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宵と酔いの狭間で見たもの.



いつから酒を飲むようになったのかはもう忘れてしまった。

ただそれが当たり前のように僕の人生の中にあって、それを疑問にすら思わなくなって久しい。


僕は昔から夜が好きだ。

辺りが闇に包まれて、街や人々の姿にしっとりとした影を落とすこの瞬間がたまらなく魅力的にみえる。

世界には常にある筈の二面性を昼が覆い隠しているとするならば、夜のその光と影のコントラストはまるで世界の本質を目の当たりにしているかのようにも思える。



陰と陽。昼と夜。男と女。正義と悪。成功と失敗。過去と未来。誠と嘘。自意識と無意識。



何が正しくて何が正しくないのか自らの螺旋の様な思考の中に、自覚と責任の元に、委ねられた時代の先に、僕は何を見ているのだろう。

何を見たくて何を見たくないのだろう。


宵に紛れて程よく酔うつもりが、いつの間にか重い重力の波と取り留めもない思考の渦に呑まれている。まるで定められた運命かのように僕の肩に覆い被さる。

それらから逃げるように温くなったハイボールを喉に流し込んだら、また颯爽と宵に紛れ込こむ。そんな日々をずっと繰り返す。



つまりは今夜も酔いが深まったというお話

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