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自己紹介でもしましょう。

この人物は虚構の存在であり、実在の人物 行動 事件とは一切関係がありません。


私のお顔が正式に決まった記念に、私の自己紹介でもしてみようと思います。

名前
蒜輪 努
「ひるわ ゆめ」と読みます。

身分
大学院生です。一応。
そして就職もできず、作家にもなれず、愚図愚図してる高等遊民の一歩手前です。

住んでるところ
東海地方

趣味
小説読むこと、書くこと
行きつけの喫茶店に行くこと
気晴らしにゲームをすること



 典型的な自己紹介で面白みもなく、趣向を凝らそうとする気配もない。この自己紹介は蒜輪の性質そのものを体現していた。

 そもそも厭世的で人前に出ることを嫌う彼女がこうして世に出て発信しようと思ったきっかけは、彼女の大学の同期に影響を受けたからであった。

 その同期とは特段仲が良かったわけではないが、それでも陰ながらその人に憧れていた蒜輪は、同期が虚像を作り出して活動を始めていた姿を見て刺激を受けたのだ。

 しかし蒜輪にとって「刺激」だなんてそこらにありふれた簡単な言葉で片付けられるほど、単純な感情じゃない。

 「愛ほど最も歪んだ呪いはない」の言葉の通り、憧れと同時に、胸の内を焼く対抗心が蒜輪の心に煮えたぎっている。

 ずっと同期の才能に憧れていた。同期が己の才を謙虚に否定するたび、蒜輪は激しい羨望が募る。同時に叶わないことへの憎しみも。

 同期に一人勝手に心の中で挑めば挑むほど、蒜輪の心はすり減っていく。自分はつまらない人間ですと白状している気持ちにすらなる。

「自分らしく生きていこう」と世間が蒜輪の方を叩いたとしても、蒜輪はきっとこう言うだろう。

「憧れへの模倣が私の人生です。そして復讐も」

と。

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