おすすめのマンガを聞かれたときのためのカンペ

「おすすめのマンガある?」と聞かれたときに咄嗟に言葉にできず。雑な紹介しかできないため。ここに残しておこう。

14歳の恋  水谷 フーカ

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「大人っぽい」と言われ、クラスでもそのキャラを守っている。が、2人っきりのときは年相応の、むしろ子供っぽく素直。甘えられるのは2人のときだけ。クラスではこの関係は秘密。この対比が好き。
よくある「くっつくか、くっつかないか」ではなく「くっついてるのに距離を感じる」方の作品。
白泉社 楽園 honto amazon

長閑の庭  アキヤマ香

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年上男性への恋というのにハマ時期がある。「若い女性との恋愛ええやろ」みたいな視線がチラみしてあちらは途中で読むのをやめてしまった。対してこちらは続けて読んだ。大学院生と教授の恋愛。
前述の作品ではない方。つまり「くっつくか、くっつかないか」のカテゴリだろう。いつもなら鬱陶しくなるこの距離感が、不思議なくらい奇麗になじむのは院生という設定に感情移入してしまったからかもしれない。
講談社 KC Kiss honto amazon

私の少年  高野ひと深

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年下男性への恋というのにはハマり続けている。ここで「年上女性」としなかったのは30歳独身の彼女が主人公だからだ。彼女については1話から細かく描写されている。比べて、相手になる少年を神秘的に描いており、彼女と対照的だ。
1巻のあとがきに、男性向け文化のオネショタではなく女性向けのオネショタ、と書かれている。性的……というかキャラクターとして消費するよりも。むしろ、2人の関係を楽しみたい方にはぜひとも。
双葉社 月刊アクション honto amazon 

喰う寝るふたり住むふたり  日暮キノコ

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交際10年目、同棲8年目。結婚しないままこうもずっと続くのかと。むしろその距離感がいいのかなと感じられる。
面白いのは話の進み方。1つのエピソードについて、彼氏目線で1話、彼女目線で1話。交互に語られる。
やっぱり他人なんだなって思えるし、イキぴったりじゃんとも思える。
くっついて物語はゴール! じゃなくて、その先ももちろんあるよね。と、それを描いている作品。
徳間書店/コアミックス ゼノン honto amazon 

うみべの女の子  浅野いにお

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引用しよう。
中学二年生の女子(佐藤)が先輩に告白したが振られ。寂しさの埋め合わせなのかわからないが。1年前に告白してきた男子(磯辺)に気持ちの整理をつきあってもらってから、流れで身体の関係になったときのあるセリフ。

「佐藤が俺のこと好きになって 普通に付き合ったりする事ってあんのかな?」
「磯辺のちんちんのほうが ゴチャゴチャ言わないから好き」
1巻 081頁

このセリフを。2巻を読み終わってから再び読むと。泣き、叫びたくなる。
太田出版 マンガ・エロティクス・エフ honto amazon

あげくの果てのカノン  米代恭

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SF×不倫。これだけでももう読みたくなるだろう。
同じ学校で、ずっと好きだった先輩と再会してしまい。歪んだ恋愛に……いや、元から狂っている。何故なら、主人公は「いわゆる」メンヘラ気質で、先輩の写真や音声はもちろん、合宿所で先輩が使ったとされる箸袋まで保管している。1の力でつついたら100返してくるような先輩オタクなのだ。
この歪みきった恋愛を、俯瞰して距離を置いて見られるSF要素も素敵だ。
小学館 月刊!スピリッツ honto amazon

放浪息子  志村貴子

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説明文には――女の子になりたい男の子と、男の子になりたい女の子。フクザツで繊細な、思春期物語。――とあるが。恐らく個人的に感情に刺さっているのは「そういう話」ではなく。もちろん、リアルタイムで買って読んでいたからというのもあるが。一つひとつの、空気感が好きなのだろう。
10巻のあんなちゃんに告白するところとか好きだし。「ふたごでーす とかゆって とかゆって」(056頁)の引きとか好きだし。
にとりんは高槻くんとくっつくかと思ってたけど、いくら1巻から読み直しても、あんなちゃんとくっつくし。あんなちゃんが15巻で言った言葉がほんと好きになれるし。何度でも泣いてしまう。
KADOKAWA/エンターブレイン コミックビーム honto amazon

ももんち  冬目景

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『イエスタデイをうたって』をリアルタイムに待っていた私は、あの冬目景が描いた短い作品がある、と言われこれを購入した。
冬目景の世界観が好きならもちろん合う。1巻完結なのも手に取りやすい。
ほかに挙げている作品とは異なり、純粋な恋愛もの。単純に青春を楽しみたいという方にも勧めたい。
小学館 ビッグコミックスピリッツ honto amazon

ストロボライト  青山景

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怪作。これは青春マンガの顔をした何か別のもの。
読了したらわかるが。大半は、大学生の甘酸っぱい恋愛を描いているが。話の本線は「そういう話」の小説を書いている主人公。という入れ子構造になっている。主人公が記述しなければ過去は無い。
例えば、小説を書いている方の主人子が「過去にあの子は苛立ってか、首を掻いて跡が残ってしまった」と描写したが為に。その小説を書いている方の次元(?)に居るあの子の首に掻き跡が(あたかも以前からあったかのように)発生する。もちろん、その記述をする以前は、跡など描かれていない。世界線の記述と言えばわかりやすいだろうか。メタ世界を描いており、青春部分は、いわば劇中劇なのだ。
このマンガが恐ろしいのは、そういうマンガを描いている「青山景」という入れ子構造がある、ということに気づかされるからだ。
太田出版 honto amazon