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はやくプラモデルを持ち帰りたい

緊急事態宣言解除に伴い、外に出る機会は少しは増えそうだ。
いろんなことが出来ないでいたが、僕は早くプラモデルを持ち帰りたい

以前からプラモデルの購入経路として通販は多く利用している。家の近くにはおもちゃ屋も家電量販店もない。会社の帰りに遠回りして寄るか休みの日に行くかだ。最近は店頭に並ばない予約限定商品やメーカー直予約の特典なんかもある。僕宛の宅配ボックスは、いつだってプレミアムバンダイかコトブキヤオンラインショップかのシュレディンガーの猫だ。

プラモデルの箱は、その軽さに反してだいたい大きい。
3000円以上出せば、コートを買ったぐらいの荷物になろう。だから通販で買うのが便利だ、理にかなっている。それでも僕は今、プラモデルの箱を持ち帰ることを渇望している。
おもちゃを買ってもらった帰り道、「帰ってからにしなさい」と買い物袋から箱を出すことを制され、横目に袋の中の箱の側面を覗き込む。早く開けたい、遊びたい。あの頃のワクワクは相当のものだった。大人になって何年も経つ今、あそこまでの胸の高鳴りはなくとも、店名の入った大きな袋は"楽しみ"であるままだ。

プラモデルの箱は、バッグには入りきらないほど大きい。
だから買うのは少し決意がいる。飲み会の前に買ってしまえば、スペースをとって結構なジャマになる(本当は箱が汚れたりするのが心配)。休みの日のショッピングであれば、最初の方に買ってしまうとそれを持って1日を過ごさねばならなくなる。
どのタイミングで買うのか。それを買ったならば、どう持って帰るのか。あるいは、買った時点ですぐに帰る判断を下していると言っても過言じゃない。こっちは腹を括ってるんだ。邪魔をするな。

プラモデルの箱は、何を買ったか周りに簡単にバレるほど大きい。
袋の上から覗き見えるのは箱の側面、そのプラモデルのアピールポイントだったり入っているオプションの説明だ。ビニール袋を透けて見えるのはクールな箱絵だ。そのプラモデル(もしくはそのモチーフとなったもの)の活躍・格好よさ・可愛さを最大限に示す美術だ。それは電車で向かいあった見ず知らずの人にも主張する。我は戦車であるぞ。いやいや我こそはガンダムであるぞ。メジャー趣味に踊り出ることのなくなった彼らが一番大きな声をあげる時。持ってるこっちは少し恥ずかしい気もする。でも少し、俺はこいつを買ったんだぜ、こいつを作ってやるんだぜとテレパシーで伝えたい気持ちもある。もしもウチの子と同じ箱を持った通行人と遭遇したならば、本当に通じ合えるかもしれない。

家に着いてすぐはその箱を開けないかもしれない。すぐには作らず積んでおくかもしれない。それでもプラモデルを買って帰る体験は代えるものがなくて、いま欲しているんだ。プラモデルの箱は部屋に積んでおくには、少しだけ大きいけれど。


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