていかないといけないこと(夫は嫌そうでした)

これくらいでしょうか。

月に1回しかトライはできないので、4ヶ月という期間は非常に長く感じるものでもありました。

ちなみに人工授精はざっくり1回あたり3万円と説明されますが、それは精子の精査と当日の精子注入のところでかかる費用で、排卵日を予測するための超音波検査や、排卵日調整のための薬、人工授精後のホルモン薬などの費用は含まれません。

そのため、私が通っていた病院では1サイクルで5万円かそれ以上の費用がかかったと思います。


【コラム】不妊の原因について

また挿入話になりますが、不妊の原因についてです。

不妊を疑い始めるとき、注意すべきは、不妊の原因についてあれこれ考えてしまうことです。

これは必ず一回は起きてしまうことだと思いますが、女側と男側どちらに問題があるのか、という話になりがちです。この話題は、話してもほとんど意味がないので、やめたほうが吉です。

不妊治療では、場合によりますが、不妊の原因はあまり明らかにならないこともあります。

ただ確率的に妊娠しやすくなるような方法を順番に試していって、これがダメなら次はこの方法、と試していきどこかでうまくいくと、理由はよくわからないけどうまくいったね、となったりするわけです。私の場合はそうでした。

ちなみに、人工授精を最初に行うと、まず、精子の状態はわかります。上で書いた通り、精子を精査する段階で、量が少ない、運動率が極端に悪い、などの問題は把握することができます。

なのでこの段階で問題が見えなければ、基本的にはまあ女性側の問題かな、となるわけですが、その原因はもう全くわからなかったりするので、「原因を知ろう!」とするのではなく「あくまで授かれればいい」というスタンスで専門家に委ねたほうが良い場合もあります。

ただ、私の場合はわかりやすい原因となるような病気が見つかりませんでしたが、なかには不妊治療の過程で重要な病気を見つけることもあると思いますので、やはりケースバイケースということになります。


体外受精を始めるまで

いよいよ、本題、体外受精の話です。

私は4回目の人工授精で妊娠がないとわかった時、「じゃあ、次のステップに進みましょうか」と先生に言われました。

その時私はつい、「え、次のステップって?」と聞いてしまいました。

それはもちろん体外受精のことだったのですが、まずは、体外受精の知識をつけるために資料とDVDを渡され、それをみて勉強して判断してください、と言われました。

資料には、年齢ごとの体外受精を行なった場合の妊娠率、体外受精の方法と流れ、それから胚凍結などについて記載がありました。

そして、気になるのはお値段。

基本のパッケージで、最低でも60万円はかかることがわかりました。そしてそのあと、これはごく一部にすぎないということもわかります。

人工授精ですでに数万円という単位のお支払いには慣れてきていたところですが、さすがにこの金額を見て、「わはははは、高いっすねー」と看護師さんの目の前で笑ってしまいました。

「ねー、ほんとにねー(苦笑)」と看護師さん。

はっきりいって普通に躊躇するレベルでしたが、私たちにはここで引き下がるという選択肢はありませんでした。

正直、1回でうまくいけばいいけど、もしダメだった場合、どうするの?無理じゃない?と思いました。でもとりあえず1回目はトライしてみようと。


体外受精プロジェクト、スタート

ざっくり体外受精プロジェクトの全体の流れを説明します。

体外受精は、身体の外で卵子と精子を出会わせ、受精卵(胚)の状態にしてから子宮の中に戻す、というものです。これにより不妊の原因となりうるようないくつかの工程をスキップすることができます。

ざっくりいうと、

⓪採卵準備 → ①採卵 → ②受精させる → (③胚盤胞になるのを待つ) → (④冷凍して時期を待つ) → ⑤凍結した胚盤胞の移植(子宮に戻す) → ⑥ホルモン補充して妊娠を待つ → ⑦血液検査で妊娠の診断 → ⑧10週くらいまでホルモン補充して問題なければ不妊治療卒業

私の場合は括弧書きのところを含めた工程を経験しました。

病院の方針や患者の状態によっても異なると思いますので、参考程度にお願いします。


採卵まで

最初にやることは、卵子を取り出す(採卵)というものです。ただ、通常卵子は1サイクルにつき基本1つしかありません。卵子1つだと、受精卵はできたとしても1つ、しかも受精卵になれない可能性だってあります。だから確率をあげるには、卵子を増やすこと。

そんなことできるんだ!とびっくりしましたが、薬を使って卵巣刺激を行うことによって1サイクルで得られる卵子の数を最大化します。

具体的には、決められた日から約10日間くらい毎日同じ時間に注射を打ちます。病院に行って打ってもらうこともできますが、毎日行くのは現実的ではないので、だいたいの人は注射の打ち方を教えてもらって、自宅でやります。

私の場合は、出社前にバタバタと3種類ほどの薬をブレンドして、お腹に打っていました。針もかなり細いのでそんなに痛いということはなく、3日くらいで慣れました。

ちなみにこれも驚きましたが、この注射代、基本料金に含まれていません。1日分あたりが8000円で10セットとかなので、また約8万円の追加料金です。(先に言えよ!)

終盤で、超音波検査で卵子の数を確認し、採卵に向けた最終的な段取りをします。

私の場合、超音波検査で30個ほどの卵子があるとわかりました。これは結構多いそうです。とにかく数が多ければ、確率としては増えるので基本的には喜ばしいことです。

数が多すぎることで命の危険に関わるようなリスクもあるらしいのですが、それを軽減するための薬というのも服用しました。この話を聞いたときは少し怖かったです。(薬にも副作用があるとのことだった)


採卵

採卵の日は、「手術」といった感じで、緊張感があります。

病院に行くと、ベッドで点滴を打ちながら順番を待ちます。(基本的に不妊治療のスケジュールは身体のサイクルで決まるので、同じ日に採卵する人が集中したりもします。)

順番が来ると、手術室に移動して、点滴から麻酔が注入されます。私は数が多いことがわかっていたので、時間がかかるということで、麻酔も通常の2倍量でした。(ここでプラス料金

起きると、元のベッドの上。若干、痛みを感じます。

結果、卵は37個採れたとのことでした。(20個以上はプラス料金あり)


受精について

受精は、卵子の上に精子をふりかけて受精を待つ、というのが基本ですが、私の場合は、事前の同意書で、「ふりかけで受精しなかった場合、顕微授精しますか?」という項目があり、私は「はい」としました。

ただ難しいなと思ったのは、この同意書の段階では、どのくらいの数ふりかけで受精できる可能性があるのかわからないということです。顕微授精はもちろん追加料金が発生しますから、最終的にいくらかかってしまうかわからないものに「賭ける」というようなものです。

でも後から「やっておけば...」とならないように、とりあえず「はい」としておくしかありません。

ちなみに顕微授精というのは、卵子に1つの精子を直接注入するというものです。卵子にごくごく小さな穴を開けて注入するので、一応これによるリスクもあると言われています。


受精卵の凍結

無事受精卵ができたら、それをそのまま戻すという方法もありますが、採卵を行うために卵巣刺激などを行なっているそのサイクルでは、ホルモンのバランス等が崩れていることから、1周期あいだを置いてから戻す方が妊娠率が高まることが実証されているようです。(これは事前の資料から学びました)

ただ、1周期待つあいだ、受精卵をずっと培養容器の中に置いておくわけにはいかないですから、良い状態まで育った受精卵(胚盤胞)を最新の凍結機械で瞬間冷凍することになります。


ここでまた難しい決断がやってきます。

それは、「いくつ凍結させますか」という問題。

正直、採卵で採れた卵子自体が少なかったり、受精卵に至るものが1個2個という時には、迷うことなく全部凍結しておこう、ということになるかもしれません。

私はそういう状況からすると贅沢だと思うのですが、40個の卵子が得られていたため、確率的に考えて多くの受精卵を得られる可能性がありました。

凍結については採卵が終わった後わりとすぐに決断を迫られます。

なぜならどのタイミングで良い状態の受精卵ができるかわからず、良い状態になったらすぐに凍結しなければならないからです。

そのため決断を迫られる時点では、まだいくつの受精卵が得られるかどうかもわかりません。

とりあえず先生から教えてもらったこととしては、「だいたい3つあれば、1つ妊娠する」と考えれば良いということでした。

ちなみに、私の病院では、凍結の1容器目は基本料金に含まれていて7万円、2容器目以降は、1容器あたり5万円です(3年間の保存期間)。1容器あたり受精卵は1個です。

もう金銭感覚は麻痺しているとはいえ、高いです。これは完全にお財布と相談案件になります。

私はまず一人目を確実にという意味と、できれば二人目も、という考えで6つ凍結をお願いしました。


ただ、6つ凍結を決めてから、意外と良い状態の胚ができず、「6個いけないかもしれないなあ」と先生も心配そうでした。その日凍結できたのは1つ。

「40個もあるのに!」とちょっと驚いたし、不安でした。

最終的には少し時間がかかりましたが、顕微授精したものも含めて、6つを凍結することができました。

余談ですが、受精卵の状態には、ランクがA〜C(さらにその中で細かい分類)とあって、それぞれ妊娠率が少し異なります。素人目にはよくわかりません。Aはほとんどなくて、CでもOKなラインなのでできた順に凍結していきます。そしてあとからできたもののほうがランクが良ければ、先に入れたものと入れ替えるということをやります。私はBとCが半々くらいでした。

いつもめちゃくちゃさっぱりしている先生もこのときばかりは笑顔を見せて「いや〜ダメかと思った!後半に一気にきたよね。良かった良かった」と安堵の様子でした。

たしかに、受精卵ができるかできないか、これは体外受精において要の部分なんだなと思いました。


(凍結融解)胚移植

いよいよ、最後の工程、受精卵を戻す工程です。

正直言って、体外受精の一番大変なところは、採卵を中心としたこの前の工程までです。時間的にもお金的にも、精神的にも。

受精卵ができたあとは、次のサイクルの最適なタイミングを待って、凍結していたものを融解し、10分そこらで戻すだけなんです。

採卵と同じく手術台に寝ますが、今回は麻酔もなく、細長いチューブのようなものを膣内に入れて、ここだという場所に受精卵を置きます。

この様子は超音波のカメラの様子から見ることができますが、本当に受精卵は「点」にすぎません。「まじで、これが、ここに置いただけで成長していくの、、?」とちょっと信じられない気持ちです。

胚移植が終わると、ごく普通の生活をします。不安ですが、普通にしているしかありません。妊娠しやすくするためのホルモン薬を処方され、それを朝晩服用します。


結果

1週間くらい後に、採血をして、その翌日に結果がわかります。はやくてびっくりです。

採血ではホルモンの値を見て、基準値内だと妊娠という判定になります。

まったく実感もないしこの1週間で何か進歩があったのかわからないですが、とにかく「おめでとうございます」と言われます。

え、こんなにあっさり?


その後

その後は妊娠の10週目までは不妊治療の病院で、ホルモンを補充する薬をもらって、経過に問題がないかを定期チェックします。

ホルモン薬は、念には念をということなのかもしれないし、効果のほどはよくわからないけど、飲み薬2種類と膣錠1種をずーーっと服用し続けます。

飲み薬はまだいいけど、毎朝晚、膣の中に薬を入れないといけない、これもなかなか不快で辛かったです。

しかも値段も高いんですよ。行くたびに2万円だの3万円だの請求されて、現金払いしかできないし、病院近くのATMともはやお友達でした。

それでまだ不妊治療の病院を卒業しないうちにつわりが始まって超最悪だったのですが、その話はまた今度に。


以上が私の不妊治療の体験です!長かった!

ここからちょっとまとめに入ります。


費用について

ざっくりと不妊治療全体で200万円と言いましたが、内訳を細かく出すのは大変なので、とりあえず私が体外受精にかかった費用を公開します。

採卵および受精卵培養 363,000円
採卵および受精卵培養に関わる加算(20個〜) 10万円
胚盤胞培養 77,000円
顕微授精 110,000円
受精卵の凍結保存(1容器目) 77,000円
受精卵の凍結保存(1容器追加あたり) 55,000円×5本
凍結融解胚移植 110,000円

合計 1,112,000円

※人によりこれ以外の項目が追加されることもあります。あと病院によっても料金設定がそもそも違ったりします。

上でも言ったように、ここに書かれているのは一部にすぎなくて、通院のたびに6,000円〜40,000円くらいの費用がかかっています。

超音波検査と再診料で5,000円くらい、毎回何かしらの薬を出されるので、それで2万円や3万円といった金額を払うことが多かったように思います。

あと交通費も馬鹿になりません。専門の病院はそんなにたくさんないので、私は家から車で1時間くらいのところに通っていました。高速代も37回分となると、結構な金額になりますね・・


私たちは夫婦共働きで、都会的な働き方をしながらものすごく固定費の安い田舎に住んでいるので、貯金も含めてなんとかやりくりすることができましたが、お金は本当に大きな問題だと思います。

一応助成金の制度はあって、条件を満たせば30万円くらい補助してもらえる場合もあります。少子化対策で保険適用についても検討がされているようなので、早く一部だけでも保険適用ができるようになるといいですね。。


不妊治療を検討される方へ

私は不妊治療を経験して、子供を授かりたいならば、できるだけはやめに不妊治療専門の病院にかかることをオススメしたいです。(まだ出産していない私が言うのも・・というのはありつつ)

そもそも妊活を始める年齢が上がって、自然妊娠できないという方も増えている中、不妊治療も、抗えない事実として年齢が重要な要素となってきます。

病院を見渡すと、私はとても若い方だったと思います。でも、若いからといって、33歳、35歳となるのを待つ必要はなくて、例えば半年や一年といった自分たちなりの妊活を継続してみて妊娠しない場合、まずは受診してみればいいと思うのです。

それで、場合によっては何か明確な原因らしいものが見つかるかもしれないし、見つからないかもしれない。それを元にまた次のステップを探ればいいのです。


体外受精との向き合い方

私はもともと、ある種の自然主義的な考えを持っています。自然に反しない、ナチュラルな方が良い、という志向です。

そういう考えからすると、体外受精というのは、ちょっとだいぶ「アンナチュラル」な響きを持ちます。

特に卵子を増やすのなんか、無理やり感がありすぎてちょっと怖いです。

でもこれも、時間を無限にかけられるわけではない不妊治療において、時間を短縮しながら、女性の身体にもっとも負担がない形で、かつ費用も抑え、妊娠の確率を上げるために考え出されたアイディアなのです。

時間がいくらでもあるなら、そもそも自然妊娠をするためにもっと時間をかけて頑張り続けるという方法もあるのかもしれません。ただ大抵、時間に猶予はあまりないのです。


体外受精のイメージの悪さの一つは、培養器の中で、一定まで生命を育ててから戻すというようなイメージからくるものでしょう。

実際、受精のプロセスが始まった時から、細胞分裂をはじめていく様は、生命と呼んで差し支えないように思います。だからイメージはあながち間違っていないのかもしれません。

ただ、これは、まったく不自然なことをやっているというよりは、身体の中で通常起きるプロセスを、ちょっと人の手を加えることによって端折るというようなイメージです。

例えば、排卵した卵子が卵管という場所でタイミングよく精子と出会って受精すること、受精したあと卵管を通って子宮内膜に到着すること。このような通常の妊娠のプロセスで問題になるかもしれない部分(タイミングよく精子と出会えないとか、受精したけど卵管を通って子宮内膜に到着できない、とか)を先回りして潰していく方法なのです。

この辺りの詳細は、ブルーバックスの『不妊治療を考えたら読む本』がとってもオススメです。


そろそろ1万文字の超大作になってしまいました。伝えきれたかどうか不安ですが、もし質問などありましたらTwitterやコメントでどうぞ。

https://twitter.com/nunochaan

また、最初に書いた通り、間違っているところがあるかもしれませんが、お気付きのことがあれば、教えていただけると幸いです。ここに書いてある情報だけを鵜呑みにせず、信頼できる上記の本を参照したり、実際に専門医に相談したり、していただくと良いかと思います。

ありがとうございました。

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