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病気にかかりやすい, とは -危険因子へのイメージ

病気に「かかりやすい」と言われると, 病気になってしまうような気がする. 逆に病気に「かかりにくい」と言われると, 病気にならないような気がする.
病気になる確率を上昇させる要因を「危険因子」と呼びますが, それぞれの病気には様々な危険因子が知られています.

私自身も色々な文献から危険因子を調べたり, それを紹介していますが, 危険因子はなかなかイメージしづらいこともあるので, 場合によっては誤解を招く恐れがあるのでは, とよく思っています.
今回の記事ではあくまでその「イメージ」について書こうと思います.

病気になる確率を上げるとは?

 確率が上昇する, もしくは低下するというのはなかなかイメージしにくいかと思います. 実際, 「これがあれば必ず病気になる」と言うものがあればわかりやすいと思いますが, そういった危険因子は珍しいと思います.

 ただ, 一般的には「白か黒か」ということがイメージしやすいため, 「確率を上げる」と言われただけで白から黒に変わる, つまり「病気になってしまう」と考えてしまうことがあるようです

 実際には, 個人的なイメージとしては危険因子とは「階段を昇る」ようなイメージです. つまり危険因子があると階段の上の段に行く, ということです.
 階段は上の段にいくら上がっても問題は起こりませんが, 危険度はより増している状態であり, それが「病気になりやすくなる」というイメージに近いのでは, と考えています.

危険因子の具体例

それでは具体的な危険因子を挙げたいと思います.
乳幼児突然死症候群(SIDS)という主に1歳未満に起こる原因不明で突然死を起こす病気がありますが, SIDSの代表的な危険因子として「うつぶせ寝」があります. 
「SIDSを予防するためにうつぶせ寝はさせないようにしよう」という情報は比較的よく知られていると思いますので, ご存知で実践されている方は多いと思います.

では, うつぶせ寝をさせるとみんな突然死してしまうのか?と言われると, そうではないだろうと思われるでしょう. 実際に, うつぶせ寝をさせても必ずSIDSになってしまうわけではありません. ただ確実になりやすくはなります.
必ずなってしまうわけではないけど, 危険度は増す, だからうつぶせ寝は避けるというわけです.

沢山ある危険因子  -どうしたらよいのか

危険因子は可能性があるものを含めて様々な研究で報告されていて, 1つの病気で多くの因子が知られているものもあります.

例えば, 小児の急性中耳炎だとウイルス性上気道炎, 保育園に通っていること, 受動喫煙, 男児, 遺伝的にかかりやすいこと, 早産児, ミルク栄養…
その他にいくつも危険因子の可能性があるものが挙げられています.

先に挙げたようなSIDSにおける「うつぶせ寝」は避けることができます. でも「男児」とかはどうしようもありません. そしたら男児はダメなの…ともちろんそんなことはありません.

危険因子のとらえ方についてはまた別の機会で書こうと思います.

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