夢の中の不思議な少年のこと。

その少年は、この国のどこにでもあるような、工場や倉庫群が立ち並んだ郊外の工業団地の周辺にある住宅地の一角で、いつも自分と他の同級生たちの違いを一つ一つ潰すことを日課にしている。自分と他の子どもたちの違いは、豆粒となっていつも少年の目の前の箱の中に生み出される。彼は放課後夕陽を浴びながら、箱の中の豆粒を潰す。すると他の少年と並び立った時、あたかも左右対称となるようにその少年と自分との間に何の区別もできないような自分ができあがるのだ。彼はそのために日々豆を潰すことに血道を上げている。

しかし一つだけ、どうしても他の少年たちと違ってしまうところが少年にはあった。それは鳥との親和性という言葉で表現する他ない。それだけは、どうしても他の少年たちとは違ってしまう。そこだけは、他の少年たちに真似することはできない。鳥との親和性…例えば、少年の唯一の居場所である屋根裏部屋の小窓を開けると、それを目にした一羽の鳩が、まるで飼い主を見つけた仔犬のように羽を鳴らして少年の元に飛んできてじゃれつこうとするのである。またある時、家族と訪れた旅先の宿でベランダに出ると、一羽のカラスがやはり、羽を鳴らして嬉しそうに少年の元に飛んでくる。

少年にはなぜか鳥の言葉がわかるらしい。鳥たちは、いつも少年の周りで羽を鳴らして、ピーチクパーチクと囀ることをやめない。

周りの同級生たちは、そんな少年を遠巻きに見て、わざと避けようとしたり、からかったりした。少年は、夕陽が校庭を染める度にまるで何かに憑かれたように豆を潰し続ける。しかし、同級生たちとの距離はどこまでも広がっていく。

#夢分析

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