うつになったとき

就活時期にあれだけ志望していた業界に入ったのに、いつからからその熱意がなくなり、少しばかりの業務とネットサーフィンをするだけの日々を過ごしていたら、まもなくして鬱になった。

君は何がしたいの。そう言われ続けているように感じた。いや、実際に言われたのだ。答えに詰まった。何がしたいんだろう。

以前は、クリエイティブな仕事について、クレジットに名前が載って、生きた証、爪痕を残したいなと思っていた。

人生観なんて他人に批判されるべきではないけれど、作品は違う。作品として世に出して批判されたかったのだ。人生を投影していたのだ。認められたかったのだ。

そういった熱意が素直に言えなくなり、何がしたいのかわからなくなり、仕事を与えられないという形のマネジメントも相まって、生産性のない時間を過ごしていた。

何もしていないじゃん。働きなよ。何がしたいの。

抱えていた仕事は上司の都合で他人に渡った。だからもともとはあったのだよ。今は企画を練ってるんです。そう言い返したかった。だけどできなかった。だって形未満のものしか手元になかったから。何をどうしたらいいかわからなかったから。

きちんとしたパワハラもモラハラもアカハラもあった。けれど、自分が一番病んだのは、何も結果を出せていないことへの焦燥感。そしてそれを煽る上司の視線。マニュアルのない職場、教育環境のなさ。

自分は何もやっていない、自分が居なくてもなにも滞りなく進むんだろう。
会社に行かなければ、あの視線に怯えることはない。

会社の最寄駅に着いてから、改札を出ず、帰路についた。

身体が重かった。

頭が溶けていた。

企画なんてできない。思考が、途中で、途切れる。
体力もない。

食べることと排泄することしかできなかった。
違うな。
食べることでしか快楽を得られなかった。趣味で楽しいと思うことがなくなったのだ。物理と化学で刺激されないとダメなのだ。

激太りした。

なにも能力がなく、見た目も悪い、働いてない。
恋愛もダメだった。

なんで生きてるんだろうな、って思った。

やっぱり生きている意味なんてないんだろうな。