世界は縦長か、横長か

縦型動画が流行っている、なんて言葉に出すようでは流行に遅れていると思われるほど縦型動画が席巻している。しかし、人間の視野角は左右では180°以上あるものの、上下では130°程度であり、生態的には僕らは世界を横長で捉えている。高柳健次郎が作った世界初のブラウン管テレビは円形だったものの、これは技術的な制約を受けてのものであり、それ以降は映像装置は横長に進化していった。人は元来、横長世界の住人といえるだろう。他の生き物はどうかといえば、環世界という言葉を出さずとも生き物がどういう形態をしているかに依存している。では、なぜ縦長の動画が発明され、これだけ市民権を得ているのか。それは、スマホが縦長だからだ。ではなぜスマホは縦長なのか。それは人の手に合わせたデバイスがより大きな映像を映すのに今の形が最適だったからなのだろう。だからこそ、apple vision proの世界では縦長のコンテンツは必要ない。これはメディアがコンテンツを規定する、メディアがメッセージであるということを端的に表している。
AIによる画像生成においても、同じプロンプトでも縦横比で描かれる世界観は全く異なるし、バイクは視野が縦だが車は横なんて言われるように状況に応じてどういったフレームが採用されるかは異なるようだ。こうすると、いかにしてフレームを外すか、無限に広がるような空間を作るかのほうが面白いようにも思う。大西琢磨さんの作品がおいてあるwebサイトとかipadにデフォルトで入ってるフリーボードはこれを実現している例でとっても好きだ。

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