見出し画像

ボウリング オートスコアラー大研究 ③Olivetti→NTTデータルウィーブ 2023年版

はじめに

このシリーズでは、ボウリング場にある自動点数計算装置「オートスコアラー」について、2023年現在日本で稼働している4つのメーカー、Brunswick・QubicaAMF・NTTデータルウィーブ(旧ジェトロニクス・Olivetti)・SLS(テレシステムズ含む)の別に説明をしていきます。

Olivetti → NTTデータルウィーブとは

このメーカーはこれまでの2社に比べ社名変遷が多く、また開発元・販売元の社名が表示される現地の機器もあったりするのでまとめづらい点もありますが、ベースとなっているシステムは同じですので一連のオートスコアラーをまとめていきます。

Brunswick、Qubica AMFはボウリング総合メーカーですが、この一連の会社はそうではなく、オートスコアラーや会計システム側の会社です。そのため、ピンセッターとは直接連動しておらず、特に10フレーム3投目のリセットについては別とピンセッターに信号を送って制御させています。

Olivettiという会社はイタリアのコンピュータ機器会社です。これまでの2社同様、1960年代に日本法人ができました。どうやら海外にはOlivetti系のオートスコアラーを見かけないので、日本法人が独自にボウリングのシステムを作った感じのようです。

しかしOlivettiの日本法人部分が、オランダのジェトロニクスに売却されます。さらに、そのジェトロニクスの日本法人はNTTデータが買収。NTTデータジェトロニクスという社名で活動していた時期もあって、2023年3月現在はNTTデータ ルウィーブ。ですが、2023年夏にNTTデータ ファイナンス ソリューションズと統合することが発表されて、また社名が変わりそうです。

コンピュータ業界が本業であることからか、後述で登場する機種でも説明しますが、操作方法について他社より先駆けてのやり方を取ることが多いです。最初期からタッチパネル入力のみを採用していますし、00年代前半には無線通信を導入。現在は汎用タブレット端末で操作できるようになっています。

そのため導入費用が小さいということなのか、古い設備をずっと使い続けてきたボウリング場での新規導入が多い感じがしています。

シェア

筆者が投げたことのある130のボウリング場のうち、36場で導入されており、シェアは28%となっています。

特徴

上記の通り一貫してタッチパネル操作を使用しています。また、スコア画面の背景色もボウラー側が変更できる機種も多いです。ただその背景色は、withALまでは単色限定。最新型では単色に加え背景画像付きのデザインもあります。
いっぽう、ストライク等の"マーク画面"は、一機種で複数用意されているもののボウラー側での選択はできません。

AL3000

Olivetti最初の機種のAL3000が、まだ国内で稼働しているボウリング場がありますが、筆者は見かけたことはありません。

AL5000

なんといっても特徴的な操作モニター筐体を持つAL5000。そのデザイン性の高さで、ボウリング業界では史上唯一のグッドデザイン賞受賞の設備です。

マルチメディア機能として、レーン不使用時にアプローチ上モニターに流れる映像を、ゲーム中でも操作モニターで見ることができるという機能がついています。大会時には他のレーンの途中経過も見られるとか。

ただしこのように原色しか出ないのでかなり強い印象。しかも色の組み合わせが良くないものもあって見づらいこともありますね。

また、スコアデザインの切り替えを行うと、このような現在スコア・MAXスコアをグラフに表示するというものもあります。MAXスコア表示の搭載は少なく、他社でもSLSのラウンドワン仕様のみですね。

ストライク等の画面は、星が回るものデザインが多いのですが、厚木ツマダボウルでは動物が登場する型もあり、この段階から複数用意されていることが分かります。

さらに、このオートスコアラーにはルーレット機能が搭載されています。ある条件を満たすとルーレットが発動し、当選数が記録され、ボウリング場でサービスを渡せるようになっているシステムです。

このルーレット機能については、次回紹介するテレシステムズと法廷係争になったことがあるようで、現状Olivetti・NTTデータルウィーブを使用している場での採用率は低いようです。

後期型では、通常のスコアデザインの他、このようにバスの形をしたスコア画面も用意されていて、そのような遊び心のあるスコア画面というのもこのAL5000でしか見られません。

なお、このAL5000のシステム、Brunswickにも供給していたこともあり、葛西とうきゅうボウルではそのBrunswick発売のシステムとして現在使われています。

MB-01

この型は、画面の通り開発はマイクロスタッフ社が行っており型番もその番号なのですが、それをNTTデータジェトロニクスに卸しており、スコアシートなどを見ればオリベッティから引き継がれていることがはっきり分かるため本項で紹介します。

このオートスコアラーもシンプルなスコア表ですが、デザインがより洗練されている形ですね。

まず、マーク画面ではOlivetti系統で唯一スプリット表示が出るのですが、他社も含め唯一、名前のあるスプリットになった際にはそのスプリットの名称が表示されるようになっていてボウリングの知識が深まります。

さらに、操作画面にも機能があります。一つはスペアファインダー機能なのですが、それが出るのはOlivetti系列ではこれが唯一。

さらにもう一つが、直前に得点を判定した際のピンカメラの静止画を呼び出すことができる機能です。これは画面右下の残りピンのところをタップすると出すことができます。これは他社も含めてこれが唯一。
得点計算ってここで読んでたんだというのもここで知ることができ、またピン数間違いが起こった場合もこんな原因なのかなっていう理解もできますね。

なお、全くボウリングと関係ない機能として、操作画面に"今日は何の日"、今日誕生日の有名人を表示することもできます。

with AL

2004年に登場したwithAL。Bluetoothでやりとりできるという画期的なシステムが導入されています。Bluetoothの普及最初期でこれだけのものが出来たのはNTTグループの力と言えそうです。

操作パネルも、このように可愛らしいイメージなのは、ファミリーが来て子供に操作させるという意図をとても感じることができます。
メイン画面のキャラクターも良く、オートスコアラーのキャラにも関わらず厚別パークボウルではボウリング場全体のキャラクターとして使われています。

スコア画面は依然として一色背景であるものの、原色ではなくなっているので見やすくなっています。

マーク画面はこのwithALでも何種類かあるのですが、その中でもとりわけ印象に残るのがこの画面。梅干し食べてすっぺぇや→SPAREなんですね。

最新モデル

これまでのモデルはモデル名がはっきりしているのですが、この最新モデルはモデル名が不明です。

このモデルは操作が汎用タブレットになり、さらにスッキリした配置を取ることができます。ボウラーズベンチ固定型も取ることもできますが、ボウリング場の中ではフロントからレーンにタブレットを持っていくという方式も取れ、レーンカードを兼ねた使い方もなされています。

スコア画面のデザインは、単色のものも残っていますがいくつかの写真型のものも用意されています。スコア表のデザインもとても洗練されていますね。

この最新型ですが、ルーレットを組み込むことも可能。with ALで登場したすっぺぇやの人物が出て来ています。

マーク画面もwith ALでも出るものと、この新型のみで出るものとありますね。

一方、ピンのカメラやスペアファインダーなどの機能は、このオートスコアラーには搭載されていないようです。

Rankseekerコラボレーションバージョン

最後に紹介するのが変わり種のバージョン。このデザインについてOlivetti・NTTデータルウィーブ製であるという裏付けは取れていないものの、スコアシートは間違いなくそうなのでこの項で紹介します。

このバージョンのスコアデザインは、プロボウリングのインターネット中継を行っているRankseekerのものをつかっているコラボバージョンです。

プロボウリングを知らない人だと分からないところなので、導入しているボウリング場は競技志向だということも分かります。MAX表示がAL5000以来ぶりに併記されているところも特徴です。

マーク画面も、ストライクはこのように大画面ですがスペアはMAX表示のところに小さく出るだけで、ストライクが当然という扱いなのかもしれません。

操作画面が、上記の最新モデルとどちらが先か判別できない別デザインなので、今から導入できるものなのかも分からないのですが、なかなかこれも好きなシステムです。
今のところ東京の青戸ボウル・兵庫の神戸六甲ボウル・宮崎エースレーンの3場でしか確認できていませんね。宮崎エースレーンは以前は上記最新モデルを使っていましたが最近変わったようです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?