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神様のボートの感想

あのひとが探し出してくれるのを待って旅を続ける旅がらすの親子の物語。

母、葉子はあのひとや桃井先生との思い出を胸に、宝物の娘、草子とピアノとともに、どこにも馴染まず生活をする。
「過去は箱にしまっておくのよ。しまっておけばどこにもいかないわ。」というようなセリフがとても印象的だった。
葉子は男に夢中になって娘を振り回すような母親ではない。ちゃんと娘を愛している。
でも、どこか夢見心地で草子に言わせれば「現実を生きてない」のである。
草子はとても強い子どもだ。母の引っ越しにいつまでも振り回されてはいない。
自分の意思を伝えるシーンは手に汗を握った。
「どうして引っ越しばかりなの?」
「本当に会えると思っているの?」
そして、草子は寮に行くことを決心する。
自分の道を行くこと、母に対する後ろめたさを抱える草子の心中は複雑である。
宝物である娘と離れた葉子は、死に関する回想がみられ、どこか危うさを持っていた。

母と子の二人の生き方、成長、親離れ、子離れ、生きていくなかですがりたいもの、そんなことを考えさせられた作品だった。

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