#NulNote 沢村賞式QS(SQS)で見る先発投手の評価

閉鎖後初の更新です。
もっと更新頻度上げていきたいですね。

さて、先日実施したツイキャスのまとめです。
拙いキャスですが今回の説明をしているツイキャスは以下です。http://twitcasting.tv/lovely_t_1978/movie/419285919

今年の沢村賞はG菅野智之が受賞しましたが、その発表の中で
沢村賞の基準で定めたクオリティースタート達成率を、評価基準に補足的に盛り込むことにしました」との発表がありました。

https://www.nikkansports.com/baseball/news/201710300000585.html

この沢村賞式QS(以下SQSと表記します)とは、従来のQSの条件である
先発で6イニング以上で3自責点以下からイニング数を1つ増やし、
先発で7イニング以上で3自責点以下」で達成となるものです。
元々、沢村賞とはその年最も優れた「先発完投型」投手に与えられるものであるため、100球で中4日が主流となっているMLBで定めた基準よりも長いイニングを基準にしたものと思われます。
あくまで補足的なものであり、この数値が高いと沢村賞に近づくというわけではないのですが、先発完投という日本特有の美徳感は残しつつ、現代野球のエキスも注入しようとする試みは非常に興味深いものです。

ということで、来年から導入されるSQS率を今年の先発投手で算出するとどうなるのでしょうか。従来のQS率のランキングと合わせ比較してみましょう。
(先発15試合以上登板投手が対象)
まずはセリーグ。

1,2位はQS/SQS率どちらの指標でも変化がありませんでした。
菅野・マイコラスとも先発時には7回は当然のように投げるエース格であり、さらに抜群の安定感を誇っていましたから、1イニング条件が伸びても順位が落ちることはありませんでした。
一方でSQS率3位以下に大きな変化が生じています。QS率3位DBウィーランド(SQS率16位)・同7位DB石田健大(同22位)TOP10から姿を消しTメッセンジャー(QS率11位)4位タイD大野雄大(同16位)6位に急浮上しています。
シーズン中の戦いから観て、ウィーランド・石田はともにチームの救援陣が豊富なこともあり6回降板の展開が多く、メッセンジャーは好不調の波があるものの、長いイニングを投げられる展開の際は7回以上をきっちり投げ切っている印象があります。また大野チームのエース格であり、登板の際には最低7回の期待を持って送られる投手だと思います。
こう見ると、沢村賞の理念である「先発完投型」に近い投手がランキングされているように感じられ、むしろQS率のランキングより(沢村賞基準で考えれば)納得のいくものになっているような気がします。

続いてパリーグも見てみます。

やはりL菊池雄星の1位は揺るぎませんSQS率2位が大きく変わっています
QS率5位E則本昂大がSQS率2位に、QS率10位のBs西勇輝がSQS率3位11位だったBs金子千尋SQS率4位にジャンプアップしています。またQS率19位のF有原航平・M涌井秀章が共にSQS率9位タイに浮上するなど大きな変化が見て取れます。
こちらもオリックスの2投手はビハインド展開でも7回までは投げる傾向がありますし、QS率に比べて(沢村賞基準で考えれば)納得のいくものになっているような気がします。

なお、似たような指標にHQS(先発7イニング以上で2自責点以下)がありますが、データは割愛しますがSQS率とHQS率のランキングにさほど大きな差はありませんでした。また、条件が厳しいため50%を割っている投手がほとんどであるため、見栄えから考えてSQS率を採用した方が良いと考えます。

ということで、結論としては
「沢村賞の理念と照らし合わせるとSQSによる評価はQSに比べて妥当性が高くなると思われる」
という事になると思います。
ツイキャスの中で「日本版QS」という意見もありましたが、まさに日本の感覚・基準に近い指標に成りうる可能性があると思います。
来年から補足事項となるこのSQS率も抑えておくと、シーズンオフの楽しみが増えそうです。

今日はここまで。

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