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「特撮」堂々巡りその6

平成以後、ローカルヒーロー作品が多く作られるようになった。
平たく説明すれば、2004年に「オモチャキッド」という作品が制作され、以後「超神ネイガーVSホジナシ怪人」(2007)、「琉神マブヤー」(2008)、「薩摩剣士隼人」(2011)、「黄金鯱伝説グランスピアー」(2013)、「雷様剣士ダイジ」(2014)、「武蔵忍法伝 忍者烈風」(2015)といった作品が制作され …、実はこれら作品は地方局の制作である。

「オモチャキッド」
南日本放送

「超神ネイガーVSホジナシ怪人」
秋田放送

「琉神マブヤー」
琉球放送

「薩摩剣士隼人」
鹿児島テレビ放送

「黄金鯱伝説グランスピアー」
東海テレビ

「雷様剣士ダイジ」
とちぎテレビ

「武蔵忍法伝 忍者烈風」
東京MX

以上、いや他にも作品はあるのだが。
その1号はやはり秋田放送で放送された「レインボーアタックエース」である。
とにかく、謎だらけで、「決定版 懐かしのせんだいCM大百科」(mori)というDVD制作の際に原盤と実像を探した結果、原盤及び音源はみつからず、1話3分のインフォマーシャルとして「行け!グリーンマン」などのスタッフにより制作され1974年に放送されたという。
兎に角、付属ブックレットのレインボーアタックエースに纏わる話がアトラクションショーの中継という企画が発端なので、その件に関する詳細な話が満載であり、「シルバー仮面」のアトラクションショーの様子が映る遊園地ペニーランドのCMが本作の関連映像といえなくもない。
ただ、現在のローカルヒーローのはしりはやはり後にボッケモンプロとなるアドベンチャー制作のオモチャキッドであり、ボッケモンプロは薩摩剣士隼人を制作し、雷様剣士ダイジにも参加している。
ちなみにそれ以前の1993年にも「セーラーファイト!」という作品が制作されている。
中京テレビの「今蘇る!昭和ヒーロー列伝」という番組内のコーナードラマで、昔の特撮ドラマを流す番組で、私は関東在住なので見れなくて血の涙を流したものだが、ディレクターの喜井竜児が番組内で流した「トリプルファイター」を見て、自分で撮る気になったとか。
やはり一話あたり数分で、縮小された防衛軍の女性型ロボットのセーラーファイターの戦いを描く作品である。
実のところ、地方局の作品はヒーローものばかりではない。
1995年にはテレビ静岡で「Alice6」という、小中千昭脚本の6人の少女モデルが奇妙な世界に閉じ込められる奇妙な作品が放送され…こちらも関東在住で見れなくてな…。
2001年にはTVKで「十三夜」というホラードラマが放送されている。
特筆したいのは2004年から琉球放送で毎年単発で放送されるホラードラマ「オキナワノコワイハナシ」である。
この作品は先の「琉神マブヤー」や「ハルサーエイカー」(2011)の前身である。
「琉神マブヤーでーじ読本」(三月社)に掲載されたマブヤー、オキナワノコワイハナシ双方の脚本の山田優樹のコメントによると、オキナワノコワイハナシの企画自体は1999年から存在していたが、予算と技術的問題で実現がのび、そこから10年近く経過した2007年の琉神マブヤー企画時には、10年前には出来なかったクオリティの映像が現在ならば低予算でもできるだろうと。
これは、平成以後のローカルヒーロー作品の増加の一因であろうが、それでも琉神マブヤーやハルサーエイカーら「オキナワンヒーローズ」(2020年にはマブヤーやエイカーズら4作品のクロスオーバー作品が制作され、これはそのタイトルである)のクオリティの高さは抜きん出ているように見える。
これはオキナワノコワイハナシで培われた基礎によるようにも思える。
逆にというか、武蔵忍法伝 忍者烈風のスタッフは烈風のシリーズと平行して2017年から妖怪をテーマにしたシリーズ「妖ばなし」をスタートさせている。
一話完結で着ぐるみの妖怪のドラマが主であるが、コロナ禍以後は、サウンドノベルのような絵物語や人形劇による話も作られており、単一の表現によらない所も好感が持てる。

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