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高校数学 サブノートの作成およびその周辺についての雑多な考察

1.はじめに

 私は、某塾で高校生に数学を教えています。先日、Twitter でサブノート周辺の話題があったので、思ったことを書いてみます。

2.私がサブノートを推奨していない理由

 私は、極力サブノートは使わないように授業を組み立てていますし、若手の教師にも推奨していません。以前までは、いろいろ作成していましたが、現在はほとんどしていません。理由としては、

① 作成のコスパがよくない。
② サブノートにより、授業の枠組みが固まってしまう。
③ 数学の学力は、書く力に支えられているという学習感を持っている。

 が主なものです。順に説明します。

 ①ですが、サブノートを作成すること自体が、相当な手間です。しかも、プリントの管理が問題です。私は、プリントの管理ができるだけで、その生徒は MARCH 以上に合格する力があると思ってます。カバンの中でアコーディオン状態になるとか、次の授業で忘れるとかがオチです。それを回避する方法は、
(1) 初めから穴あけしたプリントにし即座にファイルさせる。
(2) サブノートを単元ごとに冊子化して配布する。
くらいでしょうか。いずれにせよ、これは教師側のリソースをかなり消費してしまいます。で、ここからは環境に依存するのですが、自分の塾の環境では、これをやってしまうと業務時間内には仕事が終わらないか、終わったとしても問題研究が雑になるかのいずれかと判断しています。ようするにブラック化です。よって推奨していません。

 次に②です。模擬授業を観察していると、このサブノートを利用した授業って、結構うまくいってないんですよ。流れが強引であったり、生徒がつまずいた部分の補足に失敗したり。あと、サブノートを 1 回作ると、次からの授業が完全に同じ構想になり、成長が鈍化する現象も見られます。

 最後に③です。授業は、受験のためだけに行っているわけではありませんが、特に塾においてはそれが大きな目標になっています。難関理系の入試において要求されるアウトプットの量を考えれば、数式と日本語をどんどん書いていく力は無視できないと私は考えており、その書く力を養成していくには、サブノートでなくノートで授業を行っていくほうがよいと判断しています。

3.私がサブノートを作るとき

 私は 10 年ほど前までは、小学理科と中学理科も教えていました。おそらく、理科はサブノートがないとかなり厳しいと感じます。図や表が多いもの・語句が多いもの・日本語の説明が長いものは、サブノートが速いですね。
 自分が数学でサブノートを作る場合は、
①集合・命題・データの分析のように、数式以外の情報量が多い単元
②時間の尺が特に厳しい授業( 6 時間で数Ⅱ微分を終わらせるとか)
です。

4.そのプリントは、本当に必要ですか?

 と言いたくなるものを、よく見かけます。かなり頻度が高いものは、例題がそのままプリントになっているものです。問題を写す手間を省略するためのもののようです。この程度のものであれば、プリントを作らないほうがコスパはいいと思います。私は、例題を授業で扱うときには、問題の要約を板書してから進めます。このときは、最大値を Max と書くとか、黒板太字書体の N や R を使うなどもして、手早さを追求します。この要約作業は、時間的にそれほど損失になるわけでもありませんし、その作業で生徒にスイッチが入るケースが多いです。

 あと、例えば三角比の単元で、単位円があらかじめ書いてあるものとかもよく見ます。確かに時間は稼げますが、それで生徒は自分で図を書いて考えるようになるのかが自分は大いに疑問なんですよね。教師に話を聞くと、「基礎クラスの生徒は、ノートを取る作業が遅いので」というわけです。これ、よくありがちな話で、「生徒の作業速度が遅い」→「穴埋めプリントをる」→「作業速度は上がらない」というループが簡単に完成します。あと、そのようなクラスでこれをプリントで配ると、すぐなくします。自分なら、例題を削ってでも、ちゃんと図を書かせるほうを選択します。

 悩ましいのが、授業の例題をそのまま扱いたくないとき。少し変えるくらいなら、プリントはいらないと思います。先にも書いたとおり、そこでプリントを配るとその時間が無駄になり、結局板書したほうが早いということが多いです。あと、プリント紛失のリスクもあります。

 一切のプリントなしで授業をするのは難しいと思いますが、作るのも印刷するのもリソースを消費するので、作らずに済ませる工夫も必要です。あと、テキストを作成できる立場の方は「プリントを作成しなくてもよいテキストを作成する」ことを目指すと職場のホワイト化が進みます。また、どうしても印刷しなければいけないプリントは、全体で印刷するのも効率的ですね。

 以上、思ったことを適当に書きましたが、何かあれば Twitter の @numachi11111 までお願いします。

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