Apple TV 4Kのすすめ

 11/1にAppleは自社ストリーミングサービスApple TV+をロンチし、オリジナルドラマを配信しはじめた。Netflixなどのサービスと比べると作品数は少なく感じるが、AppleのTVアプリを他社OSにも展開させたのをみると、Appleは肥大化するプラットフォームのターミナルになろうとしていることがわかる。実際のところAppleのTVアプリはもとより使いやすく、自社製品であるApple TVもまた然りだ。

 2018年は年間500本以上のScripted Showがオンエア・配信され、Peek TVと呼ばれる時代が続いている。こうなってくるとウォッチリストを更新するだけでも大変になってしまうが、もうひとつ「何で観るか」という話も挙がってくる。といっても難しいことではなく、NetflixやAmazonをはじめほとんどのコンテンツホルダーがアプリを提供しているので、iOSかAndroidかWindowsと適切なインターネットがあれば、どのハードウェアでも視聴に困ることはない。

 前述の通りOSさえ対応していればアプリをダウンロードするだけなので、Apple TVもtvOSに対応しているNetflixやAmazonビデオをインストールすればいい。ただApple TVはいくつか調整を加えることができる。

 ひとつめはNetflixとAmazonビデオの24フレーム再生だ。映画に詳しい人には説明不要だが、映画やドラマは毎秒24フレームで製作されていることが多い。AV機器ではBlu-ray Discの黎明期から24フレーム再生の対応が続いているものの、ストリーミングサービスへの対応は製品情報に記載されることが稀で、ディスプレイメーカーがフレームレート変更時の暗転を嫌うせいか、実際に対応製品は少ないらしい。そこで登場するのがAmazonビデオの24フレーム再生に対応するFire TVと、Netflixのどちらにも対応しているApple TVなのだ。

 ふたつめはDolby Visionに対応していることだ。一言に「HDR」といっても初期仕様であるHDR10、輝度情報を記録したHDR10+、所謂新4k/8k放送で使われているHLG、そして最近になって日本の劇場でも対応が増えたDolby Visionの4種類もある。このうち前三者の説明は省くとして、Dolby Visionはビット深度が12bitであることと、シーン毎に輝度を調整するメタデータが組み込まれているのが特徴だ。ただし名前からわかる通りDolby社に対してライセンスが発生するため、対応製品を選ぶ必要がある。
 もちろんApple TVはメディアプレイヤーなので、UHDBDを再生するわけではない。ここでDolby Visionの話をするのはiTunesで単品購入できる作品群があるからだ。たとえばストアを眺めてみると、UHDBDで販売されている(4k向けのデータが存在する)作品は大抵Dolby VisionもしくはHDRで入手できることがわかる。UHDBDより価格が新作で2,500円前後、セールをやっていると1,000円以下と控えめで、レンタルもできるので「旧作を買う前に画質をチェックしておきたい」という場合にはお勧めだ。

 日本以外のストアを除いてみると、やはり北米は作品が充実している。日本では配給が違うためHDのみになっている『ヘレディタリー』のような作品も、Dolby Vision版を買うことができる。もちろん『ミッドサマー』もDolby Visionかつ無修正で、HDのみだがディレクターズカット版も特典で付いている。
 Apple TVを使う最大の利点といえるのは、これらiTunesの買い切り作品に関しては映画・テレビともリージョンフリーであり、tvOSがマルチアカウントに対応しているので海外ストアの利用も容易なことだ。残念ながらHBOやHuluといったサービスはリージョンロックがかかってしまうものの、基本的にHBOやHuluのドラマは数週間後に単品で購入できるようになるし、FX、USA、AMCらはオンエア終了後すぐに配信されている。英語がある程度理解できて日本未配信のドラマを観たいときに利用するといいだろう。

 細かい点を補足しておくと、映像出力では4kHDR/4k Dolby Visionのほかに、4kSDRや2kHDRといった出力を選択することもできる。「オリジナルのフレームレートで再生する」項目と、RGBかYUVの設定もしておこう。音声出力はDolby Atmos以外は基本的にLinear PCMとなる。海外のDolby Atmos対応作品を購入してみると、英・独・仏の三言語でDolby Atmosになっているのもおもしろい。
 映画オタクならばMovie Trailersというアプリをインストールしておくと良い。名前の通り映画の予告篇を再生するだけのアプリで、Youtubeよりはるかにエンコード品質が高く、こちらも24フレームで出力されるのが利点だ。

https://www.apple.com/jp/apple-tv-4k/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?