まれ

日記と戯言ではてなブログと使い分け https://nukkotonuko.haten…

まれ

日記と戯言ではてなブログと使い分け https://nukkotonuko.hatenablog.com/

最近の記事

大問2

次の文章は『抜け駆け』の一節である。主人公の夏美は大学一年生で、四月に長野から上京し、現在は学業の傍ら家庭教師と学習塾の講師のアルバイトをかけ持ちしている。以下は、夏美が塾の先輩である優斗と会話する場面から始まる。以下を読んで、後の問1から5に答えよ。 「優斗さん、今日はもう終わりですか?」 「うん、次の時間の生徒が体調を崩したって連絡があってね。片付けたら帰るよ」 「そうなんですね。あの、」 言葉に迷い、会話にはここで一瞬の①クウゲキができる。自分も終わりだからこの

    • 自由律

      菖蒲が朽ちた音がした 実際に紫ではないが紫煙 敵意のエコーチェンバーとしての同僚 起き抜けに知るにしては滅びすぎている ジッポなら失くさなかっただろうか #FF00FFを思わせる女性であった 「来ると思えば来る」と思えば来る 仮定法の説明で隕石が落ちるだなんて言ったから 地球上の全ての重力が私にかかっているかのよう 放心状態であるように見せかけてみる 見事なまでの生き様を見せ続けている祖母 司会を務めるには老いすぎている これは多分他人の走馬灯 きっ

      • 煮え湯は煮て飲め

        「生きていたってしょうがない、私は30年間生きてきたけど彼氏だって居ないし、職場に友達もほとんどいない。休みの日には家でずーっと天井を見てるだけ!絶望しかない!」 「それって本当に天井を見てるだけなんですか?」 「えーっと、トイレに行ったりテレビを観たり、しいたけ占い見たりはしますけど」 「占い見てんじゃん、希望寄りの行為だ」 「あとなんかクックパッドでレシピ探したりも」 「おっ、最近何作ったんですか?」 「『煮え湯 飲み方』で検索したら白湯がヒットしたんで、煮ま

        • 事態はやはり深刻で

          「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか!」 若い女性の叫びが機内に響き渡る。1時間前に成田空港を発ち、韓国のソウルに向かう機内のことだった。 ドラマや映画によく見られるシチュエーションである。もはやあるあるすぎて実在することがありえないとまで思っていた。不安そうな顔で座席をキョロキョロと見渡す客室乗務員の女性の顔にも、ベタなことを言ってしまったという恥ずかしさが張り付いているようだった。 気が気じゃない。それは機内前方に倒れているであろう病人のことを案じてのことで

          短歌3

          ボーイング のっぺりと夜を泳いでる 遠くの昼で クジラが死んだ レシートを 畳むあなたの指の毛を 白く照らして春の訪れ ○○○○○ ねむりたりない朝がきて 子供の私の手を引いている 憐憫と慕情が5回散る 街灯の下 焼け焦げた蛾 君が死に 11度目の夏が来て 11度目なりの 悲しみも来て 飛び込んだ 悲しんでいた優美は今 人身として アナウンスされ 中央線 遅延が徐々に復旧し 誰かの失意が日常に溶け 踏み切りが 閉じ切るまでの 10秒で 自分を赦せないと死んじゃう

          短歌2

          一等星 やがて僕だけを 見てほしい 命を燃やして 追いつく日まで 風、どうか、私を撫でたそのままに 殺せる限りの人を殺して 憎しみが 愛に変わっていく景色 燕三条 行かずとも恋 聡明な それはきっと 価値を持ち ほかの命を 考慮に入れない 優しい呪い 無邪気な期待 舌先に走る純粋と諦め イチゴジャム 命に糖度が あるのなら 三温糖のように死にたい 天井の 角に指を 添えてみる くらいの加減で 夢を追いかける

          何歳に見える?

          正直28歳くらいに見えるけど、 「14歳ですか?笑」 って言ってウケを取ろう んで、「すみません!めちゃくちゃお若く見えたんで!」って返そう。 これで完璧だ。よし。 「14歳ですか?笑」 「7歳よ」 アァーーーーーーーやらかした 大ポカかました この年代の+7歳は結構だ 中2と小2なんてもう全くもって違う キツネと昆虫ミュータントくらい違うのに やばいな切りかえせるかここから 「…そうなんですね!すみません!めちゃくちゃお若く見えたんで!笑」 「若く

          何歳に見える?

          悪役

          物語、特にアクション作品に悪役は欠かせない。欠かせないというか、居ないわけがない。 主人公の行く手を阻み、世界を悪に染めようとし、時には主要キャラクターを手にかけるなど、「悪役」は私たち読者にハラハラドキドキを与えてくれる。 悪役の中には、冷酷無常で残酷な行為に手を染めるのも厭わず、「このキャラいったいどういう思考回路してるんだ…」と読者に思わせるような、いわゆるサイコパスなキャラクターが存在する。 彼らは、現実世界では私たちが到底出会わないであろうその異常さでもって、物

          月日が経つ

          横浜は坂が多い。 秋の日、駅の近くの小さな喫茶店で私が彼女に別れを告げた時、彼女は俯いていたが、素直な声で 「分かったわ」 と言った。そして彼女は店を出て、駅に向かう坂を下っていった。私はその小さな、寂しげな黒いセーターを着た背中が、人混みに消えてもうどこにいるのだかわからなくなるまで見送った。 それから5年が経って、仲間と共に開いた展示会に来た彼女を見た時は、震えるような思いをした。共通の友人から、あの後まもなくして彼女は死んだと、聞かされていたからだ。聞けば、私との関

          月日が経つ

          帰省

          自分には、親の顔色を窺う癖がある。というのも、母親が癇癪持ちで、父親と母親が喧嘩した夜などには泣いて錯乱して、台所に蹲る母親の右手には包丁があり、それを自身の左手首に押し当てている光景が幾度としてあったからだ。 私が小学校三年生の時、いつものように父親と喧嘩した母親は、日頃服用していた睡眠薬を10日分飲んだ。私が異変に気づいた時に見たのは、トイレに倒れ込み泡を吹いている母親と、それを怠そうに起こしている父親の姿だった。 「睡眠薬を大量に飲んだらしい」 と悠長に言う父親の

          短歌1

          置いてきた合鍵の場所 陽だまりに足が嵌ってまだ抜けてない 夕暮れに沈む街並み追いかけて 色の境で死んでいる犬 年金、浪費した青春の分は天国で天引きされるらしい 空虚さを可視化した社が襲われた 余計なことはするなと司令 膨大な青に対して死んだ鳥 その羽の根が今われの手に 牛は冷たくないから牛乳は冷蔵庫に入れなくても平気? 「不幸せになる」って聞いたそれ以来 爪は夜に切っているけど 夕暮れが染めた子供を殺してく 経験不問交通費有り 「動物園でキリンが死んだらしい」

          雨と黒猫

          雨は長く続いた。 一ヶ月間も雨が降り続いたことは過去に例のないことらしい。長い雨がようやく終わり、私はようやく外に出られることを嬉しく思った。不安な気持ちはことのほかなかった。なぜ不安でなかったかを、後からそれらしい理由をもって説明してしまうのは簡単だが、そうしようとは全く思わなかった。 およそ一ヶ月、会っていなかった自分の片割れにやっと会えると思うと朝もすんなりと目覚めた。いつもは低血圧による気だるさが、私を寝床から離そうとはしないのだが、しかし今日は前述の通り、朝の庭

          雨と黒猫

          SNS殺害

          LINEやTwitterなどのSNSが隆盛を極める現代、友人間での絶交の形にもあるひとつの変化が現れた。 それは、『SNS殺害』 と呼ばれるものであった。 グループ内で喧嘩が起こり、多数決でそのうちの一人が 「殺害」 と認定されると、その一人はグループ内で全てのSNS上でブロックされる。 友人同士の遊んだ記録も、今までの会話の履歴も消されてしまい、今後一切連絡を取ることが出来なくなる。現実社会では普通に会話をすることもあるし、その場で遊びの約束を取り付けて休みに映画

          SNS殺害

          マイナスカロリーフード

          「テレビ番組のダイエット企画はもう見飽きた。キャベツやら、トマトやら、ファスティングやら、エトセトラエトセトラ…。 今日も画面は手を替え品を替え、我々視聴者が飽きないように、安心しないように、様々な痩せるための手法を教えてくれる。 かくいう私も流行は気になるからつい乗っかっちゃうタイプなので、べつに痩せてなくてもいいのに、 (痩せていないといけないのかもしれない) と強迫的に思ってしまう。 だから、ダイエットに関するテレビや雑誌の特集はあまり好きではなかった。

          マイナスカロリーフード

          ポテト讃美歌と女独身貴族

          自分で言うのもなんだが私はフライド・ポテトには少々ウルサイ。 四半世紀生きる、ということを2回も繰り返すと、(ここで素直に半世紀と言えないのが年寄りの何よりの証左であるのだが・・・) 自分の好物に対する感覚、身の構え方というものも何だか決まってくる。 「フライド・ポテトなんてそんな高カロリーな、身体に悪いもの、そもそも食べるべきではない」 なんて五月蝿いことを言ってくる殿方も居たには居た(注意、過去形!)がしかし、今の私にはなぜだかそのような蝿は集ってこない。 六月の方に対

          ポテト讃美歌と女独身貴族

          あの日室園が私に教えてくれたこと

          ブログは昔話をすることが許されていると祖母から教えられていたので . .「やってくれたなお前」. 確かギリギリカッターシャツで通用するくらいの季節だったと思う。当時の私の席は教卓の正面で且つ1番後ろの席で、寝ようが内職しようがバレない、治外法権真っ只中PLACEだった。 言い忘れてたけど高校1年生の数学の時間の話です。 . . 今思うと、なぜ私はあんなことをしたんだ?と思う所業なのだが、授業開始のチャイムが鳴り始めると同時にチョコを口に放り込んだ。 (参考画像 これ

          あの日室園が私に教えてくれたこと