「僕と君と髪」

こんにちは。numaです。

本日は、小説ではなく詩を書いてみました。

与謝野晶子の「みだれ髪」をテーマに書きました。

是非ご一読ください。


「僕と君と髪」

音が聞こえる。心臓が激しく跳ねる音。
出会いの季節。
桜の下、スポーツ刈りの僕は長髪の君に恋をした。

君がいる。僕の左隣に座る君。
教室の窓。
差し込む日差しに照らされる、君の横顔に恋をした。

髪が揺れる。美しくなびく君の髪。
風が強い今日。
「君の髪を手に入れたい」と、思う僕の心は罪ですか?

髪が伸びる。君のようになりたいと伸ばし始めた僕の髪。
夏休み明け。
スポーツ刈りだった僕の髪は、今では僕の目を隠している。

声が聞こえる。「不潔だわ」と女子の声。
ざわつく教室。
お前たちの言葉なんてどうでもいいと、長髪の君に目を向ける。

香りが残る。君のシャンプーの良い香り。
放課後の帰宅道。
僕の家とは反対方向の、君の家に続く道を歩く。

髪が香る。同じ香りの僕の髪。
風呂上りの居間。
これからは毎日、君の香りが側にある。

君が気付く。そう、僕が愛しているのは君。
君に睨みつけられた午後。
「気持ち悪い」と言い残し、去っていく君の後ろ姿はやっぱり髪が美しい。

髪が伸びる。君と同じくらいに伸びた髪。
あれから3年。
ようやく君の髪を手に入れたと、喜び狂喜乱舞する。

体の揺れに呼応して、なびく僕の髪はみだれ髪。

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