「子どもが体重22kgです。座薬の熱さましはいつまで使えますか?」

発熱は小児でもっともよくみられる症状の1つで, 熱さましの薬は小児科でも特によく使用されている薬の1つではないでしょうか.

子どもの熱さましの薬はおもにアセトアミノフェンが用いられていますが, いくつも種類(商品名)があります. 具体的にはカロナール®, アンヒバ®, アルピニー, コカール®などが挙げられます. また市販の子ども用の熱さまし(小児用バファリン[注]など)も基本的にはアセトアミノフェンが用いられています.

また子どもの熱さましには剤形でもいくつか種類があります. 具体的には座薬, 粉薬, シロップ, 錠剤が挙げられます.
このうちでも特に低年齢では座薬が好んで用いられている傾向があると思います.


ところで時々「座薬が一番強くて効果がある」と思われていることがあり, 年齢があがって小学生になっても座薬を使用されていることもあります.

ただそんな時に問題となることがあります.
それは「いつまで座薬を使えますか?」という点です.

先に結論から言えば「体重20kgまでは座薬で問題なし. それ以降は飲み薬で」と考えるのがシンプルだと思います.


子どもは成長するため子どもによって体格が異なります. そのため子どもの薬はその子によって投与量を変える必要があります.
投与量は主に体重か年齢によって決まります.

子ども用の熱さましは体重によって決められます.
詳しいことは省きますが, 座薬の種類や必要な投与量を考えると, 体重20kgを超えると熱さまし1本ではどうやっても必要な量を投与できなくなってしまいます.
そのため, 体重20kgを境目にして座薬が使用できるか決まると言えます.

「座薬を2本使えば使用できるのでは?」というのは確かにその通りだとは思います.
ただし2本使ってまで座薬を選択する必要はあるでしょうか?


先ほども述べましたが, 「熱さましは座薬が一番効く」と思われている場合があります.
ただ実際にところは現時点では熱さましは飲み薬も座薬も効果は同等だと考えられています(*1).
従って効果を期待して座薬を選ばなくても大丈夫, だと言えそうです.

「前に飲み薬では効かなかった…」という経験をされたことがあるかもしれません.
ただ熱さましは必ず効くものでもなく, 薬の剤形によるというよりはその時の状況の影響を強く受けてしまった可能性が高いと考えられます.


以上からタイトルのように「体重22kg」なら, 熱さましは飲み薬にした方がよいのではないでしょうか.
もちろん詳しい剤形は受診時にご相談して頂くのが一番だとは思います.


[注] バファリンは小児用と通常のものがあり, 成分が異なるため注意が必要です.

<参考文献>
*1 Goldstein LH, Berlin M, Berkovitch M, Kozer E. Effectiveness of oral vs rectal acetaminophen: a meta-analysis. Arch Pediatr Adolesc Med 2008; 162(11): 1042-1046.



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