15分小説「星見るヤギ。星降らずの時。」
「あそこがベガで、あそこが……」
空を見上げて独り言をつぶやくヤギがいた。遠い昔に教えてくれた。
「マシェットや。あそことあそことあそこ。3つで大三角形だよ。」
教えてくれる人間がいた。マシェットはその人間が発する言語の意味を理解しているようだった。
「めぇ~」
「わかるのかい?僕も暇だからねぇ。こうやって空を眺めるのが好きなんだよねぇ。」
嘘である。というより、酷くテキトーなことをこの人間は言っていた。
マシェットは気がついていた。昼間の空を見てどこに星があるのかわかるの